騙されない思考力!知らなきゃ損する脳のクセ!【2つの思考】
この記事で「専門家の直感は正しいが素人の直感は怪しい」と解説したように、専門的な知識や経験がない分野について難しい判断をするときは、直感で判断すると失敗するからやめようね! 的な話をしたよね!
ただ、お前にも経験あるように、人間ってとにかく楽をしたがる生き物なんだ! だから人間がなんらかの判断をする際は、無意識に直感に頼ってしまうことがわかっているよ!
だから人はつまらない失敗を何度も繰り返すんだね! 愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶってことかな!
でも、こうした人間の思考のクセや種類、特徴を知っておくことで、こうした無意識の思考による判断の失敗を防ぐことができるんだ!
今回の参考書籍は、心理学者であり行動経済学者の創始者であるダニエル・カーネマンさんの「ファスト&スロー(上) あなたの意思はどのように決まるか?」だよ!
めちゃくちゃおもしろいからオススメ!
2種類の思考!
まず、人の思考には次の2つのモードがあることを知っておこう!
システム1(速い思考)
システム2(遅い思考)
じゃぁそれぞれの特徴をみていこう!
速い思考! システム1! 直感的思考!
「システム1」は直感に従った思考のことで「速い思考」のことを指しているよ!
例えば、この写真をみてみよう!
一般的に、「見る」という行為と直感的思考であるシステム1は直結しているよ! つまり、お前はこの写真をみて「この女性の髪は黒くて長い」ことや「この女性は怒っている」ということを考えることなく理解できたよね!
でも「この女性の特徴を理解しよう」「この女性がどんな気持ちなのか評価しよう」という意志はなかったんじゃないかな! ただ、思い浮かんだ、気づいただけだよね!
これぞまさに「速い思考」であり「システム1」なんだ!
遅い思考! システム2! 熟考!
次は「システム2」! これは熟考したり意識的に考えることで「遅い思考」とも呼ばれているよ!
次は写真じゃなくて、次の計算問題を問いてほしい!
34 × 17
この問題がかけ算だってことは考えなくても「システム1」によって瞬時に気づくよね!
それに、正確な答えはわからなくてもおおよその値はわかるはず! 例えば、この問題の答えが24,304でも92でもないことはわかるよね! これがすぐわかることも「速い思考」によるものだ!
でも、お前がフラッシュ暗算や脳内でそろばんを弾くことができないなら、すこし時間をかけて計算しないと答えが578であることに確信はもてないんじゃないかな!
これが遅い思考であり、システム2なんだ! これでお前は速い思考と遅い思考の両方を経験したよ!
遅い思考と速い思考の違い!
複雑な計算をする際の遅い思考では、いま自分がなにをしているのか、そして次になにをするのかを順序立てて考えながら、途中までの計算結果を覚えておかなきゃならないから、ある程度の負担を感じたんじゃないかな!
それこそまさに知的作業!
熟考や努力が必要な作業はだいたい遅い思考だよ!
複雑な計算や頭をつかって考える必要がある難しい活動をする際に、「システム2」が働いて、なにかを選んだり集中するなどの能動的な動きにかかわっているんだ!
一方で速い思考の「システム1」は、自動的・高速で働いて努力もいらないし、自分で思考をコントロールしている感覚もまったくない!
こういうときに速い思考が働くよ!
自動的に働くシステム1には次のような例があるよ! どれも経験あるんじゃないかな!
1+2の答えを言う
でかい看板に書かれた文字を読む
ほかに車が走っていない道路で運転する
2つのモノがどちら近くにあるかを見て取る
「猿も木から◯◯」という対句を完成させる
グロテスクな写真をみたときに顔をしかめる
物音がしたときにどこから音が聞こえたか感知する
どうかな? これらは全部頭を使わずに一瞬でできるよね! さっきの起こった女の人の写真をみたときと同じように、自動的に行われて努力らしい努力はまるで必要ないんだ!
例えば、「この文章の内容を理解しないでください」という文章をみたとき、お前はもう理解しているよね! つまり自国の言葉で書かれたかんたんな文章は、理解しようとしなくても自動的に理解してしまうんだ!
遅い思考はこんなときに働くよ!
遅い思考であるシステム2の働きはいくつもあるけど、「注意力が必要」という共通点があるよ! 注意がそれるとうまく働くなくなる!
そんなシステム2の例をみていこう!
納税申告書を書く
赤い服を来た女性を探す
狭いスペースに縦列駐車する
普段よりも速いスピードで歩く
数種類の洗濯機を比べてどれが良いか検討する
特徴的な香りを嗅いで、それがなんの香りか思い出す
自分の電話番号や住所をネット通販サイトに記入する
このページに「思考」という言葉が何回出てくるか数える
人がたくさんいるうるさい部屋で、特定の1人の話に集中する
自分のふるまいがその場、その状況にふさわしいか自分で自分について考える
こうしたことをする際は、注意力が必要だよね! その準備ができていなかったり、ボーッとしていて集中できていなかったら全くできないか、できても失敗するよ!
注意力は例えるならそう、限度額がある予算みたいなものだ! この「注意の予算」はいろんな活動に振りわけられるんだけど、予算が足りなかったり予算をオーバーしたりするとその活動は失敗するよ!
例えば、さっき列挙したようなシステム2の活動をいくつか同時にこなす自信はあるかな? 多分、ほとんどの人にはムリだよね! 狭いスペースに縦列駐車しながら「37 × 23」を暗算して、数種類の洗濯機を比較検討するのは不可能だ!
突然の注意力テスト!
突然だけど、お前の注意力がいかに散漫で、集中することが苦手なのかを証明してみよう!
今からある動画をみてもらうよ!
下の動画では白いTシャツを着たチームと、黒いTシャツを着たチームがバスケットボールをパスし合っているよ!
課題は白シャツチームが何回ボールをパスしたかを数えること! 黒シャツチームのことは無視していいよ!
ただし、絶対に間違ってはいけないし、再生できるのは1回までだ! それでは、どうぞ!
みたかな?
みるまで次に進んではいけないよ!
注意力には限度がある!
みて驚いた人もいるんじゃないかな!
ゴリラの存在に気づけた⁉ 私は初めてみたときは一切気づかなくてめちゃくちゃ驚いたよ!
実はこの動画は、ハーバード大学の心理学者クリストファー・チャブリスさんとダニエル・シモンズさんがつくった動画で、人の注意力には限度があることを証明したんだ!
なにかに集中しているときって、他のことや周りのことに全く気づけなくなることってあるよね! この動画ではパスの回数を数えることに注意力を使っていたため、普通なら気づくはずのゴリラに気づけなかったんだ!
この動画をみた数千人のうち、約半数はゴリラに気づかなかったよ!
課題は「白シャツチームのパスの回数を数えること」だけで「黒シャツチームは無視していい」ということだったから、白シャツチームのパス回数以外のことは頭に入らなかったんだ!
ただ、当然だけど「パスを数える」という課題を与えられなかったグループでは、ゴリラに気づかなかった人は1人もいなかったよ!
普通にこの動画をみた場合は、システム1の自動機能によってゴリラに気づくけど、いくら自動とはいえシステム1にはある程度の注意力が必要ということだね!
実験が明らかにしたこと!
このゴリラ実験で注目すべき点は、ゴリラに気づかなかった被験者がみな一様にとても驚いたことだよ!
また、この実験で人間の脳の働きについて次の2つの事実が明らかになったんだ!
人は、誰がみても気づきそうなことに気づかないことがある!
①という傾向があることに自分で気づいていないこと!
詐欺師やトップセールスマンはこうした人間の脳・心の傾向を利用しているよ!
例えば、なにかを買わせたり契約をさせようとする際、都合が悪いところに注意を向かせないために、別のなんでもない部分に注意をミスリード(誘導)したりするんだ!
だから、このような脳や心の傾向を自分で自覚しておくことで、誤った判断をする可能性を下げたり、バイアスに引っかからなくなったり、誰かに騙されたりされづらくなるからしっかり覚えておこう!
システム1・2の役割分担は理にかなっている!
ゴリラ実験で「システム1とか2とか全然役に立ってねぇーじゃん!」と感じた人もいるかもしれないね!
でも、人間のシステム1・2の役割分担はとても理にかなっているんだ! はじめにも言ったけど、人間の脳はとにかく楽をしようとしているよ! そして、システム1・2は楽をするために最適な機能なんだ!
システム1は起きている間は常にオンになっていて自動的に働くし、システム2は注意を向けたときにしかほとんど働かないから省エネだよね!
自動モードのシステム1で対応できない難しい状況になると、システム2が動き出すんだ! 34 × 17という計算をしたとき、システム1では対応できなくてシステム2で解こうとしたんじゃないかな!
つまり、まとめるとこうなる!
人がなにかしようとしたり考えたりするときはほとんどシステム1で処理してるよ!
システム1で対処できない複雑な問題に対してはシステム2が代わって処理するよ!
複雑な問題の際の最終決定権はシステム2が持っているよ!
こうしたシステムは労力や努力を最小化して、効率的に物事を処理するために発達してきたんだ! 人ってのはとにかく楽をしたいんだね!
でも、複雑な問題を考えたり集中してなにかをするのは労力が必要だから、食糧やエネルギーが乏しかった時代においては生き残るための重要なシステムだったんだ!
速い思考・システム1の欠陥!
ただ、このシステムも完璧ではないんだ!
速い思考であるシステム1には、バイアスがかかりやすいという欠点があるよ! バイアスとは、特定の状況で起こる偏った判や、思考に偏りをもたらす先入観のこと!
この記事でも解説した利用可能性ヒューリスティックもシステム1のバイアスだし、本来はシステム2で対処するべき複雑で難しい判断を、自分の好みに置き換えて判断してしまうのもシステム1の欠陥だ!
次回以降に詳しく解説していくけど、システム1は論理や統計をまるで理解していないから、考えたら避けられるようなかんたんな失敗やミスをしてしまうんだね!
また、システム1はオフにできないことも欠陥! 例えば、自分の国の言語がみえたら意識してなくても勝手に読んでしまうよね!
こうしたシステム1の自動反応は無視したくてもできずに困ることもあるんだ! 例えば、オシャレなレストランにいって隣のテーブルに奇抜な格好をした人がいると、「ジロジロみたら失礼だ」とわかってはいても、ついついみてしまうよね!
遅い思考・システム2の欠陥!
一方でシステム2も完璧かというと、そうではない!
システム2の重要な特徴は、作動させるには努力や注意力が必要になることだよ! そして、システム2はお前と同じようにとにかく怠けたがる性格なんだ!
だから、どうしても必要なときにしか働いてくれないし、必要以上のことはしてくれないよ! でも、私たちが生きていくうえではシステム2の助けがないと対処できない状況や問題はたくさんあるよね!
システム2が働いているときは、システム1の直感や衝動は制御されるよ!
でも基本的には怠け者で働きたがらないから、多くの人はバイアスに引っかかりやすいシステム1で判断しがちなんだね!
こうしたシステム1やシステム2の思考の種類と特徴を理解していると、次の記事で解説するように努力せずに集中力や注意力を発揮する状態になれるよ!
「心理学の教養」や「メンタルの教養」では、こんな教養もよくみられているよ
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?