老ける白米丨寿命が縮まる日本の主食がヤバい件
今回の結論は下記のとおりです。
白米を食べると老化が進み、寿命が縮む。
逆にいうと、白米を食べるのをやめるか食べる量を減らす、冷や飯にするなどの工夫をすることで、アンチエイジングになり健康寿命までも延びる可能性が高いということです。
とはいえ、「食事をすこし変えるだけでそんな効果あるわけないでしょ」と感じる方もいるかもしれません。
しかし、歯科医師のウェストン・プライス博士が発見した事実を知ると、その考えも変わるでしょう。
プライス博士は世界各国に実際に赴いて十数年もの調査を続けた結果、下記のようなことがわかりました。
虫歯も歯周病もなく歯並びや咬み合わせもキレイだった先住民族が、西洋から流入した近代化された食事をとるようになってから、虫歯や歯周病を発症し、歯並びも悪くなり、歯を失い、健康状態も悪化したのです。
虫歯や歯周病で老化や寿命が縮む理由はこれから解説しますが、下記の記事でもみた通り、あなたの歯には850万円相当の価値があります。そうしたものを失わないためにも、白米の危険性を理解し、食事を変えていきましょう。
本記事は第1章から4章に分かれており、
第1章では、白米と腔内細菌の関係について
第2章では、腔内細菌の恐ろしさについて
第3章では、白米や糖質が虫歯の原因になる理由と予防法について
第4章では、炎症や虫歯を防ぐ食事法について
という順番で解説しています。
今回の参考書籍
今回の教養は、下記の書籍を参考に執筆しています。
第1章
白米が老化促進と寿命を縮める原因は「菌血症」
人が老化する原因は運動不足や食生活の乱れなど数多くありますが、そのなかでもあまり知られていないのが「炎症」です。
血液のなかに細菌が入りこむ「菌血症」という状態になると、血液中の細菌が毒素がまき散らして炎症を起こすため、老化や体の不調を招きます。
ケガでもしない限り「血液のなかに細菌が入る」なんて、そう簡単に起こりそうではありませんよね。しかし、あなたの体には細菌が唯一かんたんに入りこめる場所があります。
それが「口」です。
正確には、歯と歯茎の間に炎症によってできた隙間と、その奥にある血管が細菌にとっては入りこみやすい扉なのです。
歯と歯茎の隙間から入りこんだ細菌は血液のなかで増え続け、毒素をまきちらして体中で炎症を起こすため、老化やさまざまな病気を引き起こします。
口内環境こそ、あなたの健康とアンチエイジングを守るカギになっているのです。
そして、口内環境を悪化させる主な原因は「糖質」。
日本人の主食である白米の主成分は「糖質」。
つまり、「白米=糖質」が口内環境を悪化させ、「菌血症」を引き起こし、あなたの体中で炎症物質や毒素をまきちらして、老化や病気の原因となっているのです。
これが「白米を食べると老化が進み、寿命が縮む」理由です。
歯みがきを1日サボるだけで細菌が体に侵入できる
あなたは歯みがきを毎日欠かさずにしているでしょうか?
もししていないのであれば、あなたの口のなかの細菌は爆発的に増えて、歯と歯茎の間から体内に侵入し、全身に細菌がまわっているでしょう。
これは、「普段は毎日しているけど、たまに忘れることがある」という場合でも関係ありません。
なぜなら、たった1日でも歯みがきをせずに寝ても、口のなかの細菌はものすごい勢いで増えるためです。
増えた細菌は歯の表面にベットリと張りつき、「バイオフィルム」と呼ばれる状態となってどんどん増殖していきます。
バイオフィルムになると歯みがきでは落とせない
「歯垢(プラーク)」という言葉を聞いたことはありませんか?
歯垢とは、歯にくっついた細菌が増えてできた塊で、白くて粘り気のあるものです。この歯垢が糖質でガードをかためて強力に歯に張りいたものがバイオフィルムとなります。
例えば、お風呂場の排水口やキッチンの三角コーナーがヌメヌメすることってありますよね。あれもバイオフィルムであり、口のなかにアレができているのと同じ状態ということです。
したがって、バイオフィルムになる前に歯垢を歯みがきでキレイにとり除くことが理想的ですが、歯みがきをせずに寝てしまうこともありますよね。
しかし、歯垢は「待ってました」とばかりに増殖し、糖質の鎧でガードをかためてバイオフィルムに進化します。こうなるともはや手遅れ。歯みがきでバイオフィルムをとり除くことはかんたんではありません。
排水口やキッチンの三角コーナーのヌメヌメも、漂白剤などを使わなければ落とせませんよね。これと同じように、口のなかのバイオフィルムもかんたんにはとり除くことができないのです。
バイオフィルムから歯石になると完全に手遅れ
では、歯みがきで落とせないバイオフィルムを放置するとどうなるのでしょうか?
バイオフィルムは、唾液に含まれるカルシウムやリン酸によって石灰化して、石のように硬くなり最終的に「歯石」になります。
こうなると「本当に」手遅れです。
歯石は歯みがきで除去することはまず不可能なため、歯医者さんにいって、PMTC(Professional Mechanical Tooth Cleaning)」と呼ばれる本格的な歯のクリーニングを行わなければなりません。
口のなかの細菌は2つにわけられる
口のなかで爆発的に増えた細菌が、体内に侵入するために使う「秘密のドア」は2つあります。
1つは「虫歯」です。虫歯の穴から体内に侵入します。
そしてもう1つが上述したように、歯と歯茎のすき間です。正確には「歯肉溝」と呼ばれる部位で、健全な状態であれば1~2ミリほどの深さがあります。しかし、口のなかの環境が悪化すると溝がさらに深くなります。
さて、口のなかにいる細菌には悪さをする「悪玉菌」と、良い働きをする「善玉菌」がいますが、ここでは悪玉菌についてみていきましょう。
口のなかの悪玉菌は大きく下記の2つにわけられます。
細菌が死んだあとに内部にある毒素をばらまくタイプ
生きた細菌が外部に毒素をばらまくタイプ
そして、それぞれ
「内部の毒素をばらまくタイプ」は「内毒素=エンドトキシン」
「外部に毒素をばらまくタイプ」は「外毒素=エキソトキシン」
と呼ばれています。
即死リスクのある毒素「エキソトキシン」
生きたまま外部に毒素をばらまくエキソトキシンによって生じる最も危険な病の1つが、感染性心内膜炎です。
心内膜炎とは、心臓の壁を構成する「心内膜」に炎症を起こす感染症で、
突然の高熱
心拍数の上昇
心臓弁の破壊
といった症状が起こります。
しかし、感染性心内膜炎を治療せずに放置していると、ほぼ確実に死亡します。さらに、発症すると即死するケースもあるため、発症する前の予防が重要です。
例えば、抜歯をしたあとの歯茎は細菌にとっては体内に自由に入りこめる入り口のようなものなので、そこから大量に細菌が侵入するのを防ぐために抗菌薬が処方されます。
もし、歯茎から細菌が大量に入りこみ、エキソトキシンが毒素をばらまいたら急性心内膜炎を引きおこし、即死することもあるのです。
もっとヤバい「内毒素=エンドトキシン」
「即死リスクがあるエキソトキシン」ときくと、ヤバそうだと感じますが、実際はもう1つの「内毒素=エンドトキシン」のほうがヤバイです。
なぜなら、エンドトキシンは慢性的な炎症を引きおこして、生活習慣病の原因となるためです。
エンドトキシンは「サイレント・ディシーズ(静かに進む病気)」と呼ばれており、その名の通り10年から30年ほどかけてじっくりと、静かに、そして確実に炎症を起こし続け、あなたの体を蝕んでいきます。
そもそも炎症とは体の防御反応
そもそも炎症とはどのような状態を指すのか、ここで確認しておきましょう。
例えば、走っているときに転んでヒザに擦り傷ができると、ケガをした部分は赤く充血したり、熱をもったり、腫れたりしますよね。これは体がケガを治すための反応だったり刺激からの防御反応であり、これが炎症と呼ばれるものです。
そして炎症が起こるのは物理的なケガによるものだけではありません。細菌やウイルスなどによって起こるトラブルにも対応するため、体の内部でも炎症は起こります。
エンドトキシンは常に炎症を起こし続ける
それでは話をエンドトキシンに戻しましょう。
エンドトキシンが恐ろしいのは、体の内部で延々と炎症を起こし続ける点です。言い換えるなら、大きな火事は起こさずに、小さなボヤを体のあちこちで起こし続けるようなものといえます。
このような状態を「慢性炎症」といいます。
本来であれば、一時的なものですぐに治まるレベルの小さい炎症なのですが、なぜか治まらずに長期間炎症が続く状態です。
ダラダラと小さい炎症が続くと、体の機能や構造にすこしずつ異常が生じ、最終的には下記のような疾患につながります。
がん
肥満
うつ病
糖尿病
認知症
心筋梗塞
高血圧症
脂質異常症
肝炎・肝硬変
関節リウマチ
このような明確な症状に表れなかったとしても、慢性炎症は当然ながら老化を促進させて寿命を縮ませるため、まさに「万病のもと」といえるでしょう。
下手すりゃ即死。
菌血症で血管が詰まるとヤバい理由
さて、はじめに「白米で老化が進み寿命が縮まる原因」として解説した「菌血症」に話を戻しましょう。
菌血症は、読んで字のごとく「血液のなかに菌がまぎれこんでいる状態のことです。この状態がいかに危険であるかは、「即死リスクのあるエキソトキシン」と、「万病のもとのエンドトキシン」の解説でよくわかりますよね。
それでは、ここではこうした菌血症が引きおこすヤバい症状の1つ、「アテローム性動脈硬化」についてみていきます。
アテローム性動脈硬化とは、主に脂肪でできた「アテローム性プラーク」という沈着物が、太い血管のなかに溜まることで、血流が減ったり遮断されてしまう病気のことです。
なんと、菌血症はこうしたアテローム性動脈硬化を引きおこすことが知られています。
菌血症がアテローム性動脈硬化を起こすメカニズム
そのメカニズムは下記のとおりです。
細菌や細菌が出す毒素(エンドトキシン)が血管に侵入する
細菌(エンドトキシン)が血管の内側に定着する
血管の内側が炎症を起こす
血管を修復するLDLコレステロールが集まる
活性酸素がLDLコレステロールを酸化させる
酸化して異物となったLDLコレステロールが、免疫細胞に敵だと認識される
マクロファージ(体内の異物を食べる細胞)が、それを食べる
食べた死骸が「アテローム性プラーク」になる
LDLコレステロールは「悪玉」ではない
LDLコレステロールときくと、「悪玉コレステロール」として悪者のイメージがありませんか?
LDLコレステロールが悪者扱いされるようになったきっかけは、「動脈硬化になった血管を調べたところ、そこにLDLコレステロールが多くみつかった」という研究によるものです。
しかし上述したように、動脈硬化の真犯人は「血管内部で起こる炎症」であることがわかってきたため、LDLコレステロールはそこまで悪いヤツではないことが明らかになってきたのです。
例えば、火事が起きたところに消防車が何台も集まっていたとしても、消防車が家事を起こしたわけではありませんよね。LDLコレステロールはこの消防車とおなじように、炎症が起きている血管を治すために集まってくるのです。
具体的には、LDLコレステロールは血管に炎症が起きている現場にかけつけて、血管を治すための材料を届けにきている、ということがわかってきました。
このような事実が明らかになってきたことで、最近では総コレステロールがすこし高くてもあまり気にする必要がないとされています。
悪い顔を持ち合わせるコレステロール
LDLコレステロールは「悪いヤツ」というわけではありません。しかし、いい人だと思っていた人でもなにかをきっかけに悪い人になることもありますよね。
これと同じように、LDLコレステロールも「あること」をきっかけに、悪玉コレステロールになることがあるのです。
その「あること」とは、「酸化」です。
血管のなかで炎症が起こったときに修復するためにかけつけるLDLコレステロールですが、炎症が起きているところには活性酸素が発生しています。LDLコレステロールはこの活性酸素と反応して、酸化LDLコレステロールになってしまうのです。
下記の記事でそのヤバさを解説したように、活性酸素はあなたの体や顔、肌を老けさせる絶対に避けるべき老化物質です。
酸化LDLコレステロールがアテロームになる
LDLコレステロールが酸化すると、体内の異物を処理する貪食細胞のマクロファージがこれを食べ始めます。
このときに死骸が溜まるとアテロームになります。上述しましたが、アテロームとは「主に脂肪でできている沈着物」のことです。
そしてこのアテロームが少しずつ増え続けて大きくなると、血小板がかたまり、血栓となります。最終的に、血栓が脳や心臓で血管をつまらせ、血の流れをせきとめてしまうのです。
ちなみに「血小板」とは、ケガをした際に血が固まるときなど、流血を防ぐ止血、血液凝固の役割を果たしています。これが血管のなかで固まると「血栓」となり、心臓の血管でつまれば「心筋梗塞」、脳の血管でつまれば「脳梗塞」になります。
日本人のおよそ4人に1人は、このようなアテローム血栓症で亡くなっており、早期予防が重要な疾患だといえるでしょう。
歯周病がアルツハイマー病の原因になる
恐ろしいのは、こうした血管の詰まりが原因で気づかないうちに認知症が進んでしまうことです。
下記の教養では「睡眠不足は認知症の原因の1つである」と解説しましたが、驚くべきことに「歯周病」も認知症の原因になることが明らかになっています。
脳には大小合わせて数多くの血管が張り巡らされていますが、そのうちの小さい血管である毛細血管がアテローム血栓症によって少しずつ詰まり、細胞が死んでいくことで静かに認知症が進んでしまうのです。
実際、アルツハイマー型認知症で亡くなった方の脳を調べると、歯周病菌の内毒素が高いレベルで検出されたという報告もあります。
つまり、もともとは口のなかにいた細菌が体内に侵入し、脳で毒素をばらまいてアルツハイマー病の原因となっているということです。
また九州大学の研究によると、歯周病菌を与えたマウスは、アルツハイマー病の原因となる「アミロイドβ」の量がおよそ10倍になるというデータもあります。
体のあちこちから見つかる歯周病菌
さらに、口のなかの細菌は脳だけではなく体中にいることが実際にわかっています。
東京医科歯科大学の岩井 武尚氏の研究によると、人間の足の動脈にいる細菌を分析したところ、その人の口のなかにいる細菌の種類と90%以上が一致していました。
さらに、血管になんらかの疾患をもつ患者およそ200人の血管を調べたところ、動脈壁の8割に歯周病菌が存在していたことが明らかになっています。
また、即死または死亡リスクが高いくも膜下出血が起きた部位からも歯周病菌がみつかっています。
これだけではありません。
フィンランドで発表された研究では、脳内の│動脈瘤<<どうみゃくりゅう>>(動脈が部分的に大きくなったもの)が破裂した部位からも歯周病菌が検出
ブラジルで発表された研究では、│13人の頸動脈狭窄<<けいどうみゃくきょうさ>>(頸動脈が細くなる病気)と大動脈瘤の患者すべてのアテローム性プラークから、虫歯の原因であるミュータンス菌が検出
など、多くの研究で血管疾患の原因が歯周病菌や虫歯菌であることが示唆されています。
このように口のなかの細菌は、比喩ではなく実際に体のなかに入りこんで炎症や疾患を引きおこすことで、老化や病気の原因となっているのです。
第2章
口のなかの細菌はあらゆる病気を引きおこす
第1章では口のなかの細菌が体内に侵入する「菌血症」の恐ろしさを解説していきました。
菌血症は体中で炎症を引きおこして老化や血管疾患の原因となり、結果的に寿命を縮めることにつながります。
さらに、この菌血症による慢性炎症は、妊婦さんにも悪影響を及ぼすことがわかっています。
妊婦さんが歯周病になるとヤバい
妊娠すると、「プロスタグランジン」という化学物質が分泌されます。
プロスタグランジンは胎児がおおきくなるにつれて多く分泌されるようになり、ある基準を超えると出産が始まります。プロスタグランジンはこのような作用をもっているため、陣痛促進剤として用いられているのです。
しかし、このプロスタグランジンは慢性炎症が起こっているときにも分泌されます。
これにより、妊婦さんが歯周病になると、
歯周病菌が体内に入りこむ(菌血症)
体内の細菌が毒素をばらまいて慢性炎症を起こす
プロスタグランジンが分泌される
という連鎖が起きて、予定よりも早い時期に出産が始まってしまうのです。
さらに、女性は妊娠するとエストロゲンという女性ホルモンが分ピルされる関係で、歯周病になりやすい体質になってしまいます。
したがって、妊婦さんは人一倍歯周病にならないように気をつけなければなりません。
関節リウマチも歯周病から始まる
関節に痛みや腫れが生じる「関節リウマチ」は、中高年の女性に起こりやすい病気ですが、これもまた歯周病そして菌血症が原因の1つとされています。
実際、リウマチ患者のヒザ関節滑液(関節をなめらかに動かす潤滑液の働きをする)には、リウマチ患者ではない人よりも何倍もの歯周病菌が検出されることがわかっています。
ガンも歯周病から始まる
さらにさらに、ガンも歯周病や歯の健康が影響しているのです。
従来、ガンは農薬やBPA、タバコなどの発ガン性物質や紫外線、ウイルスなどによって遺伝子が木津つけられることで、変異した細胞が増えることで生じるとされてきました。
こうしたことが原因もありますが、近年では「慢性炎症による遺伝子のメチル化」という現象が、ガンの原因になっていることがわかってきたのです。
「遺伝子のメチル化? なにそれわけわからん」
と感じる方もいるかと思いますが、安心してください。私もよくわかりません。
簡単にいうと、メチル化された遺伝子は「発現」しなくなる、という現象を指しています。
「遺伝子の発現」とは、遺伝子がもつ情報が細胞の構造や機能としてあらわれることを指しており、悪い影響を及ぼす遺伝子をもっていたとしても「発現」しなければ、問題はないといえます。
では、具体的になにが問題なのでしょうか?
ここで上述した内容を思い出してほしいのですが、口のなかの細菌には下記の2種類がいると解説しましたよね。
「内部の毒素をばらまくタイプ」は「内毒素=エンドトキシン」
「外部に毒素をばらまくタイプ」は「外毒素=エキソトキシン」
このうちの「エンドトキシン」によって起きた慢性炎症が原因で、ガンを抑制する遺伝子がメチル化されることで、ガン細胞が増殖してしまうのです。
第3章
白米で歯を失う日本人
さて、口のなかの細菌がいかにヤバいかが存分に伝わったところで、本来のテーマに戻りましょう。
ここまで長かったですが、今回の教養のテーマは「老ける白米」でしたね。
つまり、白米が口のなかの細菌を凶悪化させる犯人ということです。正確にいうと白米の主成分である「糖質」が犯人です。
私たちヒトが食べる3大栄養素である、
炭水化物
タンパク質
脂質
のうち、虫歯の原因となるのは炭水化物だけ、というのはご存知でしたか? そもそも糖質とは、「炭水化物から食物繊維を抜いたもの」であるため、当然ですよね。
その昔、人類がまだ飢餓と闘っていた時代において、糖質は貴重なエネルギー源でした。しかし、現代はその逆にパンやおにぎり、麺類、甘いスイーツなどで溢れており、糖質過多な環境におかれています。
これにより、糖質を食べる回数と量が増え、簡単に虫歯になってしまうようになったのです。
白いご飯がヤバい理由
そもそも、どうして糖質や砂糖が虫歯の原因となるのでしょうか?
この理由については、下記の教養で解説しましたが、ここでも簡単にみていきましょう。
砂糖や糖質が多いものを食べると、砂糖が大好きな虫歯菌(ミュータンス菌)が集まり、砂糖をエサに増えながら酸を出すため、この酸によって歯が溶けてしまうのです。
そして、このように歯の組織が崩れている状態を「脱灰」といいますが、これには「pH(ペーハーまたはピーエイチ)」が関係しています。
pHとは、1から14の数値で、液体が酸性・中性・アルカリ性なのかを表す尺度です。7を中性として、7以下なら「酸性」、7以上だと「アルカリ性」となります。
そして、歯は5.5以下の酸性に傾くと、歯の組織が崩れる「脱灰」が始まるため、pH5.5よいも酸性に傾くほど歯が溶けていくのです。
しかも、歯の根っこである「歯根」は、さらに中性にちかいpH6.7で脱灰をし始めるため、かんたんに溶けだしてしまいます。
虫歯にならないチンパンジー、虫歯に悩むヒト
このように人類は砂糖で、日本人は白米で歯を失ってきました。そして歯周病菌が体内に侵入して「菌血症」を引きおこし、アルツハイマー病や血管疾患、関節リウマチなどあらゆる病に悩まされています。
しかし驚くべきことに、99.8%の遺伝子が人間と一致するチンパンジーは、虫歯も歯周病にもならないことが、京都大学と鶴見大学の研究で明らかになっています。
なぜ、人間に極めて近いチンパンジーは虫歯や歯周病にならないのでしょうか?
その秘密は「食生活」にあります。
チンパンジーと人間の食生活の大きな違いは、「食材を加熱するか、しないか」です。私たち人間は火や電気を使って食材に熱を通して食べますが、チンパンジーは基本的に生の食材を食べています。
デンプンを加熱すると虫歯になりやすい
実は、デンプンは加熱すると虫歯になりやすい食べ物に変わってしまうのです。デンプンといえば、白米に多く含まれている炭水化物ですよね。
非加熱のデンプンは「βデンプン」と呼ばれる状態で、硬くて水にも溶けにくい性質をもっています。冷蔵庫に入れておいたご飯は硬くて美味しそうではありませんよね、あれがβデンプンです。
一方で、加熱すると適度な粘り気がでておいしいホカホカのご飯になります。これが「αデンプン」と呼ばれる状態です。このような「βデンプンからαデンプンに変わること」を「糊化」といいます。
では、なぜ加熱してαデンプンとなった白米を食べると虫歯になりやすくなるのでしょうか?
それは、唾液に含まれる消化酵素「アミラーゼ酵素」によって、αデンプンが口のなかで、悪玉細菌のエサになりやすい「麦芽糖」というカタチに分解されるためです。
ちなみに、ご飯をしばらく噛んでいるとほのかな甘みを感じるのは、このアミラーゼ酵素の働きによるものです。
冷や飯をレンチンするのはNGなワケ
しかし、加熱したαデンプンになった白米や芋なども、一度冷えるとβデンプンとなるため、虫歯になりにくいデンプンになります。
したがって、冷蔵庫に入っている「冷や飯」は虫歯になりにくい健康食といえるでしょう。
また、冷や飯には「レジスタントスターチ(難消化性デンプン)」という、糖質でありながら食物繊維と似た働きをする糖質が含まれるため、血糖値をあげにくいという意味でも健康食なのです。
ところが、科学技術が発達した現代では「電子レンジ」という便利な文明の利器が存在します。
この文明の利器で冷や飯をレンチンしてしまうと、再びαデンプンになってしまい、「虫歯になりやすく、血糖値をあげやすいご飯」になってしまうのです。
糖質を摂らなければ虫歯にならない
ここまで見てきた通り、虫歯の原因となるのは砂糖であり糖質です。つまり、砂糖や糖質を含む食事をしなければ虫歯になりません。
これは実際に研究でも明らかになっています。
スイスのベルン大学とチューリッヒ大学の研究では、4週間にわたって石器時代を再現した生活をおくったあと、口のなかの状態を調べました。
原始的な生活においては白米や小麦などの精製された糖質を食べることがないため、歯を磨かなくてもキレイな状態を保つことができていたのです。
つまり、歯ブラシや歯磨き粉、または高価な電動歯ブラシをつかわなくても、原始的な食生活をしていれば口のなかはキレイに保たれるということです。
砂糖や精製された糖質を食べずに、生肉や生野菜の繊維質なものを噛むことで、歯みがきをしたのと同じ効果があることになります。
口のなかのpHを意識する
前述したように、口のpHを意識することは虫歯予防においてとても重要です。
食事前の口のなかのpHは6.8でほぼ中性ですが、食事をすると細菌が糖分を分解して酸を出すため、たった2~3分でpHは4.5から5.5の酸性に傾きます。
歯はpH5.5で溶けだして虫歯になりますが、白米など精製された糖質や、純粋な砂糖などの血糖値があがりやすいものを食べると、さらに酸性に傾きやすくなります。
したがって、常にダラダラとおやつを食べていたり、飴玉をなめていたら口のなかはずっと酸性の状態になるため、歯がずっと溶け続けていくことになるのです。
したがって、食後や寝る前は歯みがきをすることでpHを中性に戻すことがじゅうようになります。
こうした歯のpHと虫歯の関係性と、歯を溶かさない簡単な予防法については下記の教養で解説していますが、簡単にいうと「唾液をだせば口のなかは中性にもどり、歯は溶けない」ため、唾液腺マッサージをして食後んいはガムを噛みましょう。
第4章
炎症を予防する食事とは
精製された糖質や砂糖などは体に炎症を起こしやすいため、虫歯を予防して炎症を起こさないためにも、私たちはなにを食べるか意識しなければなりません。
このような話になると「ご飯や砂糖のブドウ糖は、脳が使える唯一のエネルギー源だから糖質は必要だ」と考える方もいるでしょう。
しかし、「脳のエネルギー源はブドウ糖だけ」という話はウソです。なぜなら、脳はブドウ糖だけではなく脂肪からつくられる「ケトン体」もエネルギー源として使うことができるためです。
もちろん、「だから全ての糖質は不要」というわけではなく、玄米などの全粒穀物やサツマイモなどの糖質は体にいい働きをするため、食べることをオススメします。
ただ、白米やパンなどの精製された糖質でできている食品は体に炎症を起こしやすく、虫歯の原因になるため、これらを減らして「質のよい脂質」を多く接種するのがよいでしょう。
「質のよい脂質」とは
質のよい脂質とは、主に下記の2つを指しています。
一価不飽和脂肪酸(オリーブオイルなど)
オメガ3系脂肪酸(魚やクルミなどに多い)
一価不飽和脂肪酸については下記の教養で詳しく解説しているように、テストステロンの分泌を増やすことが期待されています。
一方のオメガ3系脂肪酸は、血管のプラーク形成を防ぐ働きをもっており、血管の健康を保つために重要な役割を果たしています。
また、抗炎症作用もあるため、普段の食生活で体が炎症を起こしている人にとっては必須といえるでしょう。
ただ、オメガ3系脂肪酸は熱に弱く、調理に不向きであり多くの人が不足しがちです。
そこで私はオメガ3系脂肪酸が多く含まれている、下記のアマニオイルを毎日納豆に薬味のように混ぜて食べています。ただ、アマニオイル自体はほぼ無味無臭であるため、味や風味はほとんど変わりません。
オーガニックかつコールドプレスされたものならこれじゃなくても問題ないため、ぜひ探してみてください。
また、オメガ3脂肪酸はクルミにも多く含まれているため、私は毎日ひとつかみ分のクルミをボリボリ食べています。うまいし体にいいしナッツは最強です。ただ、ナッツの脂質は酸化しやすいため、下記のクルミのように小分けされているものを選ぶと良いでしょう。
また、ナッツは塩が添加されているものもありますが、塩分のとりすぎにならないように素焼きのものをオススメします。
また、砂糖は虫歯の原因になりますが、下記の教養でも解説したように、砂糖は精神病リスクを高め内蔵の働きを止めてしまう恐ろしい作用があるため、シュガーレスな生活を心がけましょう。
「権衡の教養」では、下記のような記事もよくみられています。
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