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傷口に絆創膏

治らないから次の傷を作れないのではないか、ふと思った。

ゆっくりゆっくり気づいたら底にいるように歩いてきてしまって、動けなくなった。
こうなってしまっては、もう仕方がないとさめざめ泣くしかない。
痛みが癒えない。
日々のほとんどでは根源的な痛みを忘れて生きている。
薬を飲んでいるように、上から覆っているように。
なぜ薬を飲んでいるのか忘れて、薬を飲むことを恥たり疎んだり嫌悪する。
がりがり爪でいじくるようになってふいに剥がれて皮膚に風が当たる。
普段はどうというでもないただの水や風が、とても痛くて、染みて、刺激的になる。
いつまでも治らない。
日々が少し楽になる代わりに治らない傷口にしてしまったのは、果たして本当に楽なことだったのだろうか。

わたしは精神科に行ったこともないし、臨床心理士の先生と面談しても診断は受けなかった。
きっと、みんな色々抱えてる。
私が想像もできない複雑さを伴った、痛くてジクジクする傷を。
癒えない傷口にしているひとも多いはずだ。
今日は特に傷口が痛くて、そう考える余裕がなかった。
相手にも、自分にも、余裕がなくて、いつまでも関係性の悪循環が終わらない。
どうしてもかなしい。
どうしてもくるしい。

明日がどうしても来ないでほしいと久々に深くそう思った。
痛い。
週末の約束までにどうにかなってほしい。
副作用のすくない薬を見つけたい。
息が浅い。

眠る前だけ、どうにかなった気持ちになれる。
眠る前が、眠る瞬間が、永遠に続いてほしい。
明日も何もやることができていない部屋で起きて、なにもできずに昼間を過し、このコントロールのできなさに絶望して怒りが湧くと思う。
どんなに恐ろしくても人と約束したくなってしまう、だけれど、いつもギリギリだ。
一か八かの賭けにつかれる。

この不可解なコントロールのできなさは、言葉を尽くし誰かに伝えようとしても伝わらない。
惰性に対する言い訳にどうしてもなるから。
動ける瞬間と動けない瞬間を細かく行き来するから、嘘になりやすい。

いたい。


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