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コスプレと亀裂

コスプレイベントに行ってきた。
色々感じたことは過ぎていって、今は足の裏がジンジンしてる。

着いた時、わくわくする。
亀裂だ。
世界に亀裂が入っている。
エレベーターを降りるところに騎士のような格好のひとがいる。
白に近い黄色の髪の毛。
ごつごつした装飾品に赤いマント。
ぐわんと自分の世界の足元が揺れる。

フィクションの世界と、わたしがいる世界は、本来交わらない。
わたしは犬のシャーロックが大好きだけど、彼の載る新聞や彼の後ろ姿を見れる世界はどこにもない。
そんな訳の分からないところに、亀裂が入る。
真似るような格好で歩いていく、それが歪に世界をかえる。

違和感があればあるほど好きだ。
交わりきれなかった髪の毛の歪みや肌の凹凸がすきだ。
どこでもない、その人がいたい世界になる。
どこにもない此処。

判断するような目を向けられるのはほんとうに疲れるけれど、自分を剥き出していくのは恐ろしくてとても楽しい。
髪の乱れも汗も半目のおしゃべりも気にせず声をかける。
その時の自分にしかない必死さに夢中になる。
いつも必死になれない日々がぐらつく。
痛みから笑みが零れる。

歪み続けてほしい。
この世界にひょうひょうとしていないでほしい。
口をほとんど動かさずにしゃべるえらそうなひとの言葉なんて超えて歪んでほしい。
そしたら、どこにいるのか分からないのは怖くもなんともないから。

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