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大好き

あなたが友だちであることを願っている。
あなたが私のことを嫌に思っていないといいなと思う。
あなたのことが好きなのか、あなたのことが怖いのか、わたししか見えていないのか。

「天才。大好き」
言われた時、私は顔をしわくちゃにして笑った。
虚しさが顔に張り付く。
このひとの特別になれない。

ひとに、居ていいと、あなたが来てくれてよかったと伝えてもらえないと、自分はいない方がいいのではないかと思考が飛躍する。
ノリについていけない。
あと2歩で落ちそうな崖。
気をつかってくれていた。
椅子を持ってきたり、感謝を口にしてくれたり、お菓子を受け取ってくれたり、みんながみんな集まっている時ひとり外側にいる私に、声をかけに来てくれた。
やさしいひとだと思った。
悲しかった。

私はなぜ写真を撮るのだろう。
撮る時はよく分からない。
撮らない時はもじゃもじゃ考える。
それですこし自分が嫌になる。
私は写真を大切にしていない。
私は人を大切にしていない。
わたしは、それらをツールだと思っている。
自分というものが少しマシになるかもしれない、少し明日が楽になるかもしれない、そういう。
ツールだと思うものは壊れていく。
私はいつも色んなものを壊してきたけど、最近も狭間を彷徨い続けているように思う。
奥には触れられず、ふかふか上の言葉に酔う。

私は楽しいことがあまり書けない。
そう思う。
私は楽になりたくて書いているから、楽になりたいと思わないときには書かない。
ありがとうと思う。
あくびをする。
頭をガムテープでぐるぐる巻きにされた後みたいにぼーっとする。
あの子は僕の特別だろうか、僕はあの子のどこにいるだろうか。

たのしいのに、楽しかったのに、虚しさと不安は下着みたいにある。

「大好き」が苦手だ。
嘘をついている気持ちになる。
みんなに言う、そういう状況のとき。
大好きじゃない。
だってあなたのこと何も知らないし、あなたに特別惹かれているわけでもないから。
だけど、あなたはそういう相手であるわたしに大好きだというから、私も目を見ないようにしながら大好きと言う。

うそをついてないと何となく思ってる時は、目を見るのはそこまでしんどくない。
どこかを取り繕っていて、何かを恐れていて、自分も相手も意図しない踏み込みを許容できないとき、相手の目をねっとりとしたものに感じる。
破かれては困るから、目を見れない。
破かれるものなどなければ恐ろしくならない。

2ヶ月近く済ませられていない約束事や用事がある。
一生終わらなくないか。
とりあえず今の自分の一生では終わっていない。
そういうことが溜まりすぎる。
溜まりすぎる。
誰かが抱きしてめくれたらがんばれそうなのに、その誰かと出会うまでの過程を私は踏めない。

扇風機ありがとう。だいすき

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