BOOK:「ちいさい言語学者の冒険 子どもに学ぶことばの秘密」(広瀬友紀著・岩波化学ライブラリー)
今回は少し趣向を変えて、子どもの言語習得について参考になったり面白かった本について、書いてみたいと思います。今後も、ちょこちょこ、このような読書記録も投稿していければと思っています。
なお、以下は4年前、長男が2歳の頃に書いたものです。
友人からすすめられた「ちいさい言語学者の冒険 子どもに学ぶことばの秘密」(広瀬友紀著・岩波化学ライブラリー)を読了!東京大学で教鞭を執る言語学者であり一児の母でもある広瀬氏が、自身や身近な親たちが観察した事例を豊富に交えて、子どもの言語獲得の過程をつづっています。専門用語は最小限に抑えて、やさしい言葉でユーモアたっぷりに書かれていてとっても読みやすいのですが、気づけば言語学の各分野(音声学からプラグマティクスまで)をざざっと網羅しているという秀作でした!子育て中の方はもちろん、言語学や言語獲得のみならず(第二)言語習得に興味のある方にもおすすめです!第二言語としての日本語を米国の大学で教えながら、日英二言語環境で2歳児を育てようとしている身として、色々と気づかされるきっかけとなりました。
最近、息子が「Dada say “ambulance” Mama say きゅうきゅうしゃ」 などと言うようになり、父親(英語)と母親(日本語)が話しかける言葉が違うことに気づいている様子。これぞメタ言語認知能力の芽生え、とほくそ笑んでいたのですが、父親がたまに日本語の単語を使うと「そうじゃない」感をむき出しにして抵抗し、英語に直させるというこだわりを見せて、息子にとっては、言葉と話者の結びつきがいかに重要なことであるかを感じさせられました。
また、「小さい言語学者・・」を読んで、自分でもこれはちょっと面白いなと気づいたこと。息子は英語の[r]と[l]は別のカテゴリーとして知覚しているようですが、私が話しかける際の日本語の「ら行」をどのように位置付けるべきか結論が出ていない?様子。以前から知っている「くろ、しろ」の「ろ」は若干英語の[r]寄りで発音しているのですが、最近学んだ「ら行」を含む他の単語は別の音で置き換えるようになって来ました。例えば、“レオ”は “セオ seo”など。
これを二言語環境で育てることによる混乱と言ってしまうこともできるかもしれませんが、「小さい言語学者・・」を読んだ後で感じるのは、子どもが日々いかに周囲の環境から一生懸命学び取って、自分なりにルールを見つけようとして試行錯誤しているかということ!第二言語習得でも学習者の中で形成される中間言語という考え方があるのですが、同様に、今まさに発達途上にある子どものクリエイティブな言語産出を目にしているのだと考えると、なんだか感激してしまいました。これからも子どもの成長と共に大いに楽しませてもらえそうです!
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