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寛容とは想像力を働かせることかもしれない

とふと思った。

そう思うきっかけとなった事件?はルクセンブルクでのクリスマスの夜に起こった。

ルクセンブルクに住む、ビジネススクール時代から仲良くしている友達から
クリスマス休暇にもう一人のロシア人の親友と一緒に遊びに来るよう誘われた。私たち3人は在学中同じプログラムのクラスメイトで、いつも一緒だった。彼女はインターンから、ルクセンブルクに引っ越して、そのままそこで彼氏と一緒に暮らしている。まだ出会ってから2年少しなのに、もう家族ぐるみのように仲良くさせてもらっている。やや吊り橋効果に近い感じで、それぞれ母国から離れ暮らしているから、結束力が生まれやすくなっているのかもしれない。

そして25日はクリスマスディナーを開くことになり、私たち以外にも、ルクセンブルクでの親しい友達を誘うこととなった。

一人はマレーシアの子で、笑顔が可愛らしく、周りに質問を投げて話を回す社交上手な子。ああ誰からも好かれるだろうなという子。

もう一人はトルコの子で、この子も同じくらい社交的で、子供と接するのが大好きで、教育関係の仕事に携わりたいと言っていた。子供が好きなんて、寛容で優しい人なんだろうなと思った。

ディナーは0時を回った頃まで続き、じゃあそろそろクラブに繰り出すかという流れになった。ルクセンブルクに遊びに来るたび、必ずクラブに駆り出されるのだが、ルクセンブルクに若者の間では、クラブ文化が強く根付いているのかしらと思わされるレベル。話が逸れてしまったのだけど、行く前にテキーラショットを何杯かしようというふうになった。するとトルコの子(Tちゃん、以下略)は、食事中はシャンパンも赤ワインも嗜んでいたけど、『テキーラショットは遠慮するわ』と頑なに拒否をしていた。

そしてみんなでバーを2軒ぐらい回ったところで、Tちゃんは、彼氏とその友達と合流して、途中で別れることとなった。別れ際も、彼らと一緒にまだここに残っていいかな?と申し訳なさそうな感じで断りを入れて、ああこの子は(私と違って笑)配慮ができる子なんだなと思った。

そして私たちは他のバーに向かった。私とルクセンブルク在住の親友はトイレに行きたく、そのバーにあるトイレの長蛇の列に並ぶこととなった。すると突然、
Tちゃんがやってきた。『なんでいるの?!びっくりなんだけど』っていう話になったのも束の間、彼氏と一緒に列なしの男子トイレに一緒に入っていた。

数分後、その男子トイレから女性の悲鳴が聞こえた。

何事?と思ったところ、すぐにTちゃんが出てきて、どうしたの?って聞いたら、『トイレが壊れて汚物が逆流し始めたの!』と眉に皺を寄せそう言い、そのまましれっと女性トイレの列の一番前に入り込んだ。

女性トイレから人が出て、Tちゃんがそそくさと入っていこうとした瞬間、もともと一番前に並んでいた女性が、彼女の腕を掴んで、”No, I was the first, you need to wait in the queue”『私の番なんだけど、並ばないとダメよ』と言い、入るのを制御した。”GET OFF YOUR FU*KING HAND!!!, LET ME JUST GO FUCKING PEE!!!”『ちょっと手を離しなさいよ!!!ありえない!!!おしっこ行くだけじゃない!!!!』とヒステリックにいい叫び、腕を振り下ろして、強行突破で女子トイレに入っていった。

私は目の前の光景を一瞬疑った。でも、ヒステリックに叫んで列を無視して女子トイレに入っていった子は、紛れもなく優しい印象で気遣いのできるTちゃんだった。並んでいた人たちは、あの子ちょっとキチガイだねと言って信じられないという表情をしていた。用を足した後トイレから出てきた時は何もなかったように出てきた。私と友達はどう反応ていいかわからず苦笑いして、その場をやり過ごした。私は、Tちゃんと知り合ったばかりだし、まだ友達じゃないから、遠慮なく「あれはちょっと流石にないわ、さすがに、あんな子とは友達になれる気しない」とボソッといってしまった。一方で、彼女の前で笑ってスルーした彼女のことも少し疑った。
確かにルクセンブルクは本当に世間が狭いから、みんなと仲良くしておかないと色々難しくなるというのはわかるけれど、道理や道徳より、そっちを優先するんだなと思った。でも、確かにそれが賢明な判断ではあるのはそうだ。安定した生活が大事だもの。彼女はとてもプラクティカルで器用な人なのだ。私はそれから程遠い
。それがもう一つ生きにくいと感じる理由かもしれない。


そして2日後、私は、その時のことをふと思い返した。
私はあの瞬間、私の中で彼女を切り捨てたけど、果たしてそれは正しい判断だったのかと考えた。それは短絡的で不寛容な判断だったかもしれないと。
彼女は、お酒を飲むと、気が大きくなって、感情が昂りやすい気質なのかもと思った。
だからテキーラを飲むのも拒否したんだと思った。たくさん飲みすぎて、気が大きくなって一回失敗した経験があったから、今回は自制したのかなと思った。

もう一生会わない人であれば、そこまで考える必要はないだろうけれど、
友達とかであれば、一度の失敗で切り捨てるのではなくて、
寄り添ってあげる、更生するチャンスをあげれるそんな人になりたいと思った。


すごい偽善っぽく聞こえるし、偽善かもだけど、アルジャーノンに花束を読んでから、もっと優しい人間になろうと心がけている。優しくなる寛容になる、これは私の一生のテーマかもしれない。


最後にルクセンブルクのクリスマスマーケットのレポ。笑

パリのチュイルリーとかより全然綺麗(小声)
ルクセンブルクは基本曇り空なんだけど、この日は雲一つない青空で、夕焼けが綺麗。
夕焼けバックのクリスマスツリー美しい。
アマレット入りホットチョコレート。これが本当にめちゃうまいのよ。
お供のチュロスも最高でした。






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