設計された場、されぬ砂丘。陰と陽。―山陰を行く番外編
介護職の夫。非常に珍しい土日連休が9月のシフト表にありました。
月に2日取得できる希望休を申請すれば、土日という連続した休みは可能ですが、夫が自動的に“土日休み”になるのは、年に一度あるかないか…です。
でも、介護職にとっては、連休より飛び休のほうが身体はラクなよう。
「9月11日と12日の土曜日・日曜日連休やん!どっか行く?
8月の“一週間リフレッシュ休暇″ー山陰の旅は最大5泊できるところ、4泊で終わりにしたから、一泊分浮いたんよね。一泊してもいいんちゃう?」と夫。
天気予報を見るとこの土日、山陰地方は晴れマーク。
もう一度、山陰行く?
よっしゃ!鳥取に行こう!!
森の国へーこの感覚は。
ということで、向かったのが大山にある森の国。西日本最大級と言われるアスレチックのある公園です。先月の旅行の際、調べていて目に留まっていたのですが“雨で、雨が止んだとしても遊具が濡れていては遊べない”と断念したのです。
香川の自宅から3時間かからないくらいで森の国に到着しました。
大人900円、子ども700円の入場料を支払い、入場します。
子どもの遊ぶ様子を見守るだけでない。
大人も一緒に遊べる!
ダイナミックな遊具、サイコーです!
なんっても、「安全」に重きが置かれすぎていないところがいい。
縄にしっかりつかまって、離したら落ちるよ、怪我するよ…。
この感覚、なんか良かったのにな。
今、あまりないなぁと感じます。
最近の、公園に設置されている遊具は「0-6歳」とか対象年齢が記載されていることが多くて。
記載されていて、それ通りに遊んでいる子どもは皆無なことでしょう。
安全ありき。
ブランコだって、落ちないように設計されていたり。
私がかつて遊んだような遊具が残っている公園では、遊具にロープが巻かれていて、今は使えないようなっていたり。
一方で、森の国にある遊具は、野性味あふれるものがとにかく多かったんです。
安全よりも“たのしさ”がある。
こんな“暴れ馬”みたいなものさえ、笑。
危険も伴うけど、思いっきり遊べる感覚。
リスクを握りながら遊ぶってこと、久しぶりの感覚でした。
こういう感覚を味わっておくことは、子どもの成長に大切じゃないのかなって思います。
4時間ほど遊び、16時近く。まだまだ遊べたところでしたが、鳥取市内にホテルを予約していました。現在地から鳥取市内までは一時間半以上かかるため、遊びを切り上げ、鳥取市内へ車を走らせます。
「お腹すいたね。夕食にたどり着けないパターンは避けたい。道中、食べて行こ!!」
検索すると…
「このまま走れば、出雲そばが食べられるお店があるよ!」
ということで、出雲そば。
やっぱり美味しい出雲そば。
満足して、無料高速道路から、ひたすら続く国道9号線へ。
後ろから、真っ赤な太陽が追いかけてくるようでした。
これは車停めよっ。
慌てて脇道に入り、カメラを構えました。
砂浜のうえって、どうしてこうも気持ちよいのでしょうね。娘はすぐにサンダルを脱いで素足で駆け回ってました。
19時、鳥取市内のシティホテルにチェックイン。”和室”が空いていたため、ツインの和室ルームに。やっぱり畳は寛げる~
翌12日。
鳥取の喫茶店といえば、「すなば珈琲」
ホテル内に併設されていて、朝食です。サイフォンで丁寧に淹れられた一杯はとても美味しい。
天気予報は「晴れ」。前回と違って、まったく天気の心配はないはずでした…。
誤った判断
山陰ジオパークを冒険しようと、西へ、西へ。
夫が「ここいいんじゃない?」とめざしたのは、兵庫・但馬から京都へ入ったら間もなくの「琴弾浜」。絶景なんじゃない?と…。
だけれども、晴れ予報だった天気は、予想外に“雲り”。時間が経過しても日差しがほとんど差しこみません。太陽が見えない…。
あれれ?
スマホで天気予報を見ると…
「晴れてくるのはお昼過ぎ」
むむむ。
兵庫県に入りました。
京都府に入りました。
で、道の駅に寄るも、コロナの影響で休業中!!!
しまった…
兵庫も京都も緊急事態宣言期間だった…
「琴引浜」も、閉鎖中だったのです。
入り口手前にロープが張られ、車を進めることができません。まったく進めません。
お先真っ暗。
上空、灰色。
幸い、時間だけはまだ12時前でした。
「これ、鳥取まで戻ったほうがいいよね」
娘も「つまんないー」「かえりたいー」
そりゃそうだ!!
ごめんっ!!!
完全に調子に乗っていました。猛省する夫婦。
ここでやっと気づいたんです。
島根・鳥取は、まん延防止も適用されていない県だったと。
だから旅人に、県外者に、不要不急に外出している者に対しての“何か”は“何にもなかった”のだと。
鳥取へバックするしかない!!
鳥取に戻って、海で遊ぼ!
ということで、車を飛ばして、13時半。
海に車を停めたところで、寝ていた娘はナイスタイミングで目を覚まし、泳ぐ気マンマン。
上空は、まったくの曇り空にもかかわらず、透明度がすごい!
瀬戸内海も美しいけれど、ここまでの透明度はありません。海底がはっきり見えて…徳島の穴吹川の透明度を思いだしました。
そう。川みたいな。
※海遊びに夢中で、写真がないのです〜sorry!!
陰と陽
海遊びを終えたのが16時。お昼ご飯を食べ損ねていたため、地元スーパーでお弁当やお惣菜を買いこみます。
“鳥取砂丘を見ながら、食べてから帰ろう”
17時すぎ、砂丘を見下ろせる場所に車を停めて、少し早い晩御飯。
砂丘の夕日を見たかったのですが、残念ながら全体的に雲がかかっていて、夕日は望めません。「遅くなるし、もう帰ろうか」と話していたところ「砂丘で遊びたい」と娘。
前回訪れた時の記憶がよみがえったのでしょうか。
突然、“遊びスイッチ”が入りました。
鳥取砂丘とは、子どもにとっては「大きな、大きな砂場」。
日本一の砂場と言えるもんね。
楽しくないわけがないよね。
午前中、悪いことしちゃったし。いいよ。遊んでこっか!
海でたくさん遊んだのにも関わらず、疲れたそぶりは一切なしに砂の上を全力疾走。
「はしろっ」
丘の上から「よーいドン!!」
海辺から丘の上に登るの、めっちゃめっちゃしんどいんですけど。
太陽が沈み、空の色が紅色へ。
海の上に、船の灯りが点り始めます。
暗くなり、昼間とは雰囲気が一転。
幻想的な砂丘の風景なのでした。
こんな雰囲気を味わえるなんて予想外。
結局、砂丘で一時間以上遊び、時刻は19時。あたり真っ暗。
そこから4時間。
香川の自宅に到着したのは深夜23時。
娘は、車中ぐっすり眠っていたのでした。
(揺さぶっても、自宅に着くまで起きなかった…)
“山陰”と言われる所以を、実感した一日でした。
陰と陽
“晴れの国おかやま”などと言われる岡山、山口…山陽地方と、雲がかかりやすく、雨の多い島根・鳥取…山陰地方。
いつのときも大切なバランス感覚。
旅ならなおさら、人に対しても何時だって。謙虚な心持ちは。
忘れちゃいけないんだよな。どんなときも。