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ダイアログ・イン・サイレンスー「身体をつかう」を思いだす
忘れられない体験・DID
東京・竹芝にある「対話の森―DIALOG DIVERCITY MUSEUM」。2年前に私はここで“ダイアログ・イン・ザ・ダーク(DID)を体験しました。光ゼロの真っ暗闇の空間で、視覚障害のあるアテンドのもと、数人でさまざまなワークや体感をしていくというもの。
これが本当にいろんな気づきがあった忘れられない時間で…。
IN THE DARKだけでなく、音のない空間での体験・IN SILENCEもあると知りました。今回、上京するタイミングで体験してきたのです。
またしても、伝えずにはいられない!
ので、書いていきたいと思います。
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私が参加したのは、2月17日土曜日、14時半からの回。1回につき、最大8名までで、この回は満員。参加者のなかに、20代とみられる聴覚障害のある女性がいました。耳の聞こえるお母さんとともに参加しているようです。手話でお母さんと会話をしています。彼女がとにかく素敵な佇まいで、表情が豊か。
「集合してくださーい」
参加者(私たち)は、スタッフ・みちさんの明るい声で白いドアの前に立ちます。ドアの扉が開き、突如として現れたのが聴覚障害のあるアテンド・ぶたさんです。
タタタタタッ…
「えーっ?!」
私たちの間を通りすぎてしまったぶたさん。
私たちはぶたさんの方へ一様に振りむきます。
ぶたさんも驚いて困った様子。
「こっち、こっち」
手招きする私たち。
ぶたさんはボディランゲージで
「あなたたちが今回の参加者?」(と、表現していたと思います)
頷く私たち。
胸をなでおろし、ホッとする表情を見せるぶたさん。
ここで、ぶたさんの“演技”が解けたようです。場面が切り替わりました。
「ようこそ~!!!」
みちさんが挨拶をし、幾つかの説明事項を聞きます。そして、みちさん、ぶたさんを表す手話を教えてもらい、私たちは「OK!」(覚えました)のサインを。
さあ、ここからはヘッドホンを装着。“会話なし・言葉なし・手話なし”というルールをもって、表情とボディランゲージでコミュニケーションをしていくエンターテイメントに出発です。みちさんと別れ、ドアは開かれます。ひとつめの部屋へ。
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「手のダンス」から始まって、溶けていく緊張 消えた恥じらい
「ドキドキしますよね。でも大丈夫!心配ありません(^^)!」
ぶたさんのボディランゲージによるメッセージが伝わってきました。
“このメンバーでこの時間をenjoyしよう”。
一同に、そんな雰囲気が醸されました。
ここからは、幾つかのエンターテイメントを部屋ごとに体験していくのです。「手のダンス」から始まり、「表情」や「手の動き」で伝えたいことを伝え合うプログラムやクイズを楽しみます。
懸命に伝えようとしたし、分ろうとしました。お互いに、真剣に。笑いもたくさんありました。
なかったもの、あるいは喪失したものと言えば、“恥じらい”。
あっという間に時間が経過していきます。
私の感じたLOVE 凪
最後の部屋へ。いよいよDIALOGタイムです。みちさんが加わります。
円座になって、大きな丸型の紙を膝の上に乗せました。
“どんなLOVEを見つけましたか?”という問いへの応答を、私たちはマジックで書いていきます。
笑顔、見つめ合い(アイコンタクト)、伝わる嬉しさ、楽しさ、初対面にもかかわらず一体感があった、赤ちゃんを両手に抱くあの感じ…等々
みんな、それぞれに書き込んでいました。
私はというと、「凪…穏やかな時間」と書きました。みちさんに説明を求められ…
なんていうのかな、ゲームをしているときは必死だったのだけど、全体的に流れている空気が穏やかだったんですよね。梨のこと(好きな食べ物をボディランゲージで伝えるゲームがあって、私は「梨」と言いたかったのですがなかなかうまく伝えきれなかったんですね)も“あぁ、どうしよう~”と困ったりもしたのですが、みなさんがフォローしてくれたり、分ろうとしてくれたり、安心感がすぐそばにあるというか…。
と話す私。大きく皆さんが頷いてくれます。みちさんが手話でぶたさんに同時通訳してくれました。
空気に集中していた…
ちなみに、参加した8人の半分以上が手話ができるメンバーでした。聴覚障害のある人に関する仕事をしているのでしょうか。物腰がやわらか。表情もやわらか。提供されるプログラムを大らかに楽しんでいる感じで、ちょっとうらやましさも感じました。先に述べた視覚障害のある若い女性なんて、もう…。表情に美を感じました。
私は言葉を失うことへの戸惑いが大きく、最初は特に余裕がなくて。
だけど、分かってくるんですね。
分からなくても、その分からなさを受け入れ、分かろうとする。そのプロセスを大きく味えばいいのだと。
それぞれの書き込んだことに対し、声を発していきます。頷きながら、ときに笑いながら。
「空気に集中していました」
こんな発言がありました。
確かに!!って思います。
同じ時間を過ごすって、こういうことだったよね、と。
一緒に居ながらにして、実は分断してしまっている時間も多いかもしれない。
目移り、心写りしやすい社会だし、暮らしになってしまっているような。
“心、そこに在らず”かもしれない。
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だから、このダイアログ・イン・サイレンスを経て、気づくことがあまりにも多いのかもしれません。
私たちは言葉に頼らなくとも、こんなにも自分の身体で、表情で、様々なことを表現できるのでした。
ひとの仕草、表情とは、こんなにも豊かなものだったんですね。
”いい時間”を過ごしたことは間違いありませんでした。全員が充実感ある表情です。
こんな時間を過ごし、こんな感情を抱けていたら、世界で起きている争いも起こらないよね。
「凪」ですね。「凪」に、きっと在りたい方向があるよね。
ぶたさん、みちさんが手話でこのように言ってくれました。
そんな「凪」に向かう矢印をみんながマジックで書き込んでいって、対話の時間も終りを迎えます。
参加して、ほんとうに良かった!!
この体験・経験は、ひとつの大きなwell-being。
DIDもサイレンスも、開催時期によって内容が異なります。参加メンバーによって生まれる空気もあるでしょうから、何回も楽しめることでしょう。
ぜひ、体験してみてください。
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今度、ダイアログ・ウィズ・タイムなんていうプログラムが開催されるようです。ヘルプマンの仕事をしている身としてはとても楽しみです。