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徳島県・上勝町の旅:苔とゴミとパラダイス
梅雨。雨滴る一日。
小さな日帰り旅がものすごい印象を残したので記しておこうと思う。
山犬嶽
名前からしてパワーを感じる山。
苔がすごいとの情報を得て、梅雨に入ったら行きたい山だった。
場所は徳島県上勝町にある。
出発の日曜日、朝から雨が降っていた。雨でもいいんじゃない?と出発を決める。
けっこう道中どしゃぶりだったけども、ま、もう濡れてもいいし。覚悟できてる。
途中、ビッグひなまつりで有名で2度ほど来たことのある勝浦町。
道の駅でトイレ休憩と産直で買い物。
野菜の充実度もすごいんだけど、海に面していないまちなのに、刺身やお寿司がたくさん販売されていて驚いた。しかも安い!!
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勝浦町を走っていて、気づいた。魚を売る店が幾つもあることに…。そうか、みんな魚が好きで、買うんだ。需要があるからきちんと届くんだなと。四方八方、山に囲まれたまちであるのにこの環境はうらやましいなと。
美しさ
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そんな勝浦町を抜け、山の中の道をひたすら進めば上勝町に入る。
間違いなく田舎なんだけど、寂れた雰囲気がない。道が美しいのだ。
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と道中、あ!!ここ!!!!
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見学時間はゴミステーションのこの受け入れ時間後。
土日は15時半からなのでした。なら!!帰りに寄ろ、絶対寄ろ!
360℃異空間
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登山口着いたら、高知からのバスが2台も!!
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車内でお昼ご飯を食べて、カッパを着込んでいざ。
案内板があるのでわかりやすい。そして、めちゃくちゃ歩きやすい登山道。
30分ほど進むと現れた異空間。360℃、すげえ…
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予想を超えた景色が360℃広がっていました。
で、何か大きなものが動いたけど…ん?
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グーグルレンズで確認すると…二ホンヒキガエル!!
もう少し散策したりしたかったのだけど、カッパに雨が沁み込んできて身体も冷えてきたので、退散することに。
頂上へは、また来ればいい。
下山すると、娘が「イモリがたくさんいる~!!」と大きな声を挙げます。
指さす先には…
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わわわわわ!!!こんなに野生のイモリ。すごすぎやろ!!
そんな山犬嶽をあとにして、まず向かったのは月ヶ谷温泉。
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濡れて冷えた身体をあたためて…。いやいや、美しい温泉だったなここ。
ゼロウェイスト・センター
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身体も温まったところで「絶対に寄ろ」と“ゼロ・ウェイストセンター”へ。
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上勝町について私がもっていた知識は「葉っぱビジネス」で有名な町であることと、ごみの分別が45にも及び、ごみを出さないようにしている町であること。
ゼロウェイスト・センターはテレビなどでも特集されているので見たことがあったから興味深々で「行ってみたいな」とは思っていた場所でした。
あらためて上勝町について。
人口約1300人(最新情報と比べたら2年間で150人くらい減ってる…)の四国一小さな町。
徳島県の中央に位置して、四方八方山に囲まれてます。
ゼロ・ウェイスト=無駄・ゴミ・浪費をなくすという意味。
ゴミをどう処理するかでなく、ごみを出さない社会を目指す考え方。
「無駄をなくし、ごみの出ない暮らしをしよう」と2003年に日本で初めてゼロ・ウェイスト宣言を出す
さて、センターに到着すると、ちょうどスーツをきたおじさまたちの集団と鉢合わせ。見学ツアーと重なってしまって、「あらら…ひとがたくさん」とちょっと見学しにくいなと残念に感じたその瞬間、「良かったら一緒にどうぞ!!」と説明する方が声をかけてくださってので同行させてもらうことに。ラッキー!!
ルール改正などで、最近ごみ分別は43になったとのことですが…こんなに細かく分かれてる!!
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センターには、ホテルや「くるくるショップ」などが併設されていまして、これがまたオシャレ。
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おしゃれ~!!!
ここは「ゴミの総量を減らすためのショップ」とのこと。
こういう”場“が町に一つでもあれば、ホント、リサイクル・リユース・リデュースが進みそう。私の暮らすまちでも、子どもの衣類リサイクルのイベントなどが行われているのは知っているのだけど、指定の日時に行くことがなかなか難しかったりするので、常にこういう場があればありがたい。気軽にモノを置きに来れて、隣におしゃべりしたりできるスペースがあれば、ほんといい。
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で、説明を聞いて驚いたのが…
よーく見て。
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窓枠が…みんな違う!!!!!
「住民の寄付による窓枠なんです」
なんと!!!
そして、この丸太。
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3枚下ろしみたいになっていて、ダンパーの役割。丸太から無駄なゴミを出さないようにカットしていると聞いてまた驚いた。
ごみは、いつ生まれる?
「来て頂いて感じられたと思いますが、道が狭いですよね。上勝町ではゴミ収集車が走っていません。これがごみ分別などが上手くいっている理由でもあるんですけども」と。
確かにこれを聞いて思います。
ゴミって、ごみ箱に入れた瞬間に“ごみになる”だけであって、ゴミの概念はいかようにも変化できるんだよな。
で、一方で。
軽トラしか走れない道幅なので、消防署がない。(消防団を結成している)
救急車が来ない。(救急車を呼ぶのではなく、役場にコールする。すると救急車みたいな車が来る。救命措置は…してもらえない。本当にヤバいときはドクターヘリを要請する。町内に2か所ヘリポートがあるとのこと)
これをどう捉えるかは人それぞれでしょうけど、“覚悟が決まる”よなって。
有事のときは、自ずと協力する体制があるということ。
コミュニティがそれだけ濃くなるということ。
有事への意識が高まるから、それにまつわるリテラシーがつくはずだし。
上勝町の公式パンフレットを手に取ればわかる。
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堂々としてる。
「私たちはこう在るんです」
「こう在りたいんです」
って言ってる。
受け入れて、前に進んでいる自治体なんだな、間違いなく。
こんなまちの在り方、かなりカッコイイなと思う。
あ、視察ツアーのおじさまたち。
京都から!
京丹後市19の区長さまたち。どうりで雰囲気が、身のこなしが丁寧なわけだ。
遠くから、学びに来たんやなぁ…
京丹後市、これからが楽しみなのでは?!