Power of オシャレ
ロバート秋山のクリエイターズファイルの着想が面白い。思わず膝を打つようなキャラクターは架空の人物とは思えないほどだ(しかし正直、動画を見ると内容が冗長でそれほど面白くはないのだが...)。
最近興味深かったのが、レンタルなんもしないクリエイターのナグモ・トモである。
あるクリエイター集団が、彼をクライアントとの会議に参加するレンタルメンバーとして雇うと、彼は明らかに周囲となじまない異質なファッションに身を包んで現れ、何もしないでただその場にいてくれる。
しかし、彼がいるだけでこの集団は「なんか凄そうな雰囲気」を醸し出し、他社との差別化を図ることができるのだ。
例えば、クライアントが難しい要望を出してきたタイミングで、彼がさもつまらなそうにため息をつこうものなら、クライアントは今の要望はこの得体の知れないハイパークリエイターらしき男にとって、とんでもなく的外れだったのだろうかという疑念が沸き上がり、ついついトーンダウンしてしまうだろう。
結果、クリエイター側に思わぬイニシアティブさえ得ることも期待できる。
それもこれも彼のぶっ飛んだファッションにある。
このような真面目な会議の席に堂々と突き抜けたファッションで参加することを許されている人間=ただ者ではない という数式が成り立つのである。
ファッションはうまく使いこなせば、自らのイメージを思いのままに操ることができる力になり得るのだ。
私も時々、金髪に染めてスカジャンを着て学会に参加したらどうなるだろうかと妄想することがある。
しかし、実際はその妄想を隠し、いかにも真面目な風貌で参加している。つまり、心の中では変な妄想をしながら地味な恰好をしている私も実はファッションの力を利用しているともいえる。