南雲マサキのマイクロノベル/ねむみ編004
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ストップ覚醒! 目覚めて現実世界であれこれしたいよね。でも、君の体も脳も疲労しているんだ。回復には睡眠が一番! そこで、とっておきの夢アプリをプレゼント!! この夢の中では某社の有名ビジネスソフトが無料で使用できます。って、どこ行くの!?
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「子守歌を歌ってあげる」AI搭載型のぬいぐるみは歌がうまい。枕元で歌ってくれると、ぼくはすぐ寝ちゃう。だから、そのあとぬいぐるみが「よっこいしょ」と立ち上がり、ベッドの下にあるぬいぐるみ会社に出勤することは知らない。「行ってきます」
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母さんとどこで出会ったの? 「家から70光年ぐらい離れた場所だよ」すごい。そこで恋したの? 「いいや。この町だよ。一緒にくるっと回って踊って、母さんはこの家を気に入ったんだ。さあ、もう寝なさい」母さんのこと、また話してくれる? 「もちろん」
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枕が盗まれた! ヤバい、あれには表計算ソフトの作業データが入っているのだ!! くそっ、枕追跡用の枕はどこだ? ああこれか。ぐぬぬぬ、枕が変わると眠れないな。ん? もしかして入眠パスワードが違うのか?
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貴方お目が高い。この眠気貯金箱を使えば、すっきり冴えた頭になるのです。しかも利子がつくから、眠りたくなったらバタンキュー。この気持ちよさときたらグフフフ。はい? ええ、私共も使っておりますウヒヒヒ。なんと、買わないんですかブーブー!
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眠っているときにだけ会いに来る友人がいる。当然、ぼくは会ったことがない。お母さんが言うにはかわいい子だって。その子はやがて会ったことのない恋人になり、妻になった。彼女は笑う。「不思議よね。あなたはいつも私が寝てるときに遊びに来るんだもの」
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箱の中で夜が来るのを待っている。夜が来たらきみのところに駆けつけるよ。そうしたら、きみはぐっすり寝ちゃうんだ。でもその前に、少しだけお喋りしてね。「くまさーん、いますかー?」いますよー。
038(177)
勇者よ、聞きなさい。駅前に建った巨大な塔が私たちの眠りを奪いました。夢を取り戻しなさい。という命令でダンジョン踏破に挑んでるけど。「ククク……我が邪気眼は加減など知らぬ」夢という名の黒歴史が出てくるせいで悲鳴しか聞こえない。
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目を覚ますと、きみのほおを涙がつたった。悲しい夢を見たんだろうか。でも、きっと覚えていない。涙と一緒に流れ出たんだ。さあ、涙を受け止めたぼくを洗ってしまおう。きみが手に入れた新しい朝を謳歌しよう。
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眠れないし、眠っても夢を見なくなった? 多いね、そんな人。もしつらいなら、お話をしよう。夢のようにとりとめのない話を。きみが自分で眠って、とりとめのない夢を見られるようになるまで。今日は眠れてよかったね。またおいで。
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