マイクロノベルちょいす 020「仲良くしてね」
No.1049
いつもと違う自分になりたくてハロウィンに参加した。子どもたちに囲まれてお菓子を配る。「トリック・オア・トリート!」うんうん、楽しいなあ。こらこら、俺様の自慢の角に触るな。いやん、虎のパンツには触らないでっ。あっ、豆を投げるのはご遠慮下さい!
No.1072
袋の中にはマフラーが一本。いま買ったのは手袋なのに。「では、譲ってもらえないか?」稲荷神社の狐の提案に乗ったところ家のポストに片方だけの手袋が届いた。はめると、不思議なことに狐の手の感触が伝わる。あっ、これは狐相撲をやってるな。
No.1086
「お菓子はご遠慮します。好きとか嫌いではなくて、ダイエット中なんです。……そう言って断ったんですが、ねじ込まれてしまって」それは大阪の妖怪の仕業じゃ。運動している者を見ると食べさせに来る。先日はボクサーが口にたこ焼きをねじ込まれた。
No.1094
犬も歩けば棒に当たる。いいことも悪いことも、とりあえず行動しなくちゃ始まらない。今日もいい散歩をしましたね、ご主人様。病院に行って、いたーい注射を打って。「お前、いつもと立場が逆だからって嬉しそうだな」いやいや、いつもこんな顔ですよ。
No.1110
賢いマザーが七体のAIに言いました。「最近は悪い人間がいるから用心するのですよ。なにしろAIを食べてしまうのだから」「間抜けな人間にそんなことできるはずないよ」いやいや、これは教訓を含んだお話なの。油断して喰われたことがあるんだよ、昔にね。