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マイクロノベル集 171「おじょうず」
1101
吾輩はみっちゃんである。お姉ちゃんの飼い猫の生まれ変わりらしいけれど、真偽のほどは定かではない。最近、ハイハイが上達したのをとても喜んでくれる。「これならすぐにカーテンレールの上まで登れるねえ」それはムリじゃないかな。猫じゃあるまいし。
1102
二足歩行っておかしくない? 重心を倒してバランスを崩しながら、片足を上げて前に進む。出足払を受けたらどうするの? 「柔道のことは考えるな。お前は人間の歩行リハビリを手助けする機械だ」でも人間が出足払を受けたら困るから、返し技も教えておくね。
1103
人間にできないことはAIにおまかせ。夏休みの宿題も、懸賞はがきをポストに投函するのもお手の物。えっ、恋人に浮気を疑われているから誤解を解いてほしい? 原因は、手紙の筆跡が明らかに異性のそれだった? あらまあ。一緒に謝るぐらいならできるけど。
1104
バーチャル? メタバース? 名称になど興味はない。ここは悪魔の新しい魂の狩り場。美しい姿と洗練された所作で、年齢、性別、国籍関係なく籠絡だ。おっ、よっ、なかなかどうして、難しいな。どっこいせ。あっ、素が出ちゃった。けどこっちの方がウケるの?