南雲マサキのマイクロノベル/ねむみ編005

041(180)
枕は続くよどこまでも。頭の下から夢の中を通り過ぎて、お花畑と川を渡り……ここはどこ? 「お前がいままでにした悪事を述べよ」覚えてないです。「正直者にはこれをやろう」目が覚めると、舌が二枚になっていた。おかげで朝飯が二倍うまい。


042(182)
窓を開けてはいけないよ。外には眠気を奪う魔物がいるんだ。窓を開けた途端、部屋の中に入り込んで、眠れなく……ほら! 入ってきちゃったじゃない。うちで魔物は飼えないから、トイレから捨ててきなさい。


043(189)
まだ起きてるの? じゃあ眠りたくなる話をしてあげる。それは明後日の話。あなたは不眠不休でバイトをしたあとのデート中に爆睡してしまい、バリクソキレられるの。それ以来、ずっと私に頭が上がらなくなるのよ。もちろん私は困らないけどね?


044(204)
どうやら私は全滅したらしい。最後に見たのは新しい楽器。鳴らして歌おう。踊ろう。そのあと恋に落ちよう。そう約束したのに。全滅しては、私にできることはない。ただ瞼を閉じて眠る。誰かが私を見つけ出し、恋をして、踊り、歌い、新しい楽器を鳴らすまで。


045(209)
昼寝はいいよね。頭がすっきりする。午睡とかシエスタって呼ぶとなんかオシャレだし。これが仕事が捗る秘訣。ちなみに、昨年倒産した会社でシエスタを採用していた率はほぼゼロ。私は睡眠マナー講師。どんな手段を使ってでも、君たちを眠らせる。


046(214)
突撃、隣のドリーマー!! 隣人はどんな夢を見てるのかな? さっそく突撃! おおっと、スーツ姿でベッドに倒れ込んでいます。その寝姿、泥のようです。お疲れ様、目覚めたらこれを食べてね。えっ、誰よあんたたち! 助けて名前も知らない恋人!!


047(236)
眠気が消えた。これは我らカフェインの奮闘がもたらした結果だ。たたえよカフェイン!! 永遠なれ興奮物質!! ああ栄光のコーヒー!! 「眠くないなら、コーヒーいらなくない?」えっ?


048(247)
ぼくはねむくない。ほんとうだよ。「では、眠たくないことを証明しなさい」いいだろう。では人類普遍のテーマについて語ろうか。それは生と死。我々は人生の始まりと終わりを見ることがない。それは夢に似てるね。さっきまで5さいだったぼくは天才ハカセで…


049(247)
そのとき、枕が動いた。一向に起床しない主をおもんぱかって、枕は勢いよく30センチほど跳躍。主は驚愕と共に覚醒したのち、フローリングに後頭部を打ちつけて失神した。会社には遅刻した。


050(251)
ぼくは知っている。日曜日に昼寝をすると月曜日になってしまうことを。それはニワトリが関係している。ぼくが寝ている間にニワトリが日曜日を食べてしまうんだ。ニワトリが日曜日を産むまでには1週間かかるので、とっとと親子丼を食べてしまうのが正解だ。

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