デザインはデザイナーだけのものじゃない - 社内勉強会で伝えたかったこと -
旅先でのすべてを商材にしたアクティビティ予約サイトを運営するベルトラ株式会社には、カスタマーサービスからシステム開発まで、サービスに関わることはすべて社内に対応できる人材がいます。
国籍や人種、バックグラウンドは当然ながら様々で、毎日英語だけでなく中国語や韓国語などなどいろんな言葉がフロアに飛び交う環境です。
いろんな人がいるのだから、社員同士で学び合おう!ということで月に何回かベルトラアカデミーという名の勉強会を全社的に実施しています(参加は任意。着席20人ちょっとくらいの広くはないスペースだけど毎回立ち見が出ます。入ったばかりの人もCEOも希望する人は全員参加。)
6月の1回目のアカデミーに機会をもらって登壇しました。
アカデミー運営スタッフに事前に伝えたテーマは「デザインについて」。
相当に漠然としたタイトルにしました。このタイトルでどんな期待がされるんだろうっていう好奇心が理由です。
アカデミー当日の一週間前くらいにこういう内容の連絡が社内に出されました。
きっと書いてくれた人もデザインについてって何話してくれるんだこいつはって思いながら概要を一生懸命書いてくれたんだと思います。
デザイン経営宣言が発表されて2週間後というタイミングだったこともあり、また、いきなり具体的な見せ方や色使いなんかの話を非デザイナーの人に向けて話してもどこまで響くだろうという根本的な所もあり、開始早々事前告知の内容とは違うって謝りました。
デザインはデザイナーだけのものじゃない
僕がこの日、集まってくれたみんなに伝えたかったのはこれです。
デジタルなデザインの会社にいた2年間、そういう環境にいたから、というのはもちろんあるけど、どう考えてもデザインの捉えられ方が昔に比べて広く大きく変化してきていますよね。デザインと並んでビジネスという言葉がよく目につくようになり、耳にするようになってきていると肌感としても感じます。何かを形作ること以外にもデザインという言葉が使われるシーンが増えてきています。
目に見えるところを形作るデザインの仕事がもちろん重要だし大事ってのは確実にあるのですが、それに加えてサービスを形作る、ビジネスを実践する人たちの間でもデザインの要素を取り入れた考え方ややり方が浸透し始めていて、デザイン経営宣言の背景もこういう時流と無関係では当然ないはずです。
デザイン思考という言葉も20年以上使われているそうですが、アカデミーで聞いたところ言葉を知っている人はちらほら程度。そういう状況ではあるものの、まさにデザイン思考が実践されて仕事に成果をもたらした好例をアカデミーの2日前に仕入れて慌てて資料をアップデートしました。
ある国のあるアクティビティ催行会社とのやりとりの話。そのアクティビティでは旅程の中に食事が含まれているのですが、その食事が「その国らしさの感じられないもので、ツアー体験の中でそこだけ残念だった」という内容の体験談を読んだ社員が、ユーザー視点でこのアクティビティを見直し、新しいプランとして食事をその地域ならではのものにした期間限定コースを開発。数日間の限定商品、さらには少し割高設定にもかかわらず、販売実績で成果をあげ、高い満足度を獲得。この結果をふまえ、限定商品だったこのコースを定番商品に格上げし催行会社にも旅行者にも喜ばれる結果を出すことができた、そんな話でした。
デザイン思考のフレームワークである、観察・分析からの共感、問題定義、創造、プロトタイプ、テストの流れを彼らは自然と実施して、結果としてユーザー視点からの新商品開発、そして満足度高いユーザー体験を実現していたのです。
サービスを創っていると、やはりビジネス事情から売り手視点が台頭してくるシーンというものがあるかと思います。実際そういったことも経験したと白状できます。僕らのビジネスはウェブのサービスでいえばおそらく長寿と言えるサービスで、最近のスタートアップでやられているようなプロセスで制作をしていないかもしれません。そんな中で自然と生まれたデザイン思考の好例を聞き、僕は勝手に感動してました。
サービスを、ビジネスを、旅行者を、旅そのものをより良くしたいと思って日々仕事している社員のみんなにとって、その手法や手段の一つとして、デザインの思考や様式を取り入れて、うまくアップデートできたらみんなの幸せに貢献できるんじゃなかろうか。そんな思いでデザインはデザイナーだけのものじゃないということを伝えたつもりです。
時流の変化 - デザイン経営宣言、CXO Nightなど
自分のアンテナの向きや高さが昔と変わってるからという自覚はありますが、先日行われたCXO Nightの様子(数々の良記事やツイート)を見て読んで、やはり日本の今の時流も変わりつつあるんだろうと感じます。各社でCDOやCXOをやられている方に直接話ができるというのは貴重な機会だと思うし、それを当日や翌日に記事にまとめて発信し共有されるこの文化も素晴らしいと思います。
そういった流れを感じ、デザイン経営でトップから変わるのはもちろんだけど、社員がデザインの意識を持つことも同じくらい重要だとも思っています。
デザイン文化を僕の環境にも取り入れて築き上げていきたい。志を同じくする会社のメンバーとデザインの意識を共有することから始めてみようと思った社内勉強会の記録でした。