知らない街
自分は毎日学校までバスで通っているけれど、自分が乗る前のバスが通ってきた街のことは知らない。自分が降りたあとのバスが進んでいく街のことも知らない。未知の世界。
自分が乗る前、自分が降りたあと、どんな人が乗っていて、どんな街を越えてゆくのか。
知らない世界はワクワクするようで、少し怖いような不思議な感覚に満ちている。
ふと思った。今自分がバスに乗って通っているこの街のことを、さっき降りた人は知らないんだ。
さっき降りた人からしたら、この街は未知の世界なんだ。自分にとってはよく知っている、通い慣れた通学路だけど。あの人達にとっては未知の世界。
そう思うと、なんだか少し嬉しくなった。
自分は、未知の世界を知っている。