理学部で自己推薦の入試。来たれ、探究心あふれる学生!名大で初の総合型選抜
名古屋大学理学部は2025年度入試において、名大で初となる「総合型選抜」を実施します。総合型選抜は、志願者の自己推薦により出願する入試で、専門分野への強い好奇心とチャレンジ精神を持つ学生に応募してもらうのが狙いです。
25年度は総合型選抜として25人を募集します(学校推薦の募集枠は前年度の50人から30人に変更)。理学部全5学科のうち化学科と生命理学科は共通テストを課さず、書類選考と面接、小論文などで適性を審査します。重視するのは、目指す専門分野に対する情熱と探究心です。自然科学大好きな生徒諸君、名大理学部へいらっしゃい!
6人のノーベル賞受賞者を輩出した「自由闊達(かったつ)な学風」
本学はこれまで自然科学系で6人のノーベル賞受賞者を輩出するなど、国内有数の研究大学として知られます。背景にあるのは、教育の基本目標に位置付ける「勇気ある知識人」の育成を目指す教育・研究と、自由闊達(かったつ)な学風です。
ノーベル受賞者をはじめとする研究者たちの破天荒な活動を支えてきた学風は今なお、脈々と受け継がれています。世界の大学を比較する指標とされる「QS世界大学ランキング」の2024年版で本学の自然科学分野の研究は国内6位、世界110位にランクインするなど高い評価を得ています。
研究大学としての屋台骨を支える理学部は「自然界を貫く真理を探究することで社会に貢献すること」を教育の理念としています。学部長の寺崎一郎教授は、「どんな学生に入学してもらいたいのかを学部内で検討したとき、専門分野への探求心とチャレンジ意欲に満ちた人物像が浮かびました」と話します。
こうした学生に入学してもらうため、理学部では2022年度から各学科の教員が参画するタスクフォースチームを編成。「自らの意思による自己推薦で名大への進学を志望する学生を受け入れたい」(寺崎教授)と、総合型選抜の導入を決定しました。寺崎教授は「周囲の学生を引っ張っていく、起点になるような存在となってほしい」と期待します。
来たれ “とがった”人材!「総合型選抜」
理学部では1年生は学科に分かれず幅広い分野の科目を履修し、2年次に進級する際に希望や成績によって各学科への配属が決まります。一方、総合型選抜による入学者は入学時の段階で合格した学科への配属が約束されます。配属先が決まっていることで、いち早く専門分野の講義や最先端の研究セミナー、研究室体験に参加できるほか、学科の教員や先輩からのサポートを受けられるなど、入学後から専門的な学習と研究のチャンスを得られるのが利点です。
総合型選抜を実施するのは全5学科。書類選考により高校での学習成果や活動実績を確認し、小論文や面接により基礎学力や専門分野に対する知的好奇心、チャレンジ精神やプレゼン力などを評価します。
5学科のうち、①大学入学共通テストを課す学科(数理学科、物理学科、地球惑星科学科)と、②課さない学科(化学科、生命理学科)があり、それぞれ入試日程と選考方法が異なります。①は入試から合格発表まで学校推薦入試と同一の日程で、②は出願期間が早く(10月1日~8日)、12月中に合否が決定します。
化学科と生命理学科は「共通テストを課さない」
共通テストを課さない選抜を実施し、 より多様な能力をもつ“人物重視”の選考方針を打ち出しているのが化学科と生命理学科です。
化学科は「化学のエキスパートとして世界で活躍する人材を育てることを使命」として研究・教育に力を入れています。各学年約50名の学生に対し40名以上の教員が一体となってサポートに当たるきめ細かな指導体制と、世界屈指の研究環境を誇っています。
選考方法は書類選考、小論文、面接選考の3段階。3次選考は一人当たり1時間を予定した面接で、化学に対する知的好奇心、熱意、チャレンジ精神、人物像や適性を評価します。化学科長の唯美津木教授は「化学が大好きで、化学の最先端の課題や真理の探究にチャレンジできる学生を、入学後から学科全体で育てていきたい」と話します。
生命理学科は「あふれ出る好奇心」「積極的に研究を立案主導」「何かをやり遂げたい」という生徒の応募を期待しています。高校生活での活動を重視し、出願要件として国内外の研究プログラムや科学コンテストへの参加実績などを求めています。
求める像は「自然界に何かを感じて夢中になり、自分で“道”を作り出せる学生」です。生命理学科の田中実教授は今年8月、本学のオープンキャンパスを訪れた高校生が印象に残っているとのこと。「興味関心にあふれる様子や質問の内容など、我々にない発想や感性を感じました」と喜びを隠し切れません。「生物学を切り開いて世界に羽ばたくような人に来てもらいたい」と、科学者の“原石”との出会いに期待を寄せています。