エネルギーや資源を「変換し循環させる」社会を目指す取り組みを報告ーーシンポジウム開催
“資源のない日本を資源豊かな国へ”という目標を掲げる名古屋大学COI-NEXT セキュアでユビキタスな資源・エネルギー共創拠点は11月6日、東山キャンパスのEI創発工学館でシンポジウムを開催しました。
エネルギーや資源の“変環”(変換と循環を掛け合わせた新しい概念)を実践している団体やスタートアップ企業などがそれぞれの取り組みを紹介し、持続可能な社会のあり方などを探りました。
建築デザインなどを手掛ける合同会社XENCEは3Dプリンタを活用し、端材や廃材など捨てられるはずだった木材を新たな建築資材として活用するプロジェクトを展開。CEOの小澤巧太郎さん(名大工学部卒)は、「“遊休資材”を活用して建設業のサステナビリティを向上させたい」と意欲を示しました。
WOTA株式会社は、水不足や排水処理といった水に関する課題への対応策を「水の再生利用」というアプローチで事業化。前田瑶介代表取締役は、今年発生した能登半島地震の被災地に、排水をシャワーや手洗いに使える水に再生させる循環システムを提供したことを報告し「水を使っては捨てるという水道依存から、持続可能な新たな水インフラを整備したい」と語りました。
パネルディスカッションでは、「変環」を生み出すために必要な行動について登壇者らが議論。「一番の資源は“人”。人材育成をはじめ、いかに次世代へ投資できるかが鍵を握る」、「一部地域での成功事例を別の場所でも再現できるか、あらためて検証が必要」などの意見が交わされました。
ディスカッション中は、その内容をイラストと文字でリアルタイムに記録していく「グラフィックレコーディング」を実施。参加者は議論が分かりやすく可視化されていく様子を食い入るように見ながら、議論への理解を深めていました。
拠点長を務める工学研究科(所属)の松田亮太郎教授は「研究開発だけでなく、“変環”という概念を一般的に普及させていくことも重要」と、啓蒙活動に意欲をみせました。