バンドの思い出。
バンドをやっていたことがある。
メンバーはドラムとギターとベース、私はボーカル。最初の頃キーボードとジャンベとトランペットがいたけど途中でいなくなった。というか、志半ばにしてバンド自体が自然消滅した。
みんな若くて喧嘩が絶えなかった。私もカッカしていた。
ドラムとギターとベースは、音合わせとしてなんとなくセッションを始める。
「なんの曲?」と聞いてもなんの曲でも無い、ただの音合わせ。その場のセッションでジャムっているのだ。
でもちゃんと音楽になってるし、すごい。なんで? 歌しか歌えない私は入っていけなかった。
多分、その辺がバンドが続かなかった原因じゃ無いかと思ってる。私は心底歌が好きではなかったんだろう。バンドが楽しくなかった。ずっと緊張していて、メンバーとセッションしてジャムることができなかった。すぐにお腹が痛くなった。
それなのに強がることしかできなかった。
メンバーも寄り添うことが出来なかったんだろう。それか、寄り添ってくれていたのに私が拒否していたのか。みんないろいろ不器用だった。
そんなメンバーだったけど、今は会えば笑って話せるみんないい歳のおじさんおばさんになった。
年齢を重ねるのは悪いことじゃ無いなぁと、こういう事で思う。
どうしたって、若い時期、まだ経験が少ない時期、何かに傷ついてまだ癒えていない時期には相手を思いやることができないことがある。時間を経て、なんとなく傷が癒えたり、相手の傷を許せたりしてやっと、笑えるようになる。
(あの頃なんかカッカしてたよね、お互い。)って心でお互いが話してるんだと思う。
私の病気があったり、コロナ禍があったりでメンバーとはしばらく連絡を取っていない。でもきっと元気でいると思う。きっと今もいい奴らだと思う。
バンドは続けられなかったけど、バンドをやって良かったとたまに思い出して笑う。