治安最悪な料理ゲーム「オーバークック2」の野良マルチをオススメしたい
皆さんは「Overcooked® 2 - オーバークック2」というゲームをご存知でしょうか。Switchなどで2018年にリリースされたはちゃめちゃクッキング・アクションゲームです(公式にそう書いてある)。
YouTuberがコラボ企画などでプレイしがちなので、YouTubeをよく見る人なら知っているかもしれません。
どういう仕組みのゲームなのかというと、
という感じで、オーダーの通りに料理を作り、提供口に出すだけ! なんですが、このオーダー&キッチンがかなり複雑で、てんやわんやせずにはいられません。
キッチンが空を飛んでいたり、
謎の小舟でしか移動できなかったり、
様々な困難を乗り越え、ハンバーガーを作り、寿司を作り、ピザを作り、ホットココアを作り……という、その名の通り〝はちゃめちゃクッキング・アクションゲーム〟としか言いようがない料理ゲーとなっています。
基本的には友人と集まって、もしくは通話しながらオンラインでやることを想定されており、「キュウリ切って〜!」「こっちでお米炊くね!」「私は魚取ってくる!」と声をかけながらワイワイやるゲームです。
ソフトひとつで最大4人までプレイできるので(ジョイコンは必要)、家族で楽しむのもおすすめ。人数が多ければ多いほど楽しいと思います。
しかし、マルチが面白い
オーバークック2を友達とやったら楽しい、そんなことはわかりきっていることです。オーバークック2を〝魔のゲーム〟たらしめているものは、そう、野良マルチ(オンラインアーケード)です。
オンラインアーケードとはなんぞや? というと、オンライン上でマッチングしたメンバーで、ランダムで決められたキッチンへ降り立ち、料理を次々と作りながらハイスコアを目指していく……というもの。まあよくあるマッチング形式のオンラインマルチプレイです。ソフトを持っている友人が4人いれば知り合いだけでチームを組むことができますが、いなければ他の3人は全く赤の他人が補填される……これを野良マルチと呼んでいます。
概要だけ聞くと「野良マルチってオンラインの協力プレイか〜! 面白そう!」となるかもしれません。しかしそこには、ほのぼのとした絵柄からは想像もできないぐらい殺伐とした世界が広がっています。共に料理を作るはずのネコちゃん、ワンちゃんに無言で圧をかけられる、呪詛を吐かれる、消化器を浴びさせられる……。あまりの無法っぷりに最初はちいかわのように泣いてしまったのですが、やればやるほどその構造と面白さがわかってきました。
ぜひ皆さんにもこの無法マルチを体験していただきたいな、と思い、ここにその概要を記しておきます。
ポイント① 協力ゲーなのに喋れない
まず、ゲーム性を崩壊させていると言っても過言ではないのが、協力プレイが肝のゲームなのに喋れない、コミュニケーションが取れないということ。例えばあなたがすき家で初アルバイトするとしたら「よろしくお願いします!今日はなにを担当すればいいですか?」ぐらいは言いたいですよね。言えません。他のバイト仲間から「今日はとりあえず洗い場やってよ!」ぐらい言われたいですよね。誰も口を聞いてくれません。あなたにできることは、ただただ空気を読むことだけ。端的に地獄ですよね。これがオーバークック2野良マルチです。
ゲームスタートの合図で駆け出すネコちゃん、ワンちゃんに視線を走らせ、各自の持ち場とクッキングスキルを2秒で確認します。自分は厨房のどこに入るべきか、手が回らなさそうなところはどこか……。しかもこのゲーム、治安がかなり悪いので、降り立った厨房によっては一個のミスで呪詛を吐かれたり、切断されたりするのがポイント。他のゲームでここまで空気を読むことはないので、手に汗握る緊張感があります。
「喋れなくても、チャットが飛ばせるのでは?」 と思った方、確かに定型文のチャットが数種類あります。しかし、おそらく設定した人はオーバークックを2時間ぐらいしかやったことがないんじゃないかなと感じるくらい作業に対応していません。チャットがマルチでどう使われているか、一部をご紹介します。
「ハロー」
こんにちは、そしてさようならの意味でも使われます。オーバークック2によろしく、ありがとう、すみませんなどのチャットはありません。
「皿洗い中…」
「手が空いてるやつ、皿洗いをしろ!」という意味です。オーバークック2にあるのは「〜中」というチャットばかりなので、誰かに指示を飛ばしたいときも「〜中」を使わざるを得ません。初見トラップです。
「#$@6%*!」
通称呪詛。人に文句を言うとき、責めたいとき、イラついたときに使われます。意味としては「あのさァ……」「なにしてんの?」「オーバークック2をなめるな」あたりのニュアンスであることが多いように感じます。ミスをした人に呪詛を吐きまくって切断、はよく見かけるパターンです。治安の悪さをダイレクトに感じることができます。
「OK!」
いろんな意味があるので一概には言えないのですが、大丈夫だよ! の意味で使われることがあります。誰かがミスをしたとき「気にしないで! 取り返せるよ!」というニュアンスで聖人が使ったりします。優しいですね。
「準備中…」など、その他ワード
厨房を駆け回っていると「そのボタン押してくれ…!」「その鍋取って〜!」など、色々と思うことがあります。しかし、オーバークック2の乏しい定型文チャットでそれを伝える術はありません。そういうときは、何かしらチャットを押すことで「気づいてくれ…!」と念を送ることが多いです。
誰かが特に意味を持たないチャットを連打しているときは、きっとなにかしてほしいことがあるときです。
ポイント② ステージが常にランダム
オーバークック2の野良マルチでは、基本的なストーリーで登場するステージに加え、有料追加ステージや、アップデートで追加されたステージなど、全てのステージからランダムで厨房が選ばれます。厳密に言うと、各自でジャンルの希望は出せるのですが、希望を出さない人の方が圧倒的に多いので十中八九ランダムです。
本体しか買っていない人にも有料追加ステージをやらせてくれる太っ腹ぷりはありがたいのですが「友達と一緒にストーリークリアしたから、マルチやっちゃうぞ!」と勇んでマルチに降り立った新人シェフが、全く知らない厨房にアサインされて「ここは一体……!?」となっている光景をよく見ます。人は初見でマシュマロを焼くことはできません。
ポイント③ 存在しないレート制
オーバークック2のマルチが荒れる根源は、おそらくレート制(同じぐらいの実力の人が当たるシステム)がないことだと思います。
どういうことかというと、オーバークック2を始めて2時間の人と、1000時間を超える人が等しく同じ厨房にアサインされます。オーバークック2はやりこめばやり込むほどに協力ゲーから効率ゲーに変貌していくので、その効率ゲーの部分を守れないと呪詛を吐かれたり切断されたりすることがままある、といった感じ。
個人的な意見としては、上級者も初心者も混戦するカオス感こそがオーバークック2の野良マルチであり、他のゲームにない魅力だと思っています。なので、このオンラインアーケードにいる限り、自分が初心者だとかいう負い目は捨てて大丈夫です(本当に玄人だけで組みたい人はTwitterやDiscordで募集をかけて集まっているので……)。切断や呪詛を受けても相性が悪かったと割り切って、一生懸命空気を読み続ければ、初心者のカバーに入ってくれる優しい玄人に出会えるはずです。治安は悪いですが、優しい人もたくさんいます。
以上のことから可愛い見た目に反してかなりワイルドなマルチ環境となっていますが、慣れれば楽しいのでちょっとした隙間時間におすすめです。初心者のフォローをしながら玄人をサポートし、空気を読んで厨房を駆け回る体験は唯一無二だと思います。若干ストレスがかかるところ含め、ちょっとクセになっちゃう感じがある不思議なゲームです。空気を読むのが得意な人、ストレス耐性が高い人、心がめちゃくちゃ広い人、ぜひチャレンジしてみたください。
初心者向け 野良マルチの心得
そうは言っても、切断されたり怒られたりするの嫌だからなんか抑えておくルールとかない? という人のために、最低限抑えたい基礎を書いておきます(いますぐ野良マルチをやらない人は飛ばして大丈夫です、いつかやるときに読んでください)。
オーダー通りの調理を心がける
まず、これが守れないと全てのシェフにキレられるのですが、オーダーは左から順番に作って提供します(ボーナスポイントがつくので)。オーダー表を見て、にんじん、じゃがいも、たまねぎなど、必要になる食材をチョイスし、切って、煮て……という作業になるのですが、マルチタスクの極みなので「今何作ってる? 何が足りない?」とパニックになっている人をよく見かけます。初心者のうちは料理の進行管理のポジションは玄人に担当してもらったほうが良いかもです。
ステージのギミックを確認する
初心者のうちは初見の厨房にアサインされることがあります。「なんか知らないボタンあるけど……? 」と思ったときは、自分で押してみたり、他の人が押しているのを見てギミックを理解してください。他のシェフから謎にチャットで圧をかけられたときは「ギミックを理解してくれ……!」という叫びだったりします。
走らない・邪魔しない・動線を遮らない
オーバークック2には走るボタンがあるのですが、走った状態で他の人にぶつかると作業を邪魔してしまったり、狭い場所だとステージから落としてしまったりするので、人のいるところでは走らないように心掛けましょう。
鍋やフライパンを持ってウロウロしない
これもたぶん常識みたいになっていることのひとつなのですが、料理を提供したい時は、調理器具を皿に近づけるのではなく、皿を持って調理器具から料理を回収するようにします。そうすることで、余計な動作がひとつ減るので……。ここら辺の細かい話はYouTubeの初心者動画が参考になります。
皿を洗う
なんかすごい上手なシェフたちと当たっちゃって、もうなんかすご勢いで料理作ってるけどついていけない、なにやったらいいかわからない……! みたいなときはとりあえず皿を洗えば大丈夫です。
下手くそでもとにかく皿を洗えば頑張ってる感が出て、なんとなく許される風潮があります。初心者はとにかく皿洗いから、リアルもゲームも同じですね。
【追記】オーバークック2、セールやりがち
ここまで読んでくださった方は多少なりとも「やるか〜」という気持ちになってくれていると思うのですが、オーバークック2はけっこうな頻度でダウンロード版のセールを開催しています。
セールになっているのを見かけたら、友達と集まったときにやるゲームとしてダウンロードしとくのもアリかもしれません。オフラインであればこれ一本で4人プレイができるので。
色々と追加有料コンテンツはあるのですが、とりあえずは上記の本体をダウンロードしてみて、肌に合うか確認してもらえればと思います。沼ったら追加コンテンツに手を出す感じでも大丈夫です。
以上、おすすめゲーム紹介でした。