二次創作の小説同人誌を半年で1000部売った記録
こんにちは、みさとです。今日はオタク活動の話です。
今年、二次創作の小説同人誌を2冊出して、合計で1000部ほど売りました。内訳は1冊目が700部ちょっと、2冊目がおまけで300部ちょっとです。
初めての本作りだったのでインターネットでいろいろ調べてみたものの、情報が少なく苦労したので、これから本を作る誰かのお役に立てればということでTipsなど一連の話をまとめておきます。
ジャンルは一時覇権だったオタク向けコンテンンツ、その中で5番人気ぐらいのカプでした。サークルの規模については半年ほどしか活動していないので計りかねますが、大きくも小さくもなかったように思います。
サークル名、出した本など非公開ですが、それでもよければご覧ください。
本の構成で気をつけたこと
小説同人誌を出してみよう!と思ったものの、筆が早いわけではないので、pixivにアップした短編小説をまとめて再録本にすることを目標に定めました。
せっかく買ってもらうのに読んだことがある話だけでは申し訳ないなと思ったので、追加で書き下ろしを数本収録。
書き下ろしのコンセプトは『小説タイトル・概要を見ただけで読みたくなるもの』。この内容の書き下ろしが入っているなら買おうかな、と思ってもらえるものにしました(例:中身が入れ替わっちゃったとか、実家に挨拶に行くとか、薬飲んじゃったとか、古来から鉄板かつ面白いことが約束されているネタ)。
そして「こういう内容の書き下ろしが入っています!」ということをわかりやすく画像にまとめてSNS及び通販サイトで告知しました。
また、小説同人誌は漫画同人誌のようにイラストで魅せられない分、基本的には作家買いが多いと思います。たくさんの人に読んでもらうには、販売以前に知名度をつける必要があると考え、pixiv上で読まれるための工夫もしていました(詳しくは 二次創作の小説、もっと読まれたい人へ。pixivのブクマ・観覧数を増やす方法)。
データ作りはInDesignがおすすめ
データは青洋書房さんの「小説同人誌向けInDesignテンプレート」をお借りして作りました。
小説同人誌向けInDesignテンプレート | 青洋書房 https://booth.pm/ja/items/751606
このテンプレート、最強です。少しだけ自分用にカスタマイズして文章を流し込んだのですが、めちゃくちゃ本格的なレイアウトになりました。このテンプレを配布してくださっていたおかげでデータ制作上の苦労が100分の1になったと思います。
InDesignはAdobeが販売しているDTPソフトウェアで、文章や画像を印刷向きにレイアウトするのに優れています。
今回初めてInDesignに触れたのですが、簡単な作業だけなら初心者でも扱えるソフトだったので、個人的にはWordなどで作るより楽でした。PCに苦手意識ない人(特にAdobe使ったことある人)ならいけると思います。
体験版は7日間無料。ただ課金しても月額2728円だったので、そんなに高いわけではないと思います。
300部以上の文庫本は印刷できる会社が限られる
本は2冊とも文庫サイズにすることに決め、文庫サイズの印刷を請け負っている印刷会社さんをリサーチしたところ、多くの会社が300部までのプランしか用意していないことがわかりました。
300部以上刷ってくれることを前提に、印刷がきれい、価格が安いなどの要素で比較しながら見積もりを出しまくったところ、一番条件が良かったのが「緑陽社」さん。
緑陽社さんといえば、「印刷がめちゃくちゃきれい、だけどその分お高い」というイメージを持たれている方が多いと思うんですが、部数がそれなりにあると非常にお値打ちです。
基本料金は一般的ですが、早割がとにかく強い! 一番締め切りの早い早割を使うと30%オフ。それに加えて、アンソロ、総集編、再販だと10%オフが加わり、合計40%オフになります。また『予部サービス』といって、希望した部数+40部がプレゼントされるサービスがあります。
以上を踏まえて、例えば「200P・カバー付き・文庫サイズ(カバーはカラー印刷、表紙は一色刷り)」の再録本(10%オフ)を早割(30%オフ)で500部(予部サービスで+40部)刷ると、一冊あたり368円。えっそれ本当にカバー付き???という値段になります。
しかも、緑陽社さんは初回発注の場合ウェルカムポイント (10%還元)がつくので、初めて利用すると基本ポイント(2%還元)と合わせて12%もポイントがつきます。ポイントは1ポイントあたり1円で使えるので、20万円の印刷費だとしたら、24000円分のポイントが貰えます。いや〜最強なんだよな……。
自分好みにカスタマイズしても高くなりすぎないと思うので、部数が多ければ多いほど緑陽社さんがオススメです。
緑陽社さんでお得に同人誌を刷る方法については、こちらの記事にもまとめてあります。よろしければご覧ください。
仕上がりについて
写真を見せられなくて申し訳ないのですが、緑陽社さんの印刷は本当にきれいです! 商業の文庫本に負けない仕上がりでした。
Twitterで「緑陽社 文庫」で調べると最高の本がいっぱい出てくるのでみてみてください。
一般的な商業の文庫本(文春文庫や角川文庫みたいなやつ)と違うところは、紙の厚さ。緑陽社さんの小説本セットで選べるのはクリーム書籍用紙72.5kg(もしくは上質70kg)なので、一般的な商業の文庫本よりも随分しっかりしています。おそらく商業の文庫本で使われているのは50〜60kgぐらいなはず……?
300Pの本で比較すると、角川文庫の文庫本は背幅が約1cm、緑陽社だと背幅が約1.5cmでした。分厚いから読みにくいとかそういうことはなかったです。
限りなく商業の文庫本に近づけたい人は、もっと薄い紙の取り扱いがある印刷会社に頼むと良さそうです。300部以上だと栄光印刷さんが「書籍用紙 淡クリーム62kg」を取り扱っていました。
予約販売にすることで在庫を余らせない
印刷部数で悩んだときは、通販の予約を事前に受け付けることで必要な分だけ印刷することができます。私は初めての同人誌ということもあり、部数が全く読めなかったので、確実に捌けることが決まっている予約注文+イベント分を刷るという方法でかなり助かりました。
とらのあなで通販をする場合、まず入稿前(印刷部数が確定する前)に予約を開始します。予約販売といっても納品数を提示しないといけないんですが、最初の段階では絶対に売れると確信が持てる冊数だけにしておきます。
完売した場合は、とらのあな上に表示される再販売希望のボタンを押してもらい、再販希望の数字を見ながら納品数を追加。
予約が落ち着いたら、とらのあなに追加する納品する冊数+イベント会場で販売する冊数を入稿とともに発注します。
イベント会場の冊数については、Twitterで通販で買うかイベント会場で買うかアンケートを取り、その割合で決めました。ただこのご時世、通販で買う人の方が圧倒的に多く、そのおかげで部数の調整もしやすかったです。
同人誌の通販はBOOTH派の方も多いですが、BOOTHは予約で注文を受け付けると送料が700円ぐらいになってしまう仕組みがあり、ちょっと高すぎるかな……ということで使っていません。
ただ、予約システムさえ使わなければ、とらのあなよりも手数料がかなり安く済むので、部数がある程度読めている方が利用するのは全く問題ないと思います。
価格設定は足並みを揃える感じで
部数が多くなれば多くなるほど原価は下がっていくので、抑えようと思えばかなり安い価格で販売できるのですが、あまりにも安価で販売してしまうと少部数で印刷しているサークルが相対的に高くなってしまいます。そのため、他のサークルがどれくらいの価格で出しているのかを確認し、相場より安すぎないように調整しました。
私の場合は販売価格を引き上げた分、装丁を豪華にしたり、おまけをつけたりすることで原価を上げましたが、200P超の文庫本をそれなりの数刷って、一般的な装丁のまま相場価格で販売すると、1冊1000円前後の利益は出ちゃうんじゃないかな。そこら辺はもう個人の判断ですね。
終わりに
以上、小説同人誌を作ってみたレポートでした。
近況としては小説もたくさん書いたし、同人誌も出したし、やりきったので一旦ROM専に戻ろうかなという感じです。
同人活動の話は以下の記事でもしているので、よろしければご覧ください。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?