オンライン特別勉強会「きょうだいとは?」開催レポート
11月14日(土)きょうだい会@Nagoya設立1周年を記念し、「大人のきょうだい」である皆さんを対象にオンライン特別勉強会を開催しました。
講師には、長年きょうだい児/者支援に取り組まれており、『きょうだい』(中央法規出版)の著者でもある諏方智広さんをお招きし、
「きょうだいとは?ー『きょうだい』としてのモヤモヤした感情を整理してみませんか?」というタイトルでお話いただきました。
前半は講義、後半はグループに分かれての感想共有という形であっという間の2時間となりました。
ここでは、当日の講義内容で特に反響のあった
「きょうだいの問題って?」と「きょうだいの4つの区分」
についてご紹介します!
きょうだいの問題って?
きょうだいが様々な課題や生きづらさを抱える背景には、支援の目が、障害児/者本人やその親には向けられるけれど、きょうだいにまでは届きにくいという現在の社会構造があります。
そのため、きょうだいが障害児/者の家族としての悩みを抱えていたとしても、周囲には気づかれにくく、悩みを一人で抱え込んでしまうという状況にも陥りがちです。
また、他にも
・社会の目(障害のある兄弟姉妹への周りからの攻撃、問題行動へのはずかしさ)
・孤立(同じ境遇の人が身近にいない)
・情報不足(必要な情報は両親止まり→将来への不安)
・障害児/者本人への支援の不足(家族が負担を担うことになる)
などの環境もきょうだいの悩みや問題を生み助長する要因となっています。
つまり、きょうだいの問題とはそもそもが構造的な問題をはらんでおり、個人の努力で簡単に解決できるものではないということです。
「きょうだい」の4つの区分
では、そうした背景の元育つきょうだいにはどのような特徴があるのでしょうか?
ある研究*では機能不全家庭で育った子ども達の研究を参考に、以下の4つの役割いずれか、または複数をきょうだいが担う傾向にあると述べています。
障害児者のきょうだいの役割
1. 親代わりするこども
同じ年齢の多くのこどもがする以上に同胞に対して親の役割を担い責任をとり、援助する。こどもは親の是認を求め、親も分担を求めて共依存関係をつくる。正当なときもこどもは怒りを表にださない。こどもの本性である自己中心性を協調性という大義名分によって抑制され、早熟化させられる。そのため自分自身のこども時代を失うことになる。
2. 優等生になるこども
葛藤や不安のはけ口を家庭外の活動に見出して活路を得て表現する。自分がいかに良い子かを他者に見せつけ、ハンディキャップをもつ者と対極にいることを無意識的に強調する。障害をもつ同胞ができないことを何でも肩代わりできることを示したいという潜在的な願望がある。親は良い子だと思い込むが、背伸びをしており足元が危うい面を持つ。
3. 退却するこども
家族とは別の生活をしているように行動するし感じている。障害をもつ同胞のことをできるだけ気にしないようにしている。しかも問題を起こさずストレスを高める家庭の生活から退却する。親もそれを黙認している。
4. 行動化するこども
同胞の世話が自分の重荷になっている、自分がしている世話に親が気づいてくれないなどの不満をもつ。そして、悪いことをして親の注意を自分の方に引き戻す。あるいは敵意や憤りの感情を行動に起こして表現する。不可への素直な反応の仕方であるともいえる。
*西村 辨作・原 幸一, 1996, 「障害児のきょうだい達(2)」『発達障害研究 18(2) 』日本発達障害学会, 70-77
私たちにできることは?
冒頭でもご紹介したとおり、きょうだいが悩みや問題を抱える背景には、きょうだいには障害児/者の家族としての支援の目が届きにくいという現状を含め、社会構造的な課題があり、本人や家族の努力だけで問題を解決するのは困難です。
現在、きょうだいを対象とした活動が全国各地に広がってきています。
きょうだいの問題を減らして、きょうだいの得られるものを増やすには、きょうだいの年齢に応じて変わる様々な問題に対して、適切な情報を提供していくことが必要だといえます。
みなさんの感想
勉強会当日は、上記のような講義を聞いたあと、参加者同士でグループに分かれて感想共有を行いました。
きょうだいの4つの区分について考えたという感想はとても多く、「自分はこんな役割を担っていた」「どれにも当てはまらない」など様々な意見が聞かれました。
また、きょうだいとして育ったことは、マイナスなことばかりではなかったという感想もありました。
参加してくださった皆さんの感想はこちらに掲載していますので、どうぞご覧ください。
私たちは普段「きょうだい」の当事者として、思いを共有していますが、あらためて整理して話を聞き、他の方と感想を話し合うことで色々な気づきがありました。
講義いただいた諏方智広さん、参加してくださったみなさん、どうもありがとうございました!!
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