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腸活、抗がん剤の副作用対策にも吉 【41】

腸活の効果は、健康づくりだけにとどまりません。
食道がん治療の現場で実証されました。

今回は、腸内環境を調えることで、がん治療の副作用の軽減を目指す研究をご紹介します。

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話題の腸活、みなさんは意識されていますか?

腸活は、ざっくり言えば、食べるもので腸内環境を調えることです。おすすめの食べものでよく聞くのが、プロバイオティクスやプレバイオティクスという言葉です。プロバイオティクスは善玉菌を含む食べもの、プレバイオティクスは腸の中の善玉菌のエサになる食べものです。

最近では、この2つを組み合わせて摂ることを意味する「シンバイオティクス」という言葉も誕生していて、腸活効果をアップできると注目されています。

シンバイオティクスは健康づくりだけでなく、医療現場でも注目されています。今回、名古屋大学と株式会社ヤクルトさんとの共同研究グループが取り組んだのが、食道がんの治療での活用です。

食道がんの治療は、手術の前に抗がん剤を使うのが一般的ですが、よく知られるように、抗がん剤は副作用があります。

つらい副作用をシンバイオティクスで軽減できないか…

そう考えた研究グループは、シンバイオティクスとして善玉菌入りの発酵乳飲料と善玉菌のエサになるオリゴ糖をセットで、患者さんに飲んでもらいました。抗がん剤治療の前から飲み続けてもらうと、嘔吐や下痢など胃腸への副作用の症状が軽くなったそうです。

この効果は、腸内環境との関連で説明できるようです。抗がん剤治療を受けると大腸のバリア機能が弱まります。その結果、腸内細菌が血液中や他の臓器に漏れ出てしまい、副作用の要因になるのです。治療の前からシンバイオティクスを摂って大腸のバリア機能を高めておくことで、腸内細菌が大腸の外に出て悪さをするのを食い止められるのですね。

さらに、シンバイオティクスは、食道がんの手術でダメージを受けた体が、感染による合併症を起こすことの予防にも効果的だそうです。”食道がんの治療はシンバイオティクスとセットで”、そんな将来を思い描いてしまいました。少し前に配信した第38回は腸内環境とコロナ感染についてのトピックをとりあげましたが、私たちの体と腸との関わりは本当に奥深いですね。

研究を行った横山幸浩よこやまゆきひろ外科周術期管理学寄附講座教授からコメントをいただきました。

今回使ったシンバイオティクスは、薬剤ではなく食品です。今は薬のように処方することができませんが、シンバイオティクス製剤が、抗がん剤治療の副作用や手術に伴う合併症をできるだけ減らすための薬剤として、医療の現場でより広く使われることを望んでいます

詳しくは、2021年12月21日のプレスリリースもご覧ください!

(文:丸山恵)

ベーシック線

◯関連リンク

横山教授の寄附講座「外科周術期管理学(ヤクルト)」

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