心臓サルコイドーシスという病気を知っていますか?
10万人に数人といわれる原因不明の難病、心臓サルコイドーシス。
「実はもっと多いんじゃないかと思っています。」
そう話すのは、森本竜太さん(医学部附属病院 循環器内科 助教)。
これまで診断されなかった患者さんが診断されるようになり、患者数は増加傾向にあるといいます。
「心臓サルコイドーシスは、糖尿病のように一生つきあっていく病気として治療します。」
治療が必要かどうかは病状によりますが、必要な場合、基本はステロイド投与です。
「ステロイドが効かない患者さんには抗リウマチ薬を併用するよう、診療ガイドラインでは推奨しているんですね。でも抗リウマチ薬は、心臓サルコイドーシスの患者さんに対しては保険が適応されていないんです。」
なぜなら、抗リウマチ薬が心臓サルコイドーシスに本当に効くか、十分に証明されていないから。医師たちが治療に自信を持てないと、患者さんも不安を抱いてしまうのではないか…。現場でもどかしさを感じた森本さんは、7年前、ある研究プロジェクトを立ち上げました。
「愛知、岐阜、三重にある50ほどの関連病院から心臓サルコイドーシスの患者さんを紹介してもらい、抗リウマチ薬がステロイドの代替薬になるか、検討しました。この領域では世界で初めての『前向き介入研究』でした。」
検討対象が11名だった今回の結果からは、抗リウマチ薬がステロイドの「代替薬」になるとはいえませんでした。でも森本さんは「選択肢」としての可能性に期待しています。
「何らかの理由でステロイドを飲めない患者さんが、抗リウマチ薬を選べるといいですよね。プロジェクトは終了していますが、今後も新規の患者さんを登録し、経過を追っていきます。より規模の大きな研究で、不明な点が多いサルコイドーシスの病態解明を目指していきたいと考えています。」
心臓サイコイドーシス治療においては先進国という日本。今後も世界のお手本になる治療法を提示していけるか、期待が高まります。研究の詳細は関連リンクもご覧ください。
インタビュー・文:丸山恵
◯関連リンク
プレスリリース(2023/9/14)「心臓内に FDG 異常集積を認める心臓サルコイドーシスに対する前向き介入研究:PRESTIGE Study」
論文(2023/7/12 米国科学誌「JACC: Cardiovascular Imaging」 に掲載)
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