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誰よりも速く!詳しく!神経伝達物質の観測最前線 【13】

今回のテーマは、「脳の中の神経伝達物質を測る」です。
その新しい方法を開発し、マウスで実用性を確かめた研究を紹介します。

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「神経伝達物質」と聞いてもピンと来ない方も、「ギャバ」は聞いたことがありませんか? リラックス効果があるとしてサプリメントやお菓子などでも見かけるギャバも、数ある神経伝達物質の一つです。

生きていくために脳の中で常に行われている情報のやりとりに、神経伝達物質は絶対欠かせない存在です。

リアルタイムで神経伝達物質の変化を観ることは、脳の病気を理解する上でも、とても大事です。ただ、脳の中のことなので、体温や血圧を測るように簡単にはいきません。

そこで、質量分析を専門にする医学系研究科のグループが、マウスの神経伝達物質の濃度変化を測る先進的な方法を開発しました。

ポイントは、従来の方法と最新の方法を組み合わせたことです。「マイクロダイアリシス法」という昔からのやり方で、マウスの脳に通した細いチューブから神経伝達物質を集め、それらをPESI/MS/MSペシ・エムエス・エムエスという最先端の分析技術で測ります。

ちなみにPESI/MS/MSは、研究グループが2016年に開発した、誰でもできるとても簡単な質量分析法です。名大研究フロントラインの動画でも紹介しています!​

グループがギャバなどの神経伝達物質の測定を行なうと、これまでは10〜15分に1回しか測れなかったのが、1分おきに測れるようになりました。つまり、神経伝達物質の変化をより詳しく捉えられるようになったんです。

また、これまでは解析の都合上、複数のマウスを測定する必要がありましたが、1分おきにデータをとれるので、1匹測定すれば必要な解析ができるようになりました。この背景には、得られる測定データの特性に最適な統計解析の手法を見出したことも、大きく関与しています。

この方法を応用することで、アルツハイマー病やパーキンソン病など、まだ病態が完全に解明されていない病気の理解につながるかもしれません。

研究を行なった財津桂ざいつけい准教授は、「大学院生の川上大輔かわかみだいすけさんと、産業技術総合研究所の井口亮いぐちあきら先生との息の合ったチームワークのおかげで、新たな手法を開発することができました」と話しています。

研究チームの雰囲気のよさも研究成果の大事な要素なのですね。

詳しくは、2021年6月30日の名古屋大学研究プレスリリースもご覧ください。

ベーシック線

◯ 関連リンク

  ・in vivo リアルタイム・オミクス研究室

  ・財津桂准教授


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