立方体の枠をシャボン液に入れて、宇宙の謎を読み解いてみた
「針金で立方体の枠を作って、シャボン液に入れたら、どのように膜を張ると思いますか?」
3月26日に開催したイベント「シャボン膜で読み解く宇宙の謎」にて、講師の中野さんが尋ねます。
「シャボン玉はまるいからそもそも膜は張らないと思う!」
「下面以外の五面だけ張るんじゃないかな…」
「対角線上に張ったりして…?」
小中高生の参加者や付添いの保護者のみなさんからいろいろな意見が出ましたが、ダントツで多かったのは「上下四方の六面全部に張る」。
さて実際は…
「えーーっ!!!」「なんで〜!?」
湧き上がる喚声に、もう一人の講師、上道さんがニヤリ。
「それは、この形がいちばん安定しているから。シャボン膜にとって、いちばん楽な形だからです!」
「楽な」とは「安定している」ということです。でも、この形はとても複雑に見えます。
どの面から見るかによって、形が異なる…、つまり対称ではありません。立方体の枠は上下左右対称だったのに、枠に張ったシャボン膜は楽な形になるために対称性がなくなってしまいました。
「これを自発的対称性の破れといいます。」と、上道さんの解説が続きます。
自発的対称性の破れは、シャボン液のバケツの中だけの話ではありません。今、私たちが住むこの世界とも深く関わっています。
ところが直後に、自発的対称性の破れが起き、世界は均一ではなくなりました。
シャボン膜でみた自発的対称性の破れが、星や銀河、私たち生物の起源にもなっているのです。
あらゆるモノの最小単位である素粒子にも対称性がありました。それが宇宙誕生直後に破れ、モノに重さが生まれました。シャボン膜でみた自発的対称性の破れは、モノの重さの起源にもなっているのです。
自発的対称性の破れがなかったら、今のような宇宙も私たちも存在しなかったのですね。
最後の質問タイムは、「自発的対称性の破れは宇宙誕生の何秒後に起こったのですか?」「どうしてあのような膜の形になるんですか?」といった質問で盛り上がりました。
KMISCTが工夫をこらしたワークショップは、今後も開催していくとのこと。宇宙が大好きなメンバー達と、シャボン膜で宇宙に思いを馳せてみませんか。
写真(一部を除く):高橋将太
報告文:丸山恵
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