画像強調内視鏡で、ポリープの見逃しを減らす 【5】
今回は、大腸の内視鏡検査についての研究を紹介します。
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みなさんは大腸の内視鏡検査を受けたことはありますか? 大腸の内視鏡検査では、大腸がんのような病気がないかを調べたり、ポリープと呼ばれるイボのようなできものを取り除く治療を行ったりします。
ポリープは早いうちに取る方がいいと言われていますよね。その理由は、大腸がんはポリープが何年もの時間をかけて変化して発症するものが多いからだそうです。
ただ、小さなポリープは見つけにくく、熟練の医師でも10%から30%くらいの病変を見逃しているという報告もあるそうです。かなり覚悟のいる内視鏡検査ですから、できれば100%安心したいですね…。このポリープの見逃しを減らすという課題を抱える中で、研究グループは画像強調内視鏡というタイプの内視鏡に注目しました。
一般によく使われている内視鏡は白い光で観察するのですが、白い光では病変を見つけにくいこともあります。この欠点を補うのが画像強調内視鏡です。白以外の光や色素を使ったり、コンピューター処理を行ったりして、病変をより強調して映し出します。
ポリープは赤くなる性質がありますが、ポリープが小さくて赤い色が弱いと見つけにくくなります。そこでグループは、画像強調内視鏡の中でも光の色を変えることで赤い色を目立たせるタイプの内視鏡ならポリープの見逃しが減るのではないかと考えました。
この内視鏡で700名以上の患者さんの検査を行なったところ、一般的な内視鏡で検査した場合と比べて小さなポリープが見つけやすくなったそうです。そして、大腸の中の死角の多い箇所を含め大腸全体のポリープの見逃しが減ったそうです。特に、内視鏡検査の経験が浅い医師に有効な手段だということも分かりました。
研究を行った藤城光弘教授からのコメントです。
「小さなポリープの段階で見つけて切除することで、大腸がんの発生を予防することができます。今回の研究成果により、一つでも多くのポリープが切除され、本邦で一番罹患数の多い大腸がんが減少に転じることを期待しております」
今後、患者さん一人ひとりの検査目的や病状に最適な内視鏡で検査を受けられるようになるといいですね。
詳しくは、2021年4月21日の名古屋大学研究プレスリリースもご覧ください!
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