映画備忘録 タクシードライバー
最初はリュックベッソンのタクシーだと思ったんですよ。
何度も見たしスカッとするのでいいなぁと思ったんです。
で、みる前に気付いたんですがロバート・デ・ニーロが出てるので見ることにしました。
途中の色々な状況から察するに海兵隊のエリート兵士では無くおそらく一般兵なのでしょう。
学も無く、薬に溺れ、楽しみは酒を飲むかポルノを見るか。
まるで薬の代わりが映画やゲームな事以外は私でございます。
とはいえ幸い現代日本はすぐに目の付くところにクズが出ている街は少なくなりましたし、政治家なんぞ一人二人殺したところで世の中変わるとも思わん程度に常識は備えております。
言ってみればそれくらい普通に抑圧された日常を送っている一般人が主人公であり、少しボタンをかけ違えた自分や隣人が主人公なのかもしれないのです。
この映画の結末は幸か不幸か主人公はヤクザから少女を救いだした英雄として生き残ります。
これを見てご都合的な、もしくはとってつけたハッピーエンドに思ってしまう人はおそらく結構幸せな人だと思います。(そう思わない人が不幸とも言えませんけど)
私が思うに、主人公の中では死ぬのが一番のハッピーエンドだった思うのですね。
少女を救ったヒーローとして絶頂で死ぬ、もしくは大統領候補を暗殺したテロリストとして死ぬ。
彼は何者にもなれない自分に絶望していたところがあるのではないかと思います。
厭離穢土、汚れた現世を離れて浄土を目指そうという言葉もございます。
汚れた街、何も出来ない自分を嫌っていた主人公、トラビス青年はおそらくこのままの心で生きていても救われる事は無いでしょう。
どこかで自分が変わる必要があります。
ですが彼は変わるという事が銃で武装して、大統領候補を襲撃するくらいしか思いつかない人間なのですね。
悲しいことですが、それを教えてくれる人も彼の回りにはいません。
せいぜい諦めて受け入れる事を説く同僚しか居ないのです。(この同僚も見ようによっては不幸かもしれませんが)
彼の不満は根本的には何一つ解決されないまま話はエンディングを迎えてしまいました。
もちろん議員の手伝いみたいな事をしている彼女と間違って上手くいってしまうかもしれません。
想像して考え得る最上は大統領の福祉政策のマスコットになってモデルケースのような形で教育を施してもらう事でしょう。
ですが彼は自身のプライドと後ろ暗さからその選択は出来ないタイプにも見えますのでかなり無いと思いますが。
結局人から見た瞬間の評価。
英雄かテロリストか等は些末な問題で、変わらず満たされないタクシードライバーとして彼は生きてかなきゃいかんのです。
そこには恐らく救いは無さそうです。
ですが捉え方ではありますが彼は自分をふった女をタダで送る事によって救われた部分もあると思うのです。(実際意味があるかはおいといて)
最終的に自分を救えるのは自分の心の内にしか無いのだと私は思う訳でございます。
幸も不幸も気の持ちようかと思うわけでございます。以上でタクシードライバーの感想とさせていただきます。