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無印良品江南店で見た、日韓の未来

2020年のソウル。日韓関係が冷え切っていて、ニュースを見ればいつも緊張感が漂っていた。

街並みはどこか冷めたく感じた。ソウルで子どもを育てる私も、この街の喧騒に馴染めずにいた。楽しさよりも、戸惑いや孤独のほうが大きかった。

この時、娘は4歳。日本人の私にとって、ここで暮らし、子どもを育てることは果たして正解なのか——そんな不安がいつも心のどこかにあった。
もしかしたら、日本で暮らす韓国の人たちも、同じように感じていたのかもしれない。

そんな時、私の目に飛び込んできたのは、無印江南店の拡大リニューアルオープンの大きな赤い文字だった。

驚いた。同じ頃、江南に大きな店舗を構えていたユニクロは撤退を決めていた。こんな時期に?そう思った。

それでもどこか嬉しい気持ちで、オープンしてすぐお店に向かった。

4階建ての広い店内には、日本のシンプルなデザインの中に、韓国の職人たちと作り上げたアイテムが並んでいた。木の温もりを感じる家具、韓国の伝統を取り入れた布製品、ローカルアーティストの作品。

1階には、韓国の地方の方々が作った発酵食品が並び、聖水洞で列を作るパン屋さんの小さな売り場、日本の無印を感じさせるカフェ、そして、韓国の古い韓屋の土間をイメージさせるレジカウンター。

韓国の地元の生産者の方によって作られた素敵な商品が並んでいる

これは、日本の無印だけれど、もう日本だけのものではない。韓国という土地に根付きながら、新しい形へと変化している空間だった。

私はここで、日韓の未来を感じた

産地直送の花束に迎えられる店内。コンセプトはあなたの日常に花束を💐

日本と韓国には難しい政治の問題や、歴史の問題がある。それはこれからもずっと解決されないのかもしれない。

それでも人々の暮らしの中には、こうして自然に交わるものがある。無印良品江南店は、まるで日韓の未来を先取りするかのように、どちらの文化も尊重し活かしながら、一つの場所として成立していた。

私は、ソウルで辛いことがあるたびに、いつもここを訪れるようになった。明るい未来を感じさせるこの場所には、私のありたい姿をうつしているような気がして、いつも励まされてきた。

ワッペンをカスタマイズしてオリジナルグッズを作るコーナーで長女の新学期グッズを

あれから、もう5年。娘は9歳になった。韓国の小学校に通っている。

5年の間に韓国の無印はどんどん進化を遂げて、今では日本では買えない韓国製品が溢れるようになった。日本と韓国の関係も、あの頃に比べたらずっとよくなった。

もし、この記事を読んでくださった方が、ソウルに訪れることがあったら、無印の江南店を訪れてほしい。

韓国限定商品を求めて、お土産を見に来るのももちろんいいけれど、それだけではない、何か感じることがきっとあるはずだから。

日本と韓国の未来は、これからもっと明るくなる。そう、信じていたい。

四階の窓際からはダイナミックなカンナム大路をみおろせる

【お店情報】
📍無印良品 江南
MUJI,1-4F, 419, Gangnam-daero, Seocho-gu, Seoul, Republic of Korea
営業時間
11:00 – 22:00
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