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案外結構、呪いのことば
みなさん
こんにちは、こんばんは。
たけだです。
春ですね、麗らかですね。
わたし、今日は自由に書きます。
つらつらと、思いつくまま。思うまま。
先日、バイト先の送別会でした。
前回の「ねこのような」は読んでいただけましたか?
今回はその続きのお話になります。
前回はふたりの先輩が登場しました。
" またね ”先輩と、イヤーカフ先輩(と、呼ぶことにします)です。
今回は、このおふたりと、私の1つ年下の後輩3人と、可愛い高校3年生の後輩1人、合わせて6人の送別会でした。
PM 10 : 00、集合。
乾杯の合図を皮切りに、宴会場は無法地帯へと化しました。カオスです。
バイト先の焼肉屋さんで大盤振る舞い。
美味しいお肉、お酒、ご褒美アイス。
美味しいなあ、楽しいなあ。
写真を見返すと、どれもマスターピース揃いです。わたし、この数年でほんとうによく笑うようになりました。
みんなどんどんお酒が回って、知らないうちにどんどん人が増えて。
わたし、多分1ヶ月分くらいのお肉を食べました。
胃もたれ万歳、ドンと来い。
迷わず進め!二日酔い!
最後だから、と卒業生のみんなとも写真を撮りました。
ここに入ったばかりの頃は、みんなとこんなに仲良くなれると思わなかったなあ。
高校生だった後輩たちと、お酒を飲める日が来るなんて思わなかったなあ。
しみじみ。趣深いものです。
わたしを先輩にしてくれて、ありがとうね。
AM 0 : 34、そろそろ片付け。
近づいくる、お開きの時間。
卒業生のみなさまに花束が贈られ、一人ひとことメッセージ、全員での集合写真撮影。
実にスムーズな流れです。
食器のバックとテーブルのセット。
気持ち良い役割分担のおかげで、最後の瞬間は惜しむ間も無くやってきました。
「じゃあ、また!」
「元気で」
「いつでも遊びに来てね」
ぱらぱらと解散。
みんな、少しずつ帰っていく。
駐車場の車、減っていく。
わたし、徒歩勢。
もう少し、もう少しだけこの空間に居たい。
おいおい、わたし。
わたしの座右の銘は、「立つ鳥跡を濁さず」じゃなかったの?
去る者追わず。来る者拒まず。
そうやって、さらりと生きていくんじゃなかったの?
何をそんなに焦っているの?
言わなきゃ、言いたい。
だって、きっとこれが本当に最後なのだから。
あの、あの!
──初めてね、わたし、人に向かって「寂しい」って言った。言えたの。
自分でもビックリしちゃった。
これまでは、「寂しい」って思っても、心のどこかで「言っちゃダメだ」ってブレーキをかけていたから。
だって、「寂しい」って、案外結構呪いのことばでしょう?
わたしだったら、別れ際にそんな言葉を掛けられたら、「残酷な人だなあ」と思う。
だから、いつも無意識に「言っちゃダメだ」って思い留まっている。
呪いをかけちゃダメだ、って。
でも、今回ばかりは、ごめんなさい。
わたし、最後に呪いをかけてしまったの。
ねえ、あなたに言っているのです。
聞こえていますか。
この人のこれからの人生の中に、少しでもわたしの影を落としておきたい。
覚えていて欲しい。
ふ、とした瞬間に、
心が冷えた瞬間に、
どうかわたしを思い出してください。
そんな最後のわがままでした。
呪いをかけてしまうくらい、大切な人たちだったなあと思う。
今日までの全てが特別な時間だったなあ。
全部、わたしの宝物。
たぶん、この夜のことを一生忘れられないと思う。
みんなとのお別れが、いつかきっと大丈夫になっても、多分、今夜のことを思い出してしまう。
これ以上もこれ以下もない。
──そんな過不足のない夜。
AM 3 : 08
送別会から一人、帰宅している。
徒歩勢だから、歩いてる。
感情ぐっちゃぐちゃのたまらなく愛おしい時間だった。
" またね ”先輩とイヤーカフ先輩、後輩の男の子と先輩、わたし。
結局最後まで残った5人で、帰宅です。
私以外の4人は自転車だったから、いつもの場所で別れた。
やっぱり、最後まで "またね” だった。
思い切り手を振った。
その背中を見送った。
わたしは一人、点滅信号になった横断歩道を渡った。
街はやけに静かで、真っ暗で、信じられないほど星が綺麗で。
わたし、オリオン座を指で結んだ。
忘れたくなくて、残しておきたくて、自転車で帰る4人の後ろ姿をこっそりと写真に撮った。
よし、帰ろうと思って一歩踏み出すと、自分でも驚いたのだけれど、なぜだか涙が溢れた。
もうみんな夢の中。それなら良いよ。
思い切り、もう恥ずかしいくらい泣いてしまえば良いと思った。
わたし、よくがんばったんだよ。
あいみょんを聴きながら帰った。
あの人がカラオケで「この曲、良いよね」と言ってくれた曲。
あの人ってどの人?
──あの人ですよ。
今夜は、わたし史上最高に可愛かったはずなの。
だからなのかな。あの人はわたしに向かって、たぶんこう言った。
「可愛い」
──そのたった一言に射抜かれた。
ああ、残酷な人だなと思った。
わたしの中に、まだ留まるつもりなのか。
これからもこの人は、わたしに影を落としてゆくのか、と。
本当に、ずるい。
こんな最高な置き土産があるのだろうか。
だって、その瞬間目が合ったのだもの。
こんなの、忘れられるわけがない。
だって、わたしは、ずっと──
今夜は沢山話せた。目を見れた。
全部覚えておきたくて、お酒のせいにして、距離も多分近かった。
泣きながら一人歩いた帰り道を思うと、何だ、最高のハッピーエンドじゃないか。
悔しい。
この一言のせいで当分の間、頑張れてしまう。
「大丈夫?」って覗き込んでくれる顔が柔らかだったこと。「眠い?」と聞く声がたまらなく優しかったこと。
全部ぜんぶ、腹が立つくらいに覚えている。
わたしを選ばなかったこと、せいぜい後悔してよね。わたし、どんどん可愛くなるんだから。
そんな深夜の帰り道。
AM 5 : 52
もうそろそろ眠らなくては。
明日もバイトなのだから。
枕に着地する。
少しずつ記憶が、思い出になっていく。
外がぼんやりと明るくなってきた。
──眠らなくては。
これからもみんなは、わたしの人生の登場人物であり続けるのだろうな、と思った。
わたし、ほんとうは寂しくて仕方ないんだよ。
明日からみんなが居ないなんて、考えられないんだよ。
これからも "今夜” を繰り返していきたいんだよ。
みんなと会えて楽しかった、愛おしかった。
この瞬間がずっと続けばいいのに、と思った。
わたし、いつまでも今日のことを忘れられない。
ああ、もうやだ。
最後まで、ずるい人たち。
眠らなきゃいけないのに。
全身に感覚が残ってる。
甘いお酒が身体を回って、体が熱くなって、誰のものか分からない手を握って、写真を沢山撮って、笑って、わたし、やっぱりあの時辞めなくて良かったと思った。
この場所で最後まで頑張ってみようと思った。
天日干ししたお布団。いい匂い。
ああ〜〜、皆幸せになって欲しい。
外はもう朝だ。
明日っていうか、もう今日だけど、10時からバイトなのに。ちょっとでも眠らなくては。
あ、そうだ。
あの人は、勝手に世界一幸せになってくれればいいよ。
みんな、わたしの世界を広げてくれて、新しい感情に出会わせてくれて、本当にありがとうございました。
この場所、やっぱり好きだ。
あ、あとね。
可愛い後輩ちゃんがね、来世は男の子になってわたしと付き合ってくれるんだって。嬉しい。
終わり。
3時間後にアラームかけて、そろそろ寝る。
もう泣かないよ。わたしだって、次に進まなきゃいけないんだもの。
じゃあ、 "またね。”
今日も独り言にお付き合いいただき、ありがとうございます。
素敵な一日をお過ごしください。
新しい春を迎えられそう。