言葉とかつおぶし
先日、人からおもしろい詩を紹介してもらいました。
長田 弘(おさだ ひろし)さんの「言葉のダシのとりかた」という詩です。
この人は文章を書くとき、「自分の言葉」を大切にしてきたんだなあ、ということがよくわかる詩でした。
私も文章を書くときは自分の言葉を大切にしたい。また、他人の表現にコメントをつけるときは、相手が大切にしている言葉を傷つけてしまわないようにしたい。
そんな決意と自戒をこめて、ここでその詩を紹介します。
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言葉のダシの取り方
長田弘
かつおぶしじゃない。
まず言葉をえらぶ。
太くてよく乾いた言葉をえらぶ。
はじめに言葉の表面の
カビをたわしでさっぱりと落とす。
血合いの黒い部分から、
言葉を正しく削ってゆく。
言葉が透きとおってくるまで削る。
つぎに意味をえらぶ。
厚みのある意味をえらぶ。
鍋に水を入れて強火にかけて、
意味をゆっくりと沈める。
意味を浮きあがらせないようにして
沸騰寸前サッと掬いとる。
それから削った言葉を入れる。
言葉が鍋の中で踊りだし、
言葉のアクがぶくぶく浮いてきたら
掬ってすくって捨てる。
鍋が言葉もろともワッと沸きあがってきたら
火を止めて、あとは
黙って言葉を漉しとるのだ。
言葉の澄んだ奥行きだけがのこるだろう。
それが言葉の一番ダシだ。
言葉の本当の味だ。
だが、まちがえてはいけない。
他人の言葉はダシにはつかえない。
いつでも自分の言葉をつかわねばならない。
***
すごく素敵な詩だと思いませんか?
私はこの詩でこの人のことが大好きになりました。
もっとこの人の詩を読んでみたいです。
長田弘さんの紹介については、こちらのHPが分かりやすかったです。
作品がたくさん紹介されているページもここにつけておきます。
最後までお付き合いいただきありがとうございました!
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