どうだ住友林業発祥の地なのだ ー旅の栞 別子銅山ハイキング編ー
日本は、世界で有数の、緑の成長が早い国。
ということを、何かの本で読んだことがある。そういえば、小学生時代も、しょっちゅう運動場の草取りを、させられていたなぁ・・
◇◇
前回からのつづき
旧別子銅山を歓喜坑に向けてハイキング中、中間地点の「ダイヤモンド水」という場所まで来たところであった。
おっとその前に、もう一度、おさらいをしておこう
別子銅山とは、日本有数の銅を産出していた鉱山。江戸時代(1691年)から昭和(1973年)まで、約280年もの間(!)、ずーーっと、銅を掘っていたのだ。どうだ!
この間に、掘った坑道は総延長700km。そして、掘った深さ、最も深い場所で海面下1000メートル。深さ千メートルって・・・深海やんけ
どうだ!すごいのだ。
最盛期には、12,000人が鉱山山中に暮らし、300名に迫る児童数を誇る小学校まであった。人が暮らせば、娯楽も必要だし、病気にもなる。劇場や醸造所、病院なども山中に造られた。
そして、銅を製錬したり、庶民が生活するには・・・
燃料(木材)が必要
豊富な資源(ブナの森)も、使えば枯渇する。
植林するもむなしく
煙害の影響(酸性雨)もあり、ハゲ山になってしまった。
◇◇
ハイキングに話を戻します。
ダイヤモンド水 ぶっしゃー
ふなっしーじゃないよ
山中で、出会う湧き水は、命の水だ。
登山口から、1時間ほど登ったところにある、ダイヤモンド水。
その言われは、
銅山のネックである毒成分も含まず、飲料に適した水との事。しかも冷たい! 浴びるほど飲む。
風呂上がりのビールと同じくらい、うまいぞ!
お弁当に最適な、休息所もあります。体力に自信の無い方は、ここでUターンするのもあり。
分かれ道
喉を潤し、さぁ出発だ!
歓喜坑(下記の案内板では、歓㐂坑と記載)まで行くには、途中分かれ道がある。どちらを選んでも、歓喜坑まで辿りつける。
分かれ道の正体は、渓谷の両岸に広がる集落の生活道だ。我々は対岸の「木方」集落の方から登ることにした。帰りは、もうひとつの集落「目出度」から降りてこよう。
分かれ道まで来れば、あともう少しで歓喜坑だ!
歓喜!
この場所が、最初に鉱床を見つけ抱き合って喜んだから「歓喜坑」と呼ばれる。別子銅山の原点だ。そして住友財閥が、礎を築いた原点だ。
我々(なぐツー)も到着を歓喜
妻と抱き合って喜ぶ(ほど、若くはない・・)
そして、ベンチで休憩
休憩といえば、
◇◇
使つたものはもとの場所へ
治水能力が衰え、ハゲ山となった、別子の山。ついに悲劇が起きる。
明治32年(1899年)台風直撃で、水害(山津波)をおこし多くの人命が失われている。
この年と前後して、増毛作戦が行われるのと同時に、石炭燃料に移っていく。そして、煙害を防ぐため精錬所も人の住んでいない場所に移設されていくこととなった。(詳細は、次回書こうと思う)
100年前にスキンヘッドの山だったことが想像できるだろうか? 地道な企業努力と、偉大な木々の生命力により緑の林に蘇ったのだ。そして、銅を掘り尽くしたあとは、住友林業発祥の地となった。
また、先ほどの分かれ道の地図を見ると、蘭塔婆と記載された場所も確認できると思う。これは、元禄7年(1694年)に発生した大火災の死者を弔う供養塔である。
今でもこの蘭塔婆で、住友金属鉱山の方々による、盆供養がとり行われている。そして、この登山道が整備されている理由のひとつも、この弔事にあるのではと思う。
◇◇
さあ、目出度町を通って帰ろう。40kmサイクリングの影響で、脚がめった痛くなってきたのだ。。
途中、大山積神社の痕跡がある。
先ほど書いた、元禄7年(1694年)の火災で、町が被災し。この神社も打ち捨てられたようだ。
この辺りを旅行した方ならわかる、「オオヤマツミ神社」は、「大山積」ではなく「大山祇」だよね。
大三島にある、伊予国一の宮である大山祇神社。村上海賊たちの信仰もあつめた神様だ。『村上海賊の娘』では、武吉が連歌を詠んだ場所として描かれていた。そう、ここ大山積神社は、その大三島から分社されたものだ。
300年前の神社に思いを馳せる。
祈るのは、家族の健康と、世界平和。
◇◇
駐車場が見えてきた。
木の隙間から、愛車もチラリ。
少し雨が降ったようだ。
ハゲ山でなくて、よかった。
お腹もペコペコだ。お昼にするとしよう。
(つづく…)
ーー<追記>ーー
別の記事(ありのままに タビする)で、私はタビする理由をこう書いている。
別子の山と周辺の地域にも、そんな方々がいる。おかげで、私が呑気に訪れ、うっひょーと騒いでいられる。
本日は、そんな方と出会えたので、紹介しよう。
新居浜市と合併する直前、旧別子山村にて「村生まれ最後の子ども」こと伊藤みきさんだ。インスタでも別子山村の日常写真を投稿されています。一人称で語られる、リアルな別子の現実を、垣間見ることができます。
いつもより長くなってしまいましたが、ありがとうございました!
それでは、また来週~ (@^^)/~~~」