保育園の臨時休園・登園自粛で給料を100%もらいながら会社を休む方法
新型コロナウイルスの影響により保育園が臨時休園となったり、自治体や保育園からの登園自粛要請を受けて自主休園したりしている場合、国の助成金制度を活用することで、給料を100%受け取りながら会社を休むことができます。
Twitterで紹介したところ反響があったので、いただいたご質問なども含めてまとめました。
実際に私が会社に交渉した方法についても書きましたので、ご参考になれば幸いです。
制度の内容
新型コロナウイルスの対応により、子どもの保育園などが臨時休園などになった保護者に会社が特別有給休暇(給料100%)を付与することで、会社に対して国から助成金が入ります。(小学校等休校対応助成金)
通常の有給休暇とは異なる特別の有給休暇となるので、通常の有給休暇が減ることはありません。
もともとは、小学校の臨時休校に合わせてできた制度ですが、小学校のほかに、保育所、幼稚園、認定こども園、認可外保育施設、家庭的保育事業なども対象となります。
保育園等が臨時休業でない場合でも、次のような場合には対象となります。
・お子さんが新型コロナウイルスに感染した
・お子さんが新型コロナウイルスに感染した恐れがある(発熱などの風邪症状、濃厚接触者になった)
・お子さんが医療的ケアが日常的に必要
・お子さんが新型コロナウイルスに感染した場合に重症化するリスクの高い基礎疾患などを有する
対象期間
対象期間は令和2年2月27日から令和3年3月31日までの間です。
(6月30日までから9月30日までに延長されました。2020/05/29追記)
(さらに12月31日までに延長されました。2020/11/14追記)
(さらに令和3年2月28日までに延長されました。2020/12/16追記)
(さらに令和3年3月31日までに延長されました。2021/01/08追記)
2021年1月7日に再度の緊急事態宣言が発出されました。
今回の緊急事態宣言を受けて保育園の登園自粛要請が出された場合でも制度の対象となります。
緊急事態宣言が解除されたエリアでも、条件に該当すれば制度を利用できます。
登園自粛(自主的な休園)も対象です
保育園が臨時休園になった場合はもちろん、自治体や保育園から登園の自粛を要請された場合も対象となります。
たとえば、「ご家庭で保育が可能な方は、ご家庭での保育にご協力ください」というような、「仕事を休める人は保育園に来ないでね」というような柔らかい感じの協力依頼でも、対象となります。
自治体や保育園から登園自粛要請があったことがわかるお手紙やメール、ホームページの記載などがあればOKですが、会社によってはなくてもOKの場合もあるようなので、会社にご確認ください。
(2020/04/27追記)
自治体や保育園の書類がなくても申請できる地域と、書類が必要な地域があるそうです。
この情報は、Twitterで共有いただきました。ありがとうございます。
助成金の支給上限を超える場合でもお給料は100%です
助成金には支給上限があります。
(1日15,000円。8,330円から引き上げられました。2020/05/29追記)
ですが、会社が助成金をもらえる条件が「有給(賃金全額支給)の休暇を取得させること」なので、社員がもらえるお給料は100%です。
助成金とお給料の差額は会社負担です。
仕事が忙しくても制度を利用できます
この制度は「業種・職種にかかわらず」利用できます。
「うちは休めないから」という会社でも、制度を利用すること自体は可能です。
ただ、実際に仕事に穴を開けて大丈夫なのかという実務的な問題とは別なので、そこは上司などと調整する必要があります。
大企業でも中小企業でもOKです
この制度は、大企業でも中小企業でも利用できます。
夫婦で休めます(2020/04/17追記)
夫婦の片方がすでにこの制度を利用して休む場合でも、もう片方の人も同じように休むことができます。
もちろん、夫婦で育児・子育てをすることが前提です。
この情報は、Twitterで共有いただきました。ありがとうございます。
育休を延長したい場合(2020/04/17追記)
育休復帰を予定していたけれど、保育園の休園などで復帰できなくなった場合には、職場に1日でも復帰していれば、この制度を利用できます。
この情報は、Twitterで共有いただきました。ありがとうございます。
制度を利用して休むには、会社にご相談ください
この制度を利用して休みたい場合には、社員が会社にこの制度を使って休ませてくださいと交渉する形になります。
新しい制度ですし、あまり知られていないようなので、何も言わずに用意してくれる会社は多くないのではないかと思います。
実際に会社に交渉してみた
実際に私は会社に交渉して、この制度を使って休めることになりました。
どうやって交渉したのかを簡単にご紹介します。
制度を利用して休むには、「①会社に制度を導入してもらえるか(制度面)」と、「②実際に仕事に穴を開けて大丈夫なのか(実務面)」の2つの問題があります。
まず、私は「②実際に仕事に穴を開けて大丈夫なのか(実務面)」から取り組みました。
先に直属の上司に相談して、もし制度が利用できれば休んでよいと了承を得ました。
先に上司に相談したのは、味方を1人でも作っておきたかったからです。
制度を導入するのは会社にとって負担なので、会社から断られる可能性があります。
「ただの平社員のお願い」なら雑に断れるとしても、「平社員のお願い(上司了承済み)」なら、少しは丁寧な扱いになるだろうと考えました。
上司には人事に確認するよう言われることがわかっていたので、「もちろん人事への確認は必要ですが、先に上司にご相談すべきと思いまして…」と切り出しました。
次に、「①会社に制度を導入してもらえるか(制度面)」について、人事に相談しました。
もし断られた場合に備えて、相談は形に残るようメールでしました。そして、ccに上司を入れることで、変な対応をされないように牽制しました。
人事への相談後、部長クラスから、仕事の進め方で改善点などはないか、ヒアリングがありました。
仕事や就業環境に不満はなく感謝していること、あくまでこちらの家庭の事情で休みたいこと、今家庭がどんな状況なのか、もし子どもを見ながら仕事をしたらどれくらい稼働率が下がるのか、落ち着いたらもちろん復帰も考えたいことなど、具体的に丁寧に伝えて、理解を得られるようにしました。
結果的には何の問題もなく休みが認められました。人事に申し出てから制度ができるまでに2日かかりました。
もし会社に断られたら…
残念ながら、制度の利用を断る会社も少なくないようです。。
実際にそのような引用RTをいくつかいただきました。
会社に労働組合がある場合には、労働組合にご相談ください。労働組合から会社に交渉してもらえると思います。
労働組合がない場合には、労働局にご相談ください。労働局から会社に働きかけてもらえます。
みなさんの署名や国会議員の働きかけのおかげで、労働局の特別相談窓口ができました!(2020/11/24追記)
労働局の専門のコンサルタントが会社に助成金の活用等の働きかけを行ない、申請手続きに必要な申請書類の作成支援を全面的に行なうそうです。
会社に断られて制度を使えないでいた方、ぜひ諦めないで相談してみてください。
制度について疑問がある場合
制度について疑問がある場合には、厚生労働省の専用コールセンターにお問い合わせください。
また、厚生労働省がQ&Aをまとめています。とてもわかりやすいので、そちらもご覧ください。
↑のリンク先の「Q&A Q&Aについては、こちらをご覧ください。」というところから見られます。
使えるものは使って生き延びましょう
働きながら子育てをする、いわゆるワーママ(ワーパパ)の世界では、「外注できるものは外注しよう」と言われることがあります。
ですが、このご時世、実家には頼れませんし(高齢者なので)、ベビーシッターや家事代行の利用も躊躇われます。
地域によるかもしれませんが、ネットスーパーは争奪戦です。
トイレットペーパーなどはそもそもネットで入手できないので、わざわざ時間を割いて薬局などに行かなければなりません。
すべてを抱えてこなすには、無理がありすぎます。(私には無理でした)
新型コロナウイルスとの戦いは長期戦になると思っています。
今一時的に無理をすれば何とかなるわけではありません。
家族の健康を守るために、何より自分が倒れるわけにはいきません。
使えるものは使って、生き延びましょう。
最後に、この制度の申請件数は1000件、交付件数は6件にとどまっているそうです。
身近にお子さんがいる方がいたら、この制度のことを教えてあげてください。
少しでも多くの方にこの制度を知ってもらうきっかけになれれば幸いです。
お仕事を休めない方へ(東京都)(2020/04/18更新)
保育園が臨時休園した場合などに、ベビーシッターを150円/時間で利用できる制度があります。
お仕事を休めない方は、こちらをご覧ください。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。