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法被を来たLed ZeppelinことZAZEN BOYSが武道館に

 こんなにエモーショナルで熱情的なZAZEN BOYSを体感することができるとは思わなかった。何の気なしに6年ぶりのワンマンライブに参加し、3時間20分着席で2列目から観た4人はさながら妖怪。
 繰り返されるMCは「MATSURI STUDIOからやって参りましたZAZEN BOYS」と「ARE YOU 長澤まさみ?」など意味のない内容のみであとはひたすら36曲を演奏するストロングスタイル。
 濃縮された「THIS IS 向井秀徳」が紡ぐ6本の狂ったハガネの振動は段平のように鋭く、ビロリンマンのようにしなやかで、混沌とした泥沼から生まれた胸焼けうどんを食わされたような感覚。
 ライブで聴いた新譜「らんど」の「永遠少女」と「YAKIIMO」はいつもの超絶テクの演奏だけでなく、メッセージ性の深い側面もあり、心にズドンと響いた。沖縄出身のMIYAの加入がNUMBER GIRLの歯車を動かし、ZAZEN BOYSのハンドルを切り替えたことは言うまでもない。
 向井は原曲とは異なるHIPHOPの趣向を凝らしたビートに乗せ、「頭どんだけ狂っても、生の実感だけは持っとこう」と語る。誰もが先の見えない繰り返される諸行無常の毎日、蘇る性的衝動を感じながら、生きている鼓動を頼りに過ごしていきたい。

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