眼の愛護、眼のケア
2021年9月第4週の食とココロの処方箋。
9月21日、中秋の名月には、きれいな満月が見えました。
中秋の名月がちょうど満月になったのは8年ぶりだったそうですね。
空に昇ったばかりの低い月は、大きくて濃い黄色で、昔話の絵本に出てくる満月のようでした。
月って何色に見えますか?
日によって、高さによって、いろいろな色に見えるのも不思議ですね。
「今月の色」では、月に注目してみました。
《コーナー①》
最初のコーナーは、今週の暦です。
一年を24に分けた二十四節気と、さらに三分割して72に分けた「七十二候」をご紹介しています。
二十四節気は、9月23日から10月7日まで「秋分(しゅうぶん)」。
七十二候は、9月28日から10月2日まで秋分の次候「蟄虫坏土(すごもりむし とをふさぐ)」、寒さを察知した虫達が冬ごもりの支度を始める頃。
虫といっても、もともとは蛇やマムシのような爬虫類のことをいっていたそうで、蛙やトカゲも入っています。
蛇も蛙も蜥蜴も「虫偏」
そういえば、蛇も蛙も蜥蜴も、漢字で書くとどれも「虫偏」がつきますね。
漢字の「虫」という字は、蛇の姿がもとになっています。
虫偏のつく漢字の中には、蛸(タコ)や蛤(ハマグリ)のように、虫ではないものもたくさんありますよね。
漢字ができた中国で、人間、獣、鳥、魚に分類できないものを大きく「虫」と分類していたことからきているそうです。
この候は、3月初旬の「啓蟄(けいちつ)」の初候、「蟄虫啓戸(すごもりむし とをひらく)」と対になっています。
秋分の頃に冬籠りの支度を始めて、春分の前になると土から出てくるのですね。
現代の暦でいう秋分の頃は、暑くも寒くもなく過ごしやすくなる頃ですが、旧暦のこの頃は10月下旬~11月中旬頃ですから、土もひんやりと冷たく感じる頃なのでしょうね。
「月」の色
しばらくぶりとなりました「今月の色」。
9月は、中秋の名月にちなんで「月」の色に注目してみました。
日本の伝統色には、「月」に「白い」と書いて「月白(げっぱく)」という色があります。
月の光を思わせる、少し青みがかった白。
同じ字を「つきしろ」と読むと、「月が出ようとするとき、東の空が明るく白んでいくこと」という意味になります。
黄色の中には、月に関わる色は見つかりませんでした。
月は本当は何色なのでしょうか?
黄色い月、白い月、赤い月…見るたびに色も形も違って見える月は、神秘的な美しさがあり、古くから人々を魅了してきました。
なぜ色が違って見えるのか、ヒントは月の高さです。
来週に続きます。
《コーナー②》
次のコーナーです。
「目とメガネの句間(10日間)」
もうすぐ10月。10月10日は「目の愛護デー」です。
10を2つ並べて横向きにすると、眉毛と目に見えることからこの日に制定されました。
10月はもう1つの目の記念日があるのをご存じでしょうか。
10月1日「メガネの日」です。
10月1日は「1001」とも表記されることから、両端の1をメガネのつる、真ん中の0ふたつをレンズと見立てて、メガネの形を表していることから制定されました。
「メガネの日」と「目の愛護デー」の二つの記念日を合わせて、10月1日から10日までは「目とメガネの句間(10日間)」ともされています。
目の愛護デーのイベントとして毎年開催されている「Tokyo Eye Festival」。
https://www.tougan.org/tef2021/
コロナ禍のため昨年はオンラインのみとなりましたが、9回目となる今年2021年は、会場とオンラインのハイブリッド開催が予定されています。
会場は新宿駅西口広場で、10月10日(日)11日(月)の11時~17時まで、無料でどなたでも参加できます。
目の病気の解説、目の病気になったらどう見えるかが体験できる視野障害体験、メガネやコンタクトレンズの正しい使い方の解説、東京都眼科医会の医師によるよくある質問への回答、レクチャー動画など、様々な展示が予定されています。
オンラインでは、10月1日(土)から24日(日)まで、いつでも無料で視聴できますので、ぜひ覗いてみてくださいね。
昨年のオンライン開催でも、目の病気になったらこう見えるという体験動画がありましたが、見えることが当たり前になってしまっていると、なかなか想像しにくいものです。
東京眼科医会会長からも「見えることの大切さ」「見えにくくなっても共に支え合うことの大切さ」を考える機会にしていただきたいというお話がありました。
目は起きている間ずっと働き続ける、現代では特に酷使されている臓器です。
体は休んでいても、TVを観たり、パソコンやスマホを見たり、本を読んだり、常に働いている、もしかしたら一番の働き者かもしれません。
普段意識することはほとんどないと思いますが、目には何種類もの筋肉が付いていて、目を動かしたり、ピントを調節したりしています。
目を開けたり閉じたりするのも、筋肉の働きによるものです。
特に、疲れ目や眼精疲労で問題になるのが、眼を動かす「外眼筋」と、ピントを調節する「毛様体筋」です。
片目に6本、合計12本の外眼筋の働きによって、眼球を上下左右・斜めに動かすことができます。
モニターやスマホの画面など、近くを見続けている時は、眼球を内側に寄せる筋肉が緊張し続けた状態になっています。
ピントを調節する時は、毛様体筋が目のレンズの役割をする「水晶体」を引っ張ったり緩めたりして、レンズの厚さを変えています。
近くを見る時は、水晶体を引っ張って厚くするため毛様体筋は緊張した状態になります。
この2種類の筋肉の働きを知ると、近くを見続けることが目の負担になることがわかりますね。
「目が疲れたら遠くを見ると良い」というのは、遠くを見る時には、毛様体筋を緩めることができるからです。
体が疲れた時に、ストレッチをしたり、お風呂に入ったりするように、目の筋肉もケアしてあげましょう。
お勧めは、「ストレッチ」と、「温めること」。
体の筋肉と同じです。
一番簡単なのは「遠くを眺めること」。
時々モニターなどから目を離して、毛様体筋を緩めましょう。
これだけで収縮し続けていた毛様体筋を休ませることができて、こまめに行うほど、疲れにくくなります。
もう1つのストレッチは、「眼球を大きく動かすこと」。
1時間に1回は、上下左右と大きく目を動かしてみてください。
目から入る情報はとても多いので、少しの間、目を閉じるのも効果的です。
この時、立ち上がったり、首や肩のストレッチもあわせると、1日の疲れが全然違ってきます。
長い休憩や仕事終わり、寝る前には、市販のホットアイマスクやホットタオルで目を温めることも、日常のケアとして、ぜひ取り入れてみてくださいね。
産業医 櫻庭千穂
レインボータウンFM「食とココロの処方箋」