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秋の入り口は暑さ処(落ち着き)、禾(こくもの)みのる」

8月第4週の食とココロの処方箋。

少し暑さも落ち着いて、しのぎやすい日も増えてきましたね。


今週の暦です。

一年を24に分けた二十四節気と、さらに三分割して72に分けた「七十二候」をご紹介しています。

「処暑(しょしょ)」

二十四節気は、8月23日から9月7日まで「処暑(しょしょ)」。

「処」という字には「落ち着く」という意味があり、処暑は暑さが少し落ち着く頃。

日中の日差しはまだまだ強いですが、最高気温が30℃に届かない日があったり、朝晩の風も少し涼しくなったり、真夏から秋へ向かっているように感じられることも多くなってきました。


綿柎開(わたの はなしべ ひらく)」


七十二候は、8月23日から27日までは、処暑の初候「綿柎開(わたの はなしべ ひらく)」、綿の実が弾けて、フワフワした綿花がのぞく時期です。

綿(わた)の木は、7月~8月頃ハイビスカスや芙蓉に似た淡い黄色の花を咲かせます。

日本での栽培は少ないそうで、私も畑を見たことはありません。

花の後にできた実が弾けると、中に種を包んだフワフワの綿花・コットンボールが現れます。

コットンボールは、最近ではドライフラワーとして目にすることが多いでしょうか。

白や茶色の種類があって、その温かみのある見た目から、秋冬、特にクリスマスシーズンには、ギフトとしても人気がありますね。

このコットンボールの中の種を取って、繊維をほぐして紡いだものが綿の糸になり、糸を織って綿の布ができあがります。

今では身近な素材である綿ですが、日本で定着したのは意外と遅く、戦国時代の頃だそう。

一時は日本国内でも栽培が盛んだったものの、戦後はほぼ輸入されたものとなりました。

近年は、日本での綿花栽培を復活させようという動きもあるようです。

現代では機能性の高い繊維が開発されて、化学繊維の衣類が増えていますが、敏感肌の方、肌が荒れやすい・かぶれやすいという方は、綿素材のものに変えてみるのもいいのではないでしょうか。

特に肌に直接触れるものはお勧めです。


「天地始粛(てんち はじめて さむし)」

8月28日から9月1日までは次候「天地始粛(てんち はじめて さむし)」、ようやく暑さが収まり始める頃。

「さむし」は、「寒い」という意味ではなく、「静粛」や「厳粛」の「粛」と書きます

最近だと「自粛」の「粛」というとわかりやすいでしょうか。

「しずまる」「ひきしまる」という意味で、暑さが鎮まり、万物が改まる頃とされています。


「禾乃登(こくもの すなわち みのる)」

9月2日から7日までは処暑の末候「禾乃登(こくもの すなわち みのる)」、稲が実って穂を垂らす時期。

「こくもの」は、稲・麦・粟・稗(ひえ)などの「穀物」の総称で、「禾(のぎ)」とも読みます。

稲や穂という字に付く「のぎへん」の禾です。

実りの秋はもうすぐですね。


産業医 櫻庭千穂
食とココロの処方箋

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