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ぷち異文化交流

多分先月ぐらいだったかな、父と母と近所の海に行った。車で5分10分もあればつく、ほんと近くにある海。(追記:その日の日記を見た感じちょうど1ヶ月前くらいであってた)

といっても家を出たのは夕方だったし、水着を着てガッツリ泳いだのではなくて、私と母は軽く海水に足をつける程度だったけど。17時だったか18時だったか忘れたけど、時間も時間なので人は少なかった気がする。

結構深い所まで躊躇なく進んでいく父を見ながら、私も海の中に足を踏み入れる。一瞬身震いするけど、7月の暑さにこの水温はちょうどよくて。でもすぐに飽きてしまって、早々に私と母は家から持ってきたレジャーシートに腰掛ける。

海で泳がないとなると特にすることも無くて、何を思ってか私と母はその辺に落ちてる小さめの石を海に投げ入れては「今いい音したね〜」などと言い合うよくわからない時間を過ごしていた。

父もしばらくして砂浜に戻ってきて、妻と娘の奇行に「??」となりつつ積極的にいい感じの大きさの石を探し始め、最終的に親子3人で夕方の海に石を投げ入れ出す始末。「魚もいまびっくりしてるだろうね」なんて言いながら続けていたのだが、ふと視界の隅に映る人影が気になった。

距離が離れていたからよく聞こえなかったけど、その人影は何やらひとりで何か話している。よく見ると犬?も連れていた。独り言の中身は聞き取れなかったから「私らより変な人いんな〜」と失礼なことを考えていれば、ふいに私たちの元へその人の犬がちょこちょこ近寄ってくる。








可愛かったなぁ

小さくて茶色のトイプードル(多分、あんまわんちゃん詳しくないので)。

「あんま人ん家の犬触らん方がいいんじゃない?」とあせあせ気味の母と私を気にせず、父は「ちっちゃいね〜〜☺️」「かわいいね〜〜☺️」みたいな感じでニコニコ犬に声をかけていた。

後からさっきの人影もとい飼い主さんも後からついてきて「ごめんね〜」「(わんちゃんが私たちと?)遊びたいみたい」とその犬を見ながら私たちにフランクに笑いかけてくれて、父もそれに楽しそうに応じていた。このコミュ力が娘の私には1ミリも受け継がれてないのが悲しい。

その人との会話はそれだけで終わって、犬と飼い主さんが一緒に歩いていくのをぼーっと見ていると、父が「外国の人かね?」とぽつり。確かによく聞いたら英語で話してるっぽいし、「ごめんね〜」とかもややカタコトだった気がしなくもない。というか今気付いたけど、さっきのあれは独り言じゃなくて自分の犬に話しかけてたのか。

その人は犬の名前であろう言葉を犬にかけながら、細い木の枝をひょいっと投げる。その犬も犬で、海に浸かってびしょ濡れになりながら取りに行ったり行かなかったり、気まぐれに歩いている。そんな様子を、飼い主さんは楽しそうに眺めていた。

これ以降この人と話すことはなかったのに、どこの国の人とか、旅行でこの海に来たのかこの辺に住んでるかとか、何もこの人のことなんて知らないのに。

なのに何故だかふと、「自分の思うままにちっちゃい足で歩くわんちゃんと、それをニコニコ眺めている飼い主さん」という構図があったかくて、平和な画すぎて。再びこっちに近付いてきたびしょ濡れの犬をみて、私はなんだか無性に「愛おしいな」なんて思った。

普通ならただ「微笑ましいな〜」と感じて終わるであろうその光景を、ただ真顔でじっと焼きけるように見つめては、心の中が言葉では形容しがたい、それでいて暖かい不思議な感情でいっぱいになった。同時に微笑ましいはずなのに何故か胸がぎゅっとなった。

海辺を離れて足を洗っていても先程までの光景を脳内再生してしまうし、家に帰った後も「あんな幸せ空間に出くわすなら行ってよかったな」とほんのり私の心はあったか〜くなったのだった。最近はあまりこの海に行ってないけど、あの飼い主さんとわんちゃんはまた木の枝で遊んでるのだろうか。またいつか会えるかな?


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