手紙
僕は一人暮らしを初めてから続けていることがある。
1ヶ月に1回、祖母に手紙を書くこと。
祖母とはずっと一緒に暮らしてきた。
僕が一人暮らしをするのを一番悲しんでいたのは祖母だった。
だから僕は引越すときに祖母と約束をした。
「手紙を書くよ」って。
祖母は寂しそうな顔をしながら、「待っとるね」と言ってた。
だから僕は短くても長くても毎月必ず手紙を書いた。
*
僕は男子としては字を書くのがきれいだった。
それは、小学生の頃に祖母が厳しく教えてくれていたおかげだと今は思う。
僕が字を書くことを祖母はとても喜んでくれた。
ちょっとしたメモやメッセージでも
「拓也はきれいな字をしとるね〜」
といつも言ってくれていた。
だから僕は字を書くことが好きだったし、祖母に手紙を書くのはとても楽しかった。
*
「おばあちゃんへ ……」
今月も祖母への手紙を書き始めた。
下書きはしない。間違えても文がおかしくてもとりあえず書くことにしている。
おばあちゃん、喜んでくれるかな…