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【エッセイ】体温が1℃上がる香水

朝目覚ざめてからだを起こすと
ひんやりとした冷気が首元に触れる
冬の朝はこの妙に澄んだ冷たさを感じないと始まらない

寒いのは大嫌い
でもこの透き通った空気は好き
冬はアンビバレントな感情を呼び起こす

深紅色のセーターを着る
骨格ストレートの私はざっくりした編み目の生地は似合わないらしい
なんとなく着こなせていない感は感じていたけれど明確にそれを知ってからは編み目の細かいセーターを選ぶようになった

ドレッサーからバカラルージュ540の瓶を選んで手首にひとふきする
纏うだけで体温が1度上がるような熱を感じる香り
クリスタルの輝きとゴールドの溶解の熱で燃えるスカーレットな色を思い起こさせる香り
透明感と熱が同居している香り
全くもってそんな香料は使われていない筈なのに概念的な焦がしキャラメルのようにも感じる香り

クルジャンの香りはいつも奥行きがあるのに変な複雑さを感じない

煌めきも温もりも手に入れられる贅沢
そんな香りに包まれて迎える冬の朝

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