あらすじを知りたい人のためのhuluオリジナル作品『十角館の殺人』ネタバレ解説
huluオリジナル作品『十角館の殺人』ってミステリーだと聞いたけどどんな内容なんだろう…。
こんな風に思っている人のためにhuluオリジナル作品『十角館の殺人』のあらすじや登場人物など、ネタバレを含んだ情報をご紹介いたします。
これを読めば、『十角館の殺人』の世界をより楽しめるはずです!
『十角館の殺人』あらすじ
『十角館の殺人』はミステリー界の巨匠、綾辻行人の原作小説が忠実に再現されたhuluオリジナル作品となっています。
大学のミステリー研究会のメンバーが無人の孤島にやってくるところから話ははじまり、建築家・中村青司が島に建てた十角館の中で次々に殺人が起こります。
一方、本土では元ミステリー研究会・江南孝明のもとに届いた謎の手紙から過去に起きたある事件の真相を紐解いていきます。
謎解きは十角館の中だけでなく、同時進行で本土でも行われるという、2つの視点から異なる話が進む面白い作りになっています。
この作品は小説でしか成立しない仕掛けになっているため、映像化は難しいとされて来ましたが、原作を読んでいる人にも読んでいない人にもあっと驚くラストが待ち受けています。
『十角館の殺人』登場人物
ここからは、『十角館の殺人』に出てくる登場人物たちをご紹介します。特にミステリー研究会のメンバーは本名ではなくあだ名で呼び合うため、人物を照らし合わせながら見ていきましょう。
ミステリー研究会
ミステリー研究会のメンバーはニックネームで呼び合い、すべてミステリー作家の名前になっています。
本土にいる人物
本土にいる江南のもとに届いた手紙から、過去に中村青司が起こした青屋敷事件やミステリー研究会の中で亡くなっている中村千織について、島田とともに謎を解いていきます。
青屋敷の関係者
青屋敷は中村青司が設計し妻や使用人が暮らしていました。十角館と同じ孤島にありましたが、ある事件をきっかけに全て燃えてしまい、住人もすでに他界しています。
『十角館の殺人』ネタバレ解説
見事な映像化で物語に引き込まれる作品となった『十角館の殺人』。ここからは、全5話のあらすじとネタバレ解説をしていきます。
第1話
ミステリー研究会のメンバー7人が十角館が建つ角島へ船で向かうところから物語はスタートします。彼らは、エラリイやポウなどミステリー作家のあだ名で呼び合い、建物から机、食器など全てが十角形になっている十角館に宿泊します。
一方本土では、江南の元へ届いた手紙から過去に起きた青屋敷全焼事件を島田とともに調べることになります。この青屋敷全焼事件では、十角館を設計した中村青司と妻、使用人夫妻の死体が見つかっており、犯人は行方不明になっている庭師だとされていることが分かりました。
そんな中、十角館で最初の犠牲者が…。ラストでオルツィの顔が一瞬だけ映る演出にはドキリとするものがありました。
第2話
1人目の犠牲者オルツィの死因は絞殺でした。しかも左手が切り取られており、それは奇しくも青屋敷全焼事件で発見された中村青司の妻・和枝の遺体の状況とそっくりだったのです。
また、第1の犠牲者と書かれたプレートがオルツィの部屋のドアに貼られていました。エラリイたちは犯人は誰なのか推理を始めます。
その頃、本土でも江南たちが青屋敷全焼事件の真相や元ミステリー研究会で不慮の事故で亡くなった中村千織のことを調べていきます。
島と本土、十角館で殺人事件に巻き込まれたミステリー研究会とそんなことが起こっているなど知らない江南たちとの対比がとても面白いです。
第3話
2人目の犠牲者カーの死因は毒殺でした。疑心暗鬼になるミステリー研究会のメンバーたちでしたが、彼らは島で青屋敷の地下室を発見します。降りてみるとそこには人が生活しているような痕跡があり、エラリイは中村青司は生きていて十角館の殺人は彼の仕業だと推理します。
一方本土では、江南の家に守須がやってきて島田とともに3人で青屋敷全焼事件の真相をつきとめようとしますが、中村千織の生い立ちを探る2人を見て守須はこの件から降りると言い出します。
島では犠牲者がどんどんと増えていき、口紅に毒を塗られたアガサが死亡し、ルルウが屋外で撲殺されます。残ったメンバーは、エラリイ、ポウ、ヴァンの3人のみになりました。
クライマックスに向けて次々に犠牲者が増えていく展開は、ミステリー作品においてとてもドキドキする瞬間ですね。
第4話
7人中4人が犠牲者となり、残った3人のうちの1人エラリイが「名探偵」役を買って出ます。彼はやはり中村青司が生きていて娘の復讐のためにミステリー研究会を狙っているのではないかと推理しますが、そんな最中ポウがタバコに仕掛けられていた毒によって死亡します。
ついに2人になってしまいましたが、エラリイがカップの秘密に気がつき十角館の地下室を発見、ここに中村青司が潜んでいると息巻き対峙しようとしますが…。
一方本土では、江南たちが中村千織の本当の父親は中村青司ではなく、弟の中村紅次郎だという事実を本人から聞き出しました。そのことで中村青司は妻や使用人夫妻を殺害、青屋敷を全焼させ自らも命を絶ちました。
翌日、守須の元に一本の電話があり十角館へ行ったミステリー研究会メンバー全員が死亡した知らせが届きます。
そしてついに、原作で「あの1行」と呼ばれる衝撃の犯人が、映像で明らかにされます。本土と島、それぞれにいる守須恭一とヴァンは同一人物だったのです。ラストでゆっくりと正体を明かすように顔を上げるヴァンがとても印象的でした。
第5話
第4話でヴァンが守須恭一だということが明かされましたが、第5話では復讐までの経緯と犯人の結末が描かれています。
守須の独白により彼が中村千織の恋人であり、ミステリー研究会のメンバーのせいで彼女が死んだことが分かります。復讐のためメンバーを十角館へおびきよせ、島と本土を行き来することで殺人とアリバイ作りを実行します。島には7人しかいない、ヴァンと守須は別人であると思わせることで視聴者を騙したのです。
しかし最後には江南の言葉から、中村千織がミステリー研究会のメンバーのせいで死んだわけではなく、むしろ守須との関係を公表できないさびしさから亡くなったようにも思える真相にたどりつきます。
ラストシーンは神に審判をゆだね、結果裁かれることを覚悟した終わり方でした。
『十角館の殺人』あの1行とは?
『十角館の殺人』が映像化不可能とされていたのは、トリックが小説でしか成立しないものだったからです。
ここからは、小説で明かされた「あの一行」と映像で使われた仕掛けなど文章と映像の違いをご紹介します。
映像で受ける衝撃
第4話のラストで守須恭一とヴァンが同一人物だったということが分かります。前髪を上げてオールバックにしていた守須恭一が、風が吹かれた瞬間に前髪で顔が隠れたヴァンに変わっていく演出は、まさにお見事というしかない仕掛けでした。
また一人二役を細やかに演じ分けていることが、二度、三度見るとよく分かります。髪型や服装を対比させることで人物像を変えたり、ヴァンをはっきりと映さないカメラワークによる演出も素晴らしかったです。
まさに叙述トリックの具現化という難題に挑んだクオリティの高い作品でした。
文章で知る衝撃
『十角館の殺人』の原作小説では、守須恭一がヴァンであるという一文に全ての衝撃が集約されています。初めて読んだときは理解が追いつかす、頭がパニックになったことを覚えています。
文章であるからこそ成立する叙述トリックに読者は強い衝撃を受けました。ミステリー研究会のメンバーが本名ではなく、あだ名で呼び合うことの意味がよく効いています。
『十角館の殺人』感想
十角館の再現度
『十角館の殺人』の映像化において特に素晴らしかった点は、十角館の再現度です。セットで組み立てから行い、十角形の部屋をひとつずつ作り、テーブル、ライト、コップ、灰皿などを全て原作通りの十角形にしています。また映像には映らないようなゴミ箱まで十角形にしているところから監督のこだわりと十角館への敬愛が伺えます。
トリックは文章でしか成立しない物語でしたが、映像化によって文章では見ることのできない十角館へ入り込んだような気分が味わえます。
視覚で見る犯人
『十角館の殺人』は昔、小説で読んだことがあったのですがしばらく間が空いたこともあり、内容はうろ覚えでした。そのため初見で見るようにまっさらな状態で映像を見られたことは幸運だったと思います。犯人を忘れてから映像を見たため、守須恭一とヴァンは別人だと見事に騙されました。
もしかすると感のいい人は守須恭一とヴァンが同一人物かもと気づくかもしれませんが、犯人が分かってから二度見、三度見したくなる作品になっています。
原作を読んでいる人も演出のうまさから「なるほどな~」と思える映像作品に仕上がっていたのではないでしょうか。
『十角館の殺人』まとめ
今回は、huluオリジナル作品『十角館の殺人』のあらすじや登場人物など、ネタバレを含んだ情報についてご紹介しました。
『十角館の殺人』は映像化が難しいとされていましたが、監督のこだわりや演出の仕方、俳優たちの演技が見事なクオリティの高い作品となっています。
これで、『十角館の殺人』を見ている人も見ていない人も何度も繰り返し視聴したくなることでしょう。