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くちなし忌2022 中野重治を偲ぶ会レポート

1979年8月29日に亡くなった文学者、中野重治の忌日は「くちなし忌」という名で、現在も福井県坂井市の生家跡で毎年開催されています。 2020年以降、コロナ禍で中止となっていたこのくちなし忌が、2022年に再開された時に参加した時のレポートを、Privatterの当時の記録からnoteに移しておきたいと思います。 ーーー 日時:2022年8月20日 ※雨天のため、例年は式典も高椋コミュニティセンターでの開催となりました。 ─第一部─── 【式典】13:30〜14:00

    • 解説「紹介的に」 徳永直

       戦後間もない1946年、新興出版社の新日本名作業書の一冊として、中野重治の短編集「鐡の話」が刊行されました。  徳永直により、この単行本に解説として書かれた、中野重治という作家の紹介文です。 解説「紹介的に」  戰爭が始まるまへ、始まつてから終るまでの約十年間のうちに大人になつた若い讀者は中野重治について多く知らぬだらうと思ふ。中野は二度監獄にゆき、彼の作品も永い間、いろんな形で讀者のまへから遠ざるように、日本軍ばつ政府がしてゐたからである。  中野重治は日本でめづらしい

      • 「何時も若々しい人」 室生犀星

        室生先生、2024年のお誕生日おめでとうございます。 新潮社の室生犀星全集の目次からはこのタイトルが見つからなかったので、収録されていないのかも、と思い、ここぞとばかりに入力してみました。(青空文庫にも収録無し) 室生先生が、中野重治さんのはじめての全集発行にあたり寄せた一文です。 何時も若々しい人  中野君の全集が出るといふ話を聞いて、少し早いやうな気がしたが、考へて見ると、私の全集が非凡閣から出版されたのは、五十歳の時であつたから、中野君がいま五十八歳だとすると、八年

        • 日本近代文学館「プロレタリア文化運動の光芒」展感想

          2023年11月3日 日本近代文学館「プロレタリア文化運動の光芒」展に講演会併せで行ってきました。 濃かったです。どの展示ケースも有名どころが並んでいて、それほど広くない文学館展示室を廻るのに、正直、2時間では足りませんでした。 https://www.bungakukan.or.jp/cat-exhibition/14339/ 公式ページの文字数も多くて、事前に目を通すだけで熱量がすごい。 「第一部 第一次世界大戦前後」  展示は全四部で構成されていました。  入

        くちなし忌2022 中野重治を偲ぶ会レポート

          講演会「美術と運動ープロレタリア美術運動再考ー」聴講メモ

          駒場にある日本近代文学館で、2023年秋現在 「プロレタリア文化運動の光芒」展が行われています。 https://www.bungakukan.or.jp/cat-exhibition/cat-exh_current/14339/ 本展の内容については、こちらの新聞記事が非常によくまとまっています。私も事前に参考にさせていただきました。 その記念講演会として「美術と運動ープロレタリア美術運動再考ー」 講師:五十殿利治(筑波大学名誉教授) が2023年11月3日に開催された

          講演会「美術と運動ープロレタリア美術運動再考ー」聴講メモ