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面構えに相応しい名前

以前、見た目と名前がマッチしている多肉の話をした際、
「怒涛」という多肉が、私の中で一番見た目とマッチしていると思ったので、「怒涛 多肉」で検索してみてその姿を見ては?と書いた。

肉食獣の牙のようにも見えるデコボコの葉が、こちらに向いている。荒れ狂う波のような葉。激しい波のようなフォルムから怒りさえ感じてしまう。
おじちゃんの店で初めて見たとき、世の中にこんな植物があるのだと思わず見入ってしまった。出来ることなら欲しかったが、流石は「怒涛」。割と高価だったので私は諦めた。高価な多肉に手を出す程の勇気が無いからだ。

しかし同じフォーカリア属の「四海波」はお手頃価格だったので、そちらを買うことにした。フォーカリア属特有の牙のような葉が、怒涛に似ていたからだ。とはいえ、四海波はどこか物足りなさを感じる。怒涛より、少しだけ穏やかな雰囲気なのだ。
そもそも四海波とは、謡曲「高砂」の一節、
「四海波静かにて、国も治まる時つ風」から「君の恵みぞありがたき」までの部分の通称で、波風がおさまって天下国家が平和に治まったことを祝うもので、婚姻・祝賀の席で謡われるらしい。
もともとの「四海波」とは、怒涛とはまるで真逆な意味合いなのだ。
確かに怒涛と牙フォルムは似ているが、よく見ると葉に凹凸がない。そこだけの違いで真逆のような名前になるとは、多肉の和名は実に面白い。
荒波、大雪渓、雪波、鯨波 銀嶺、波路・・・
フォーカリア属の和名は、波や山にちなんだものが多い。
交配して新しい種が出来る度、「これは、波系にしようか。山系にしようか。」と名付け親は考えるのかもしれない。
他のフォーカリア属と見比べると、四海波も見た目に合った名前を付けられたとわかる。
あくまでも「フォーカリア属内」での話だが。


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