おもっち

25歳。貧困にかかわる相談業務の仕事をしています。読むのも書くのも好き。読ませる書き方は日々練習中。無趣味だけど好奇心旺盛なので何でもやってみたい、見てみたい。

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『図書館戦争』と仕事観と読書について

ふと思い立って、一人暮らしの我が家にある本の数を数えた。 166冊。少なくはないけど特別多くもない。「ま、これは良いかな」という21冊を手放すことにした。これで145冊。 所有している本の数は、これまでに読んだ数とイコールではない。買ったくせに読んでいない本もあれば、借りて読んだ本もある。実家に置いたままの本もある。今日の主題である『図書館戦争』シリーズも、実は揃って実家にある。 だからこれまでに読んだ本の総数はわからないけれど、私は少なくない物語たちと出会ってきた。

    • そういえば、去年の台風の日。

      目覚まし代わりに聴いていた5時のラジオで目が覚めた。 いつもは時事ネタをからめつつゆったりとしたテンポで話し始めるアナウンサーの声が、その日は冒頭から張り詰めていた。 首都圏に台風が来ていること、鉄道はほとんどが始発から計画運休になること、身を守る行動をしてほしいこと。この3つが繰り返し伝えられる。 いつもは少しの二度寝をしたりスマホをいじったりして起床までの時間を過ごすが、私もすぐに頭が覚醒した。 閉ざした窓の外から、ひゅうひゅうと穏やかでない音が聞こえていた。

      • パソコンの中で、にじみ出る色。

        1年目から一緒に仕事をしている、ヘンテコな先輩がいる。 50歳くらいで、雰囲気が独特で、話すと気さくなお兄さんだ。 彼は支援はちゃんとやる人なのだけど、とにかくIT機器に弱いことで有名だ。 仕事上、パソコン操作が避けられないのは彼にとっても不幸だろう。両手の人差し指で、ポチポチと入力をする姿には哀愁が漂っている。 「この文字を大きくする方法がわからない」 「クラウド上の変な場所にファイルを上げてしまって消し方がわからない」 このくらいの質問はときどき私に来るし、いく

        • 秋の気配と、今年の目標について

          起きて窓を開けると、思いのほか冷たい空気に触れた。 重みが欲しくて夏も使っている厚い布団を、今日はお腹までかけて眠った。 クーラーは必要なく、扇風機の「弱」の風がかろうじて部屋の空気を動かしている。止めても暑いということはないだろう。 秋だ。 気温の高い日はまだあるのだろうけど、確実に秋の匂いは漂っている。 2020年はあと4か月、3分の2だ。 節目ごとに思い出す、今年の目標。 ①今の仕事をしっかりやる。 ②ずっと心にあった職業への転職活動をして、内定をもらう。

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        『図書館戦争』と仕事観と読書について

          夏の終わりに考える。

          そういえば夏も終わりだ。 全身が汗でじめっとしているような夏。かと思えば冷房の寒さに震えあがる時間も長くて、気温差で風邪をひきそうになる。 花火とか夏祭りとか海のような夏らしいことなんて例年まったく縁がないのに、どこかから漂ってくる夏の音や匂い、人の楽しそうな声がない夏は物足りなく感じた。「夏のイベントなんて私に関係ない」とうそぶきながらも、漏れ出てくるものからしっかり夏を感じていたのだなと気づいた。 あったはずのオリンピックがなくなって、かわりに猛暑をマスクの中で喘ぐ

          夏の終わりに考える。

          親知らずを抜いて、首相が辞めた金曜の午後。

          舌が痺れている。唇も右半分には感覚がない。麻酔が効いている。 「目を瞑っててね~」。外科医の先生の言葉に素直に従う。20年以上も前から通っている歯医者だから、「ちゃん」付けで呼ばれるし未だに子ども扱いをされるのがくすぐったい。 口を開けてあとは委ねる。見るのも怖いような器具が目の前を通るのだろうが、見なければ怖くない。知らなくても良いことは知らないに限る。 4本目の親知らずを抜いた。奥歯に向かって斜めに生え、歯茎の下に埋まったまま出てくる気配のなかったそいつは、素直に出

          親知らずを抜いて、首相が辞めた金曜の午後。

          最近書いている長い文章について

          大学時代に使っていたUSBメモリが出てきた。 卒業論文の最終稿は28,821文字。卒論としては長いのだろうか、短いのだろうか。『ベトナム戦争と市民運動 —ジャテックの脱走兵援助と米軍解体運動—』というコアなタイトルから走り出す内容としては長いのかもしれない。 今まで書いたものの中でこれが一番長い文章だ。……と思ったら違った。同じUSBに保存された大学3年次に書いた論文は31,204文字だった。テーマは卒論と近い。むしろ、3年次に書いたもので半ば満足してしまった私は、その余

          最近書いている長い文章について

          月曜の昼。京都の夏と関東の夏。

          昼休みに外に出た。 日曜の雨から一変、日差しが地面にくっきりした影をつくっている。 私は紺色の日傘をさして、職場を離れる。 公園のベンチに座る。2組の親子連れがジャングルジムで遊んでいる。 真四角ではなくグニャグニャとした、変わった形のジャングルジムだ。 必要な電話を2件かける。1件は留守番電話につながる。留守電に声を残すのはいまいち苦手だ。伝えるべきことを過不足なく、聞きやすくと思うのだけれど、「えっと…」などと余計な言葉が間に入る。今回もやはりうまくいかず、逃げるよ

          月曜の昼。京都の夏と関東の夏。

          久しぶりの雨の日曜、東京にて。

          久しぶりに雨が降った。 降るとなれば半端には降らない。朝から、ザアっという音が窓越しにも聞こえてくる。 毎日が晴れだったので油断して、天気のことを意識もしないままに私は洗濯機を回した。 比較的少量の洗濯物は、出窓のカーテンレールに吊るす。扇風機を「弱」にして出窓に向ける。バスタオルやインナーがゆらゆら小さく揺れはじめる。 昼、外に出た。雨は上がって、空が真っ白な雲で覆われている。 真っ昼間だというのに風が涼しい。強い日差しと頭がぼうっとするような熱気が毎日続いた後と

          久しぶりの雨の日曜、東京にて。

          写真が切り取る5年前

          5年前、フリーでカメラマンをやっている知り合いのおっちゃんに写真を撮ってもらったことがある。 京都の大原。バスがひっきりなしに行き交って観光客が絶えない街中から離れた山中だ。三千院などの観光スポットもあるけれど、京都市中心部ほど乱立していないので訪れる人もゆったりしている。 カメラマンのおっちゃんと、手伝いの友人が2人。その日のモデル、私。 変な4人組はごついカメラを2つとカメラバッグ、折り畳み式のレフ版を抱えて歩く。時期は8月。山のなかとはいえ汗がにじむ。 私は一番

          写真が切り取る5年前

          夕暮れ時のスーパーで。

          肩が重い。肩こりが続いている。 週の折り返しだ。スーパーに寄る。決めているわけではないけれど、スーパーに寄る頻度はだいたい週2回くらいに落ちついている。 自動扉を入って、冷気に包まれる。カゴを手に取る。 足の裏でペダルを踏むと出るようになっているアルコール消毒を手のひらに吹きかける。店内に入る動きの流れの中に、一瞬片足立ちになってペダルに意識を定める動きが加わっている。 桃を買おうと決めていた。2玉で498円。今シーズンで3回目だ。桃色を見比べて選ぶ。茶色くなりかけてい

          夕暮れ時のスーパーで。

          上手な力の入れ方がわからない。

          大学のときに入っていた市民吹奏楽団に、教え方の上手なお兄さんがいた。 中学から続けていたクラリネット。必死になったとか没頭したとかいうほど頑張った記憶はないけれど、弱小部でも練習は毎日あった。私は、ソロをもらうほど上手ではないけれど決して下手ではなかった。 楽団に入ると、セミプロ(あるいはすごく上手いアマチュア)みたいな人が何人かいた。そのお兄さんもそうだった。 レッスンなどほとんど受けずに何となくで8年くらい続けてきたクラリネットを、初めてきちんと人に教わった。 そ

          上手な力の入れ方がわからない。

          夏の訪問と自転車屋さん

          午後2時。影を求めて自転車を漕ぐ。 突き刺すような強い日差しというよりは、ぼわんとのしかかる重い日差しといった感じだ。 こんな季節にはできるだけ事務所にいたいのだけれど、訪問や外出をゼロにすることはできない。それでも必要最低限になるように予定を調整する。 共用の自転車はタイヤの空気が抜けていて、振動が走るたびに前輪が平たくなる。自分の体重を乗せて走らせるのが不安だ。 訪問は一人暮らしの50代の女性。 彼女は一日中家にいるのだけど、冷房をつけずに生活していた。 日当た

          夏の訪問と自転車屋さん

          私が作った地味な空間

          写真を撮ったり絵を描いたりしないので、これまで記事の見出し画像は「みんなのフォトギャラリー」に頼ってきた。 このシステムはありがたい。私のような無精者でも、苦労せずにそれっぽい記事を仕上げることができる。 カテゴリーから何となく選んでもよし、記事に合わせて「夏」「コミュニケーション」などのキーワードで検索してもよし。たいていは文章の内容に近い画像を見つけられるし、しっくりくるものがなければ幾何学模様のようにどうとでも取れる画像を当てはめてもいい。 見出し画像をつけずに記

          私が作った地味な空間

          気分に任せた日曜日。

          薄く冷房をきかせた部屋の中にいると、外の日差しが別の世界のようだ。 くっきりとした影を見ているだけでもうだるような暑さだということはわかるし、締め切った8畳の部屋を出ればむっとした空気が覆いかぶさる。 昼間は読みかけの数冊の本を少しずつ読み進めた。 今読んでいるのは、夏目漱石『坊っちゃん』、池上彰『何のために学ぶのか』、山田ズーニー『伝わる・揺さぶる 文章を書く』、有川浩『イマジン?』。 どれも誰かのnoteで紹介されていたり、人から勧められたりした本たちだ。 2人掛け

          気分に任せた日曜日。

          コンビニスイーツと甲子園と、築40年の妹の家。

          「明日の予定は?」 「特になし」 「家に行きます」 「は?はい」 そんなやり取りを交わして、片道40分の妹宅へ向かった。 暑い。日傘をさしても逃れられない日差しのなか、駅からの10分を歩く。 道中、2車線の狭い道路を挟んだ向かい側にセブンイレブンがあった。どうせだから何か買っていこうと思い、ジャスミン茶を手にしてスイーツコーナーへ向かう。ジャスミン茶はときどき、暑い日に飲みたくなる。ベトナムに行ったとき、ドロッと甘いアイスコーヒーと一緒にカフェで(お冷のような立ち位置で)

          コンビニスイーツと甲子園と、築40年の妹の家。