【本】捨てる力 ブッダの問題解決入門/大喜多 健吾
今回は【捨てる力/大喜多健吾】を紹介させていただきます。悩みを抱えている方が少しでも救われることを願ってます。
本書の紹介
本書は、2500年の歴史ある仏教の教えと著者の経験をもとに、具体的な事例を通じて現代の問題解決の方法を紹介しています。仏教の教えが民衆を救ってきたことに触れつつ、仏教にはビジネスに応用できる実践的な思考法や行動指針が含まれていると主張しています。お金や人間関係、欲望などの悩みは「煩悩」「偏見」「執着」を捨てることで解決でき、人生が好転する。
著者は、立命館大学大学院卒業後に建設コンサルタント会社で働き、家庭も持ち順調な生活を送っていたが、職場のストレスからうつ状態に陥り、家庭崩壊を経験したそうです。2歳の息子を抱えたシングルファザーとなり、祖母の「人生はよくなるようにできている」という言葉をきっかけに宗教を学び、仏教に惹かれてブッダの教えを実践。これにより復活し、現在は仏教の教えを活かして多くの人の悩みを解決しています。
バイブス上がった点
①仏教は「捨てる」宗教
著者は仏教を学ぶ前は、足りないものをプラスして問題や悩みを解決しようとしていたそうです。例えば、セミナーや講演会に多額のお金をつぎ込んだり、本を読んでノウハウを身につけようとしました。持っていないものを獲得するのは大変で、お金も時間もかかります。しかし、持っているものを手放すことは、気持ちさえあれば今すぐにでもできます。
問題に対して、自分が抱えている「煩悩」「偏見」「執着」を捨て、精神的に身軽になれば、壁を乗り越えるために必要なものが、自然と自分の中から引き出されます。
「人生は思い通りにならないものと理解し、あるがままに受け入れた上で、自分にできることを淡々とやっていくことで新しい道が見えてくる」
②幸福に達する方法
ブッダは「幸せとは、自分にないものを探して手に入れることでではなく、すでに与えられているもの感謝することから始まる」ことを教えています。本当の幸せとは、自分の外側にあるのではなく、内側に存在していて形のないものです。物質的な幸せは一時的なもので長く続かず、また次の幸せを追い求めることもあるかもしれません。
過去を悔やまず未来を不安がらず、「今」に最善を尽くしましょう。人生はあっという間に流れていくものです。それそれが歩むべき「道」があり、「目的」があるはずです。それに向かって一日、一瞬を過ごすことが、充実した人生につながります。
「知識や技術を体得し、身を慎んでいますか?尊敬と謙遜、満足と感謝を忘れていませんか?」
※ブッダ(仏陀):悟りを開いた者や目覚めた人、仏教の創始者であるお釈迦様を指す言葉。仏教では、悟りを得ることを仏陀と呼び、個人を表す言葉ではない
まとめ
本記事では主題の紹介に留めました。本書は、各問題に応じたアプローチがシンプルにまとまっていて非常に読みやすいです。悩みが全くない人はいないはずなので、気になる部分を読むだけでも心が少し軽くなると思います。
私の場合は、本書の主題である「捨てる」という考えに共感できました。著者と同じように「幸せになるために自分に何をプラスするのか?」という足し算の視点で生きてきました。興味のない分野の勉強をしたり、大して理解できないのに難しい専門書やビジネス本を読んだり、尊敬できない嫌いな人の話でも熱心に聞いて何かを学ぼうとしたり、自分の気持ちと向き合わず、本音を押し殺して闇雲に頑張っていました。
しかし、ある日強烈な虚無感に襲われ無気力になりました。自己理解を深め、今ある幸せに目を向け、引き算の視点で考えることの大切さに気付きました。「足るを知る」って大事だなと。最近はダメな自分を否定せずに受け入れる「自己受容」を心がけてます。人生は欲が大きくなるほど苦しみも大きくなると感じます。何かを得ると何かを失うように、失うことで得るものもあるかもしれません。幸せは人によって形を変える幻のようなものなのです。自己理解や自己受容からスタートして、無数の選択肢の中から自分に必要なものを取捨選択していくことが大切なのかもしれませんね。
本書は、「今すぐ何もかも断捨離してミニマリストになれ!」という極端な話ではありません。自分が今抱えている問題に対して、「こんな時、ブッダならどう受け止めるんだろう?どう解決を目指すんだろう?」という処方箋を持てるようになることが仏教の強みだと考えます。どうしたらよいかわからないとき、人間は辛くて孤独な気持ちになるものです。
余談ですが、"捨てる"という言葉から、B'zの「LOVE PHANTOM」の歌詞『いらない何も 捨ててしまおう』を連想しました。大好きな曲です。本書を読んでいるときはずっと脳内BGMでした。長い長い前奏が頭の中をぐるぐると駆け巡ります。