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楽しいAce Combat7

こんにちは。前回ちらっと戦闘機の話をしたら、そういやAce Combat7で記事書けるなぁ…と思ってPCに向かってます。というのは理由の1/3で、2/3は仕事がしんどすぎてブログでも書いて現実逃避しないと正気を保てないからです。Twitterやめといてマジで良かったなぁと思います。我ながら英断だったと思います。日本人の健康を一番損ねているのは多分仕事です。私はタバコはやりませんがタバコ規制の前に仕事を規制したほうがいいです。

……愚痴も言い終わったので本題に。Ace Combat(以下AC)シリーズは4、5、ZERO、7をやりました。個人的には5かZEROが良かったかなーって思います。正直7のシナリオは微妙だと思います。私は戦闘機についてはレシプロ機は全然で、しいて言うならスピットファイアがカッコいいかなーって思うくらいで、知ってるのはもっぱらジェット戦闘機…それも冷戦中期以降の機体が好きです。なのでF-86とかMig-15とか黎明期のジェット戦闘機もそんな詳しくないです。今回は主にAC7に登場する期待を中心にまあダラダラと浅い文章を書いていこうかなと思います。ACオリジナルの機体には全く興味ないです。全部実在機で行きたいと思います。いつも通り間違いあったらスイマセンってことで。


①F-4E PhantomⅡ

先発を飾るのは何がいいだろうかと悩みましたが、日本でも馴染み深いF-4にしました。F-4はどの角度から見ても独特の魅力がある唯一無二の美しさを持つ戦闘機です。水平尾翼の下反角と、主翼の上反角のコントラストがフェティッシュな美しさを感じさせます。(ですが開発当時現場では醜いアヒルの子と言われていたそうです。)ハセガワの1/72プラモを3回作りました。私はプラモを作りはしますがエアブラシ吹いて、デカール貼ったらだいたい満足するタイプで、汚し塗装とかモールドの掘り直しとかまでは面倒なのでやりません。まだそこに楽しみを見出す段階に至ってないのかもしれません。航空自衛隊のF-4は2021年に退役しましたが世界ではギリシャなど数か国で未だ現役です。改修が重ねられているとはいえ60年以上前に設計された機種がまだ現役なのはすごいですね。

②F-15E Strike Eagle

F-15Cも含めた、F-15枠です。F-15は実戦経験も豊富で、事実上の世界最強戦闘機ではないでしょうか。直線的で合理性を追求したアメリカらしい力強い外観の中にも、キャノピーの曲線が独特の優美さを感じさせます。私は大抵の機体は単座機より複座機の方が好きです。機体のシルエットに複座コクピット特有の大きなキャノピーの曲線が美しさが加わるからです。あと後席のパイロットと連携を取りつつ行う任務なので、それなりに難易度が高い複雑な任務に就くのだろうな…という想像を膨らませるのも魅力の一つです。最近はソフトウェアと技術の進歩で一人のパイロットでも十分らしく、F-22もF-35も単座機しか存在しません。(訓練も教官が後席に乗るのではなく、すべてシミュレーターで行うそうです。)

後継機のF-22はいかんせん実戦経験が乏しく、直近の業績が中国の気球を空対空ミサイルで撃墜した…という、なんともいえないションボリなものでした。10年くらい前にステルス性を付加したF-15SEというデモンストレーション機の情報が出回りましたが、不発に終わったようで、現在はカタール向けのF-15QAをベースにしたF-15EXが次世代モデルとして配備されるようです。未だにアップデートが行われるくらい機体に拡張性があるのは、初期設計がそれだけ優れていた証ですね。

塗装もされていない初々しいF-15EXの雄姿。38秒からの鋭い運動性能に目を見張る。

AIM-120を12発(?!)搭載したF-15QAの飛行。武装の搭載数がもうリアルAce Combat状態です。しかもその状態でポストストールマニューバに近い機動を見せつけるF-15QA。ポストストールマニューバ自体はF-22等でも可能ですが、F-15でも可能となると、もういよいよフランカーファミリーのお家芸とは言えなくなりましたね。

③F-14D Super Tomcat

言わずと知れた、映画トップガンの主役機として有名な機体ですね。ぶっちゃけトップガンという映画自体にはそんな思い入れもないし、そもそもリアルタイム世代じゃないし、あまり面白い映画と思った記憶もないです…。でもF-14という戦闘機自体は美しくて面白い機体だと思います。主翼面積が小さく翼面荷重(翼の一定面積あたりが支える機体重量。小さい程運動性が良い。)が大きいのですが、エンジンの間隔が広く、そのため幅広の胴体そのものが翼の様な役割を果たすので運動性も良好です。可変後退翼機の時代という一時代のアイコンともいえる機体ですね。説明するまでもないですが可変後退翼のメリットは、格闘戦時の高速飛行と離着陸距離の短縮を主翼の角度を変えることで両立させたことです。デメリットは可変翼機構の為重量が嵩み、また高度なメンテナンスが必要です。

私が冷戦期の戦闘機が好きな理由は、こういうある種の機能に特化した実験的な戦闘機がたくさん作られたことですね。同じ可変後退翼だとMig-23がすごい好きで、ゲームでも飛ばしてみたいんですが、ACシリーズでは一度も登場していません。やっぱりこの時期の東側の戦闘機は資料が少ないんでしょうか。

④YF-23 Black WidowⅡ

カッコイイ!かっこよすぎる!F-15の後継機をめぐるコンペでロッキードYF-22の対抗馬として開発されたのがこのノースロップYF-23でした。素人目ではYF-23の方がステルス性が高そうなのですが、保守的な設計のYF-22が選定され、今F-22として配備されています。まあ軍隊と言うのは基本的に保守的な組織なので、こういうあまりに先進的な感じのする兵器は、組織の体質的に忌避する傾向が強いのかもしれません。M-4アサルトライフルの後継でもXM-8はあまりに未来っぽい外観が原因で不採用になったとかならなかったとか。しかし最近、次世代機を国際共同開発するプロジェクト(日英伊のGCAPなど)が世界各国で複数進んでいますが、モックアップを見ると水平尾翼を持たないところなど、YF-23に通じるものがあるなと感じてしまいます。やはり90年代当時としては少し先を行き過ぎていたんでしょうか。ようやく時代が追いついたのだとしたらYF-23は少し不運な戦闘機だったかもしれません。

YF-23の排気ノズル。鋭角なステルス形状の機体下面で地上からノズルを覆い隠し、排気熱を探知される確率を下げています。また、ノズル内部の吸熱タイルで排気温度を下げることで、赤外線ミサイルへの対策もされています。YF-22はステルス形状の推力偏向パドルを装備し、運動性能を優先した。違ったステルス性へのアプローチがなされており面白い。

⑤F-16 Fighting Falcon

元々は高性能だけど高価なF-15と併用することでコストを抑え、なおかつ格闘戦もバンバンこなせる安価な小型戦闘機として開発されました。しかし空軍の、対地攻撃もしたいなー、対艦攻撃もしたいなー、AIM-120(長距離打ちっぱなしミサイル。一度撃ったらレーダーで敵を捕捉し続ける必要がない。)も撃てるようにしないなー、夜間攻撃もしたいなー、データリンクも使いたいなー、ワイルドウィーゼル(敵の地対空レーダーを破壊する危険な任務)もさせたいなーetc,etc...という無茶振りに答え続けた結果、元々軽量戦闘機だったはずが完全におデブ化。コンフォーマル燃料タンク(増槽でなく、機体形状に沿うように設計された追加燃料タンク。)とエンジンを大出力のものに換装する事で未だにアップグレードを続けています。日本のF-2戦闘機も本来は日本独自開発の予定だったのですが、アメリカから貿易摩擦を理由にF-16をベースに開発させることを半ば強要され、今のF-2が出来上がりました。機体形状こそ似ていますが、細部が異なる点も多くほぼ別モノの戦闘機と言って良いと思います。

画像はコンフォーマルタンクを装備したF-2Aで雰囲気だけ最新型のF-16を再現した。本物は複座型だったりコクピット後方から垂直尾翼まで長く伸びたドーサルスパイン(追加の電子機器などを内蔵した構造物)のせいでもっとファッティに見える。

⑥F-35C LightningⅡ

2024年現在世界最新の実用ステルス戦闘機です。近年の流行の例にもれず、複数の任務をこなせることは当然ながら、F-16、F/A-18、A-10、AV-8Bといった全く違う用途を持った複数の機体を置き換える存在となるべく、空軍仕様のA型、海兵隊仕様B型、海軍仕様のC型が開発されました。だいたいこういうプロジェクトの常というか、お察しの通りコンセプトを欲張りまくったせいで開発は遅れに遅れ、実験機のX-35の初飛行が2000年で、アメリカ空軍に最初のF-35Aが就役したのは2016年。当然B、C型はその後です。しかし最新鋭のレーダーとセンサー、データリンク能力によって、戦闘機の戦い方が変わるのでは…と言われています。ちなみに私は空母の発着艦のため主翼が大型化したC型が好きです。翼面荷重が小さくなったため燃費効率も上がり、航続距離はA型より長いのだとか。

イギリスは2隻の空母に搭載する為B型を採用。おそらく海上自衛隊も「いずも」と「かが」にB型を搭載すると思うのですが、操縦するのは航空自衛隊のパイロットなのか、米軍の様に海上自衛隊で専属のパイロットを育成するのか、どうするのでしょうか。F-35Bは離陸時は基本的に短距離発艦、垂直着艦するSTOVL機なのですが、私は同じSTOVL機だとハリアーが好きでして。なのにACシリーズでは敵機では登場するのにプレイヤー機としては一回も登場しない※んですよね。シーハリアーなどはフォークランド紛争でめちゃくちゃ活躍した名機なのに、せめて最新のAV-8Bくらい使わせてくれよと思うんですが...。

※訂正:AV-8BAce Combat Infinity(PS3)プレイアブル機体として選択できた。ちょうどゲームから離れていたから知らなかった…。

~コラム①:世界の空母事情~

空母のメリットは、空母は当然海上を移動するわけですから、地上の飛行場よりも有事の際、攻撃の第一波で壊滅的損害を受ける確率を低くできます。また前方に展開させた空母から艦載機を発艦させれば、洋上の敵機がこちらの領土や艦船を射程距離に収める前に、それらを迎撃できる可能性があります。ただ単艦では防御力が低いので、必ずイージス艦などの空母を護衛する艦船と艦隊を組んで行動する必要があります。ちなみにそのイージス艦を更に護衛する任務を帯びて建造されたのがあきづき型護衛艦、あさひ型護衛艦です。近年は良い事なのか、悪い事なのか、正規空母、軽空母、強襲揚陸艦の建艦ラッシュです。先に挙げた特徴的な二つの艦橋とスキージャンプ甲板を持つ美しいSTOVL(短距離離陸、垂直着艦)空母クイーンエリザベス級(英)、長らく世界最強の空母として世界の海に君臨したニミッツ級の次世代空母で、電子カタパルトを装備したジェラルドフォード級(米)、最近になって甲板の改装が完了したかが(日)、ジュゼッペ・ガリバルディ、カブールなど、軽空母運用の隠れたベテラン、イタリアの最新鋭強襲揚陸艦トリエステ。(まだ情報が少なく謎が多い。付け加えると欧州全体で見ると正規空母3隻、軽空母3隻の合計6隻の空母戦力を保有していることになる。)さらに実は地味に空母保有歴が長かったりするインドの最新空母ヴィクラントは2009年に起工し、2022年にようやく就役した。中国はウクライナからスクラップと称して買い上げたワリヤーグをまんまとSTOBAR(スキージャンプ型空母)空母の遼寧に改装。そこで得たノウハウを基に山東を建造し、さらにCATOBAR(カタパルト発艦、通常着艦)空母福建まで建造してしまった。中国経済の減速が囁かれているが、空母の建艦ラッシュに影響がでるのかどうか、注視したいです。

余談ですが、福建省は台湾海峡を挟んで台湾と面しています。1996年の第三次台湾海峡危機で、米軍は中国を牽制する為、二隻の空母を派遣しました。その空母は「ニミッツ」「インディペンデンス」。言わずもがな「インディペンデンス」は「独立」を意味します。これは中国に対して強烈な一撃になったことでしょう。それを踏まえると、今回の三隻目の空母「福建」の名前には、その時のある種の「意趣返し」のような意味合いも込められているのでは…といささか勘ぐってしまいます。かがは飛行甲板の改装を終え、F-35Bを運用できる「事実上の空母」となりました。日本は所謂「攻撃型空母」は保有しないという「建前」でやってきたわけですが、古今東西の戦争の多くが「自衛」を建前にして行われたことを思えば、そもそも防衛するには敵を攻撃しなければならないわけで、空母保有の是非は一旦置いておくとして、「攻撃型空母」とはなんぞや、という視点にまず立ち返らざるを得ないのではないかと感じます。日本特有なのかわかりませんが、「起こってほしくないことは起こらないだろう」という独善的な思考回路が太平洋戦争から連綿と受け継がれていることはもっと注意を払われるべきでしょう。防衛という分野だからこそ、最も起きて欲しくない事態にこそ備えるべきで、起こらなければそれに越したことはない。韓国の橋には有事の際に北朝鮮軍の侵攻を阻止するため、全て爆破できるように爆薬が仕掛けてあります。そうしたいざという時の対策は、自然災害を例にすれば日本人なら肌感覚で理解できるのではないかと思います。私はその点において政府が議論と国民への説明をないがしろにして、国民と政府のコンセンサスが取れていないことが大きな問題だと思います。現状でもし最悪の場合が発生した場合、一番浮かばれないのは現場の自衛官だと思います。冷戦の間はアメリカが矢面に立ってくれていたので問題を直視せずに済んだのかもしれませんが、「ポスト冷戦時代」の終わりを目の当たりにしている現在、日本は戦後80年棚上げにしてきた国防という最も見たくないものに向き合う時期が来ているのではないか…と思ってしまいます。ただし戦後日本と言う非常に特殊なバックグラウンドを持つ国にとってそれは容易なことではないし、極端な思想を持ったグループが拙速な政策を安易に押し通すのは非常に危険です。それには今までの様にお上(政府)に任せきりにしないで、まず国民の間で問題が認識され、議論が成熟しなければならないのですが、今の日本を見ていると、それもまた難しいのかな…と感じてしまいます。日本人というのはどうにも、政(まつりごと)はお上に任せておけば良い、という国民性が根強いように感じます。それで痛い目を見るのは国民なのですが…。

⑦Rafale M

元々80年代に英独仏の共同開発で次世代機作ろうぜっていうプロジェクトだったんですが、フランスが「わい空母でも使いたいからやっぱ抜けるわ」と言って作ったのがこのラファールです。フランスっていっつもこうですよね。イギリスが今運用している空母クイーンエリザベスプリンスオブウェールズも、元々は英仏の共同開発のプロジェクト(PA2)でしたが、やっぱりフランスは途中で抜けました。それで今フランスは単独で次世代空母(PANG)の開発を構想しているらしいです。もしこれが就役すれば欧州は将来的に7隻の空母戦力を保有します。ラファールはインドをはじめいろいろな国に輸出されています。フランスは昔からのべつまくなしにいろんな国に武器を売りまくってます。イスラエル、中東、南米、南アジア、と手広く商売をしているようです。ロシアにも強襲揚陸艦を売る手前まで行きましたが、2014年のクリミア占領で破談になりました。なんていうか、別に武器売買が国際法に違反しているわけでもないんですけど、フランスは武器の売り方に節操がないですよね…。

ラファール自体はとても美しい戦闘機です。よくこの形状を思いついたなぁと素人ながら思います。そういう意味では共同開発から抜けてよかった…のでしょうか。ドイツはともかくイギリスもフランスも我が強そうですから、これから先も共同開発は難しいんじゃないかなぁ…(そもそもあるのかわかりませんが)と勝手に他所のお国柄から将来を邪推してしまいます。

ちなみに欧州機にデルタ翼機が多いのは、アメリカやロシアと比べてエンジンの開発技術の低かった為、デルタ翼の特徴である高速飛行の優位性と機体を小型にすることで、その弱点をカバーしようとしたためです。冷戦初期から中期にかけて、まだ戦略爆撃機による核攻撃が想定されていた頃は、有事の際にはとにかく1秒でも早く高空に上がって、侵入してくる敵爆撃機を出来る限り早く迎撃しなければなりませんでした。現在はICBMやSLBMによって爆撃機が直接核攻撃に飛来する可能性は低いですが、欧州では依然として、カナード翼を追加するなどして短距離離着陸性能を向上させたデルタ翼機が主流のようです。

~コラム②:冷戦とVTOL機~

時は1950年代半ば。世界は東西に分断され、人々は第三次世界大戦、つまり核戦争の恐怖に常にさらされていました。ソ連とその衛星国と陸続きの西ヨーロッパにとって、その恐怖感は実に切迫としたものでした。第三次世界大戦が起きたとき、真っ先に叩き潰されるのは滑走路です。そのため、イギリスは滑走路なしでも離着陸できる垂直離着陸機(以下VTOL機)の開発を始めました。1954年、一基のジェットエンジンの両側面に回転式のノズルを装備したペガサスエンジンの実用化によって開発が進みます。そうして完成したのがハリアーGR.1です。1969年に初のGR.1飛行隊がイギリスで発足しましたが、能力は限定的でした。しかし改良が加えられ、正規空母を撤廃したイギリスは軽空母に艦載機仕様のシーハリアーを搭載し、1982年のフォークランド紛争で見事にアルゼンチンを退けました。その後カタパルトを持たない軽空母とシーハリアーという組み合わせは世界各国の海軍で採用されひとつのロールモデルになりました。

同じくソ連もVTOL機Yak-38を開発し、キエフ級空母に搭載しました。こちらはハリアーと違ってF-35Bのようにコクピットの後方にリフトファンを搭載していました。飛行中は使用されずデッドウェイトになります。その後更にYak-141が開発され、1987年に初飛行。ハリアーは最後まで亜音速機のままでしたが、このYak-141はVTOL機ながらなんとマッハ1.4の超音速戦闘機です。しかしソ連崩壊で開発計画も崩壊してしまいました。Yak-141はコクピット後方のリフトファンは同じなのですが、後方にまっすぐ伸びたエンジンノズルの後端を複数の円筒に分割し、それを回転させることでジェット噴流を下方に向けると言う方式でした。皮肉なことにこの技術はアメリカに買い取られ、現在F-35Bのエンジンに使われています。

⑧Su-30M2

フランカーファミリーはあまりに種類が多すぎるので、この項でまとめてしまいます。まあまずとにかく外観が美しい。こんな優雅なシルエットを持った戦闘機はフランカー以外にいないといっていいでしょう。まずSu-30というものがあり、それはもともとSu-27の複座練習機Su-27UBをマルチロール戦闘機に発展させた輸出用機。そのSu-30のインド向け輸出型がSu-30MKI。ソ連崩壊後で教師の給料すら払えないボロボロの経済状態だったロシアにとって、戦闘機は非常に有望な輸出品だったため、国内仕様より輸出版の機体の方が高性能になることもありました。Su-30M2はSu-30の改良型です。Su-30SMはSu-30MKIのロシア国内版です。輸出版作ったら思いのほか良かったからウチでも使おうってことでしょう。Su-33は空母艦載機版です。ロシア唯一の空母アドミラル・クズネツォフに搭載され、発着艦性能を上げるためカナード翼を追加し、全長20m超えの機体ながらカタパルトを使わずに、勾配のついたスキージャンプ甲板から発艦します。Su-35SはSu-30MKIやSu-57の開発過程で得た技術を集めて作られた単座型フランカーの完成形です。同名のSu-35とその改良型Su-37はSu35Sとは無関係。2機とも量産には至らなかった。あとは中国がSu-27をコピーして発展させたJ-11B(そのせいで後でロシアとモメた。)、Su-33の試作機T-10K-3をウクライナから取得し、それを基に製造されたJ-15。正規にロシアが中国向けに生産しているSu-30MKKなど、同系列の機体なのに書いてて頭が痛くなるほど種類が多い。

画像はSu-30SM。数種類のフランカーを出されても正確に判別できる自信はない。

フランカーと言えば航空ショーで見せるクルビットやコブラといった超現実的な機動が印象的で、そのせいかよく映画やゲームなどのフィクションの中でも戦闘中にそれを行うシーンがあります。しかしそういった曲芸飛行のような機動は実際の戦闘では使えないでしょう。なぜなら戦闘機による戦闘は、より高い高度と速い速度を維持した側が有利になります。これはエネルギー機動性理論として実証されています。戦闘機は基本的に旋回などの運動を行えば行うほど、空気抵抗で速度が落ち、高度が下がり、運動エネルギーを失います。クルビットやコブラなどの機動は、機体を意図的に失速させて行うものです。基本的に戦闘機は2機ペアで戦うのがセオリーですから、もし実戦で使おうものなら失速して運動エネルギーを失ったフランカーは敵の僚機にあっという間に撃墜されてしまう。しかしながら、一応機体の運動性能と開発技術が優れている証であることは間違いないので、それらをアピールする意味合いとしては全く意味がないわけではありません。

艦載機仕様のSu-33。カナード翼が確認できる。肝心の空母、アドミラル・クヅネツォフの稼働状態はお世辞にも良いとは言い難いようだ。

Su-35Sは単座フランカーの到達点だ。

Su-47は珍しい前進翼機で、スホーイ社が自主的に開発しデモンストレーションしてみたものの、ソ連崩壊後のロシアにはとてもそんな新型機を導入する余裕もなく立ち消えた。

⑨Mig-35D Super Fulcrum

Mig-29の発展型。Su-27と機体形状が似ているのは、中央流体力学研究所から同じ空力研究のデータを提供されて、これをもとに作れ。というソ連社会主義的な開発方式だったため。軍からの大量受注を目指して民間企業が自由競争で競合するアメリカとの違いを感じさせる。しかし2機の性質は少し違う。Su-27は巨大な機体に大量の燃料を搭載でき長大な航続距離を持つ迎撃戦闘機だが、Mig-29は小型で主に前線での運用を想定した制空戦闘機だ。そのためエアインテイクに防塵用の蓋が装備されており、不整地から離陸するときは機首横の張り出し上面に設けられた吸気口から吸気する。(Mig-35では廃止。)

画像はMig-29Mig-35をなるべく似た機体アングルで対比した。Mig-35の方が洗練された印象を受ける。機首のノーズコーンにステルス性を意識した鋸刃状のディティールが見える。同様の措置はラファールなどでもなされている。

ソ連崩壊後は輸出に伸び悩みSu-30の後塵を拝すことになる。機体が小型で拡張性に乏しくエンジンの寿命などのライフサイクルが短いことが仇となった。しかしMig-29SMT、Mig-29Mなど地道にコツコツと改良型を作り続け、Mig-29Mをもとに更に改良を加えたのがこのMig-35となった。インド空軍にセールスをかけたが、競合他社のラファールに敗れ、売り上げは相変わらず芳しくないようだ。だが同系統の機体として艦載型のMig-29Kがインド海軍の空母で運用されている。インドもインドであちこちから兵器を買っている。フランスのラファールを買ったのもなんとなく納得してしまう。

⑩Su-57

ロシア初の第五世代ステルス戦闘機。かつてはPAKFAと呼ばれていた。ステルス形状ながらも、やはりどこかSu-27の遺伝子を感じさせる優雅なフォルムだ。機首横の前縁部がカナード翼のように可動するのが面白い。ステルス性はやや限定的ながらも運動性能はF-22にひけをとらないと言われている。しかし量産が順調という話を聞かないため、ロシア軍も虎の子の最新鋭機を失うのをためらっているのかもしれない。youtubeで非常に特徴的なエンジン音を聞くことができる。しかしエンジンは暫定で、将来的には高性能なものに換装される可能性が高い。少し前にSu-75というまた新型機のモックアップが発表された。それ以降音沙汰がないが、まあなにとはいわないがSu-57も量産できてねえのにそんなことやってる場合じゃないんだろうなという匂いはする。

おわりに:AC7の感想など

FPSの記事で書いたかもしれませんが、私はPS3時代のゲーム体験がゴッソリ抜け落ちてまして。なので最後にやったACシリーズはZEROだったと思う。いつやってたかはもう昔過ぎて覚えてないけど、多分10年振りくらいに新作ナンバリングタイトルをプレイできるっていうので、すごい楽しみだった。しかも主人公が懲罰部隊っていうんで、これはエリア88的な、哀しさを背負って戦う系の話かなーとか思ってワクワクしてた。でもやってみるとなんかいろいろ違ってて。(笑)

ストーリーもだし、ミッションが単純にゲームとしてあまり面白くなかった。砂嵐の中でトラックを探して攻撃するやつとかめっちゃイライラしながらやった。あと恒例の巨大兵器なんだけど、普通にミサイル足らなくなるから一回死んでリスポーン前提でミッション作るのどうなん?とは思った。ただでさえACの戦闘機のミサイルの搭載量って異常なのに(笑)普通4~10発とかですよ。それが何十発もあるのに足りないっていうのはどうなのっていう。もしかしたら私が下手なだけで正しい攻略法があったのかもしれないけど。あと見方機と僚機が仕事しなさすぎ…。多分あいつら一機も落としてなくない?5では僚機に指示を出せたのに、なんであの良システムを削除したのか理解に苦しむ。砂嵐もそうだけど、落雷とか天候要素を入れてリアルにするなら他のとこもリアルにして欲しかった。フレアが実装されたのは素直に嬉しかった。計器がちゃんと機体の運動に合わせて動作するのも地味だけどすごい良いと思う。あと今作でやっとラダーペダルを踏む時の膝の動きが見えるようになった。(笑)開発側からしたら実装の手間の割にゲーム性に寄与する比重が小さいから割に合わないのかもしれないけど、航空オタクにとってはこういう地味~なビジュアルを入れてくれるとめっちゃ嬉しいんですよ。

昔PS2でエナジーエアフォースってゲームがあって、今思うとあれめちゃくちゃリアルだったなって思う。サイドワインダーが目標を捕捉しているときの、ビョーーーっていうシーカー音まで再現されてた。でも当時はまだそんなの知らなかったから、なんかたるいゲームだなと思って、サクサク敵を撃てるAC5とかの方が好きだった。そこまでやれとは言わんけど、こだわるとこちょっとずれてない?とは思った。私が下手な知恵をつけたせいで楽しめない、つまらない年寄りになってしまっただけかもしれないけど。

ACがカジュアルエアシューティングなのはわかってはいるんだけど、DCS World程ハードコアじゃなくていいから(わけわかんなくてエンジンすらかけれなかった。)、それこそ今エナジーエアフォースの新タイトル出したら全然買うんだけどな…。出ないよな…。(笑)あとお決まりのトンネルくぐりはもういいかな…。でもあれなくなるとACじゃない!ってなる人多いだろうな。ああいうのが純粋に楽しめなくなるのってやっぱ歳なのかなぁって最近思う。というわけでエナジーエアフォースの新作待ってますので、ゲーム会社の方よろしくお願いします。


参考文献:戦闘機大百科-戦後・現代編-(アルゴノート社)、J Wing(イカロス出版)、J Ships(イカロス出版)、世界の最強軍用機図鑑(毒島刀也 監修)、世界の傑作機 No162 ヤコブレフYak-38"フォージャー"(文林堂)

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