黒船の軍楽隊 番外編 - ロシアンホルンオーケストラ
『発明家はホルン・オーケストラで使われるまっすぐなホルンを「牡羊の角」のようにリング状や渦巻き状に曲げて、行軍中や馬上での持ち運びを容易にしようと考えた』
ロシア唯一の音楽ジャンル
知らないことは今もこれからもたくさんあるのだと「黒船の軍楽隊-16」の記事を書いていて気付かされました。
「Рогово́й орке́стр(ホルン・オーケストラ)」はロシア唯一の音楽アンサンブルで、1751年にG.ナルイシュキン(1)の命によりヤン・マルシュ(2)が2オクターブの音域を持つ楽器セットを使うオーケストラを編成したことがその始まりです。
ホルン(角、Рог, corne, corno,Horn)
内部が空洞になっている牛や羊などの角(つの)は、おおよそ円錐形で開口部に向かって広がる形状をしているため、先端に穴を開け歌口として楽器として活用されてきました。角製の楽器は古代ギリシャや古代エジプトの時代から狩猟や合戦の際に仲間に合図を送るために使われましたが、時には金属や木で製作されることもありました。なみに、植物の葉や幹から作られた笛の多くは、その後「木管楽器」へと形を変えました。
これらの角や木や金属で作られた楽器は、時代を経て、管に穴を開けたり、鍵や弁をつけたりすることで倍音以外の音を出す工夫もされるようになり、19世紀にはヴァルブの発明により旋律を自由に演奏できるようになりました。
ロシアンホルン
ロシア貴族出身のG.ナルイシュキン(1)が1751年に作られせた16個の金属製直管ホルンセットを含む5 オクターブ60 個のホルン(無穴弁鍵)を使用してサンクトペテルブルクの宮廷に仕えていたボヘミアのホルン奏者、J・A・マレシュ(2)が指導するホルンオーケストラの演奏は、ロシア国外にも広がる流行を生み出し、いくつかのバンドはヨーロッパやイギリス諸島などへの演奏旅行を行いました。その演奏曲は、オペラの序曲や交響曲、民謡、ダンス音楽、讃美歌など多岐に渡りその演奏には、高度な演奏技術が必要とされ、練習時間の確保や優秀な演奏家の確保が必要でした。
ホルンオーケストラの楽器
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