nagaya.のオープンまで2
古い建物のリノベーション
築50年を越えた長屋のリノベーションについて少し記す。
賃貸用の物件で、老朽化のため貸していなかったが、
父親が仕事で使っていた資料を山のように保管していて
その処分から始まった。父が要るものをどけてもらい
それ以外は紙の産廃業者に来てもらい終了。
よく空き家の活用が進まないのは物が大量にあったり、
お仏壇があったりするためと言われているのは確かに納得する。
分別の作業が一番時間がかかるのだ。
また工事に入ってからも、
解体してみると思ったより痛んでいた箇所があったり、
高度成長期の建物なので建材が貧弱で補強を入れる必要があったりと、
リノベーションは新築のように決まった手順でスムーズに進まず、
イレギュラーな対応が都度あり、工事も遅れた。
そのため予定していたオープン時期より5ヶ月程遅れて
なんとか2014年9月nagaya.プレオープン。
nagaya.という店名
私は東京でいた時、もの好きが高じて
シューズの企画デザイン、インテリア雑貨のバイヤーの職についていた。
しかし、ものに関する仕事にはもの好きには少し辛い矛盾があった。
”ものも売り場も常に新しい提案をし続けないといけない”
”売れないものはセールや廃棄もしないといけない”
ということだ。そんな中、癒しを求めていたのか
全国各地の小さいセレクトショップや窯元を趣味で巡り、
作家さんの作った手作りのものを集めていた。
自分で店をするにあたって、なるべく
小さな作り手のものを適量を仕入れ、届けていくことを
意識していこうと思っていた。
店でお客様が新しく出会うのは、
作り手が昔ながらの材料や方法で作っていたり、
その土地に根付いて作り出されたものたち。
新しいものでも、どこか懐かしく、
使っていくうちに経年変化で使い手の暮らしに
徐々に馴染んでいくような、そんなものたち。
ものと一緒に過ごした年月のことも、
節目節目で思い出しては嬉しくなるような、
そんなお手伝いをできればと思った。
古い長屋がすこし新しくなって町の中に馴染んでいくように、
暮らしの中で、大切にしていきたい手作りのもの、
使っていくうちに味わいが深まり愛着が湧くもの、
を届けていきたい、そんな思いを込めて
nagaya.と名付けた。
続く