ストレスと健康についてのお話
ストレスとは
「ストレス」という言葉はもともと物理学で、「外力による物質の歪(ひず)み」という意味で使われてきましたが、ハンス・セリエ博士が1936年に“ストレス学説”を発表したことから、医学の世界でもこの言葉が使われ始めました。
医学的には、外からの刺激に対するからだやこころの反応のことを「ストレス反応」、その反応を生じさせる刺激(要因)を「ストレッサー」と呼んでいますが、一般にはこの両方の意味を合わせて「ストレス」と言っているようです。
ストレス(英: stress)とは、生活上のプレッシャーおよび、それを感じたときの感覚である。ストレスの概念は一般に、1930年代のハンス・セリエの研究に起源を持つとされる。この文脈では、精神的なものだけでなく、寒さ熱さなど生体的なストレスも含む。(ウィキペディアより引用)
適度なストレス
生を営むことの中には「環境とのバランスを維持する」ことが絶えずついてまわり、ストレスがゼロであることはあり得ません。
たとえば体にとって最適な外気温を完璧に維持したり、呼吸する空気を無菌にし続けることはとても難しいし、もしそれが可能だとしても、その極端に守られた環境に慣れた身体がそこから一歩でも出たらわずかな気温差・微量の菌によって健康が著しく損なわれてしまうだろうということはイメージできると思います。
つまり「適度なストレス」は多様な環境の変化に適応するために必要なのです。
過度なストレス
ただし「過度なストレス」はもちろん心身にとって大きな負担となります。
たとえば常夏の地から寒冷地に行くことを想像してみてください。
ゆっくり移動する場合は、その時その時のストレスが「過度でない」ため身体は徐々に順応していくでしょうが、もしも瞬時に移動したとしたら「常夏」に適応してきた身体にとっては即死してしまうくらいの「過度なストレス」になるでしょう。
そして受けるストレスはもちろんひとつではなく、わたしたちは刻一刻とさまざまなストレスにさらされています。
「物理的なストレス」と「心因的なストレス」
ストレスには「物理的なストレス」と「心因的なストレス」がありますが、その総量が「過度でない」ことが肝心だと思います。
つまり、適応できる範囲内で過ごしていくということです。
ここで一つの示唆として、お読みなるのは不快かもしれませんが過去に行われた動物実験を引用します。
2匹のサルに、ランプの点灯に続いて不快な電気ショックを与える実験です。
一方のサルB(普通のサル)は、ただその電気ショックに耐えるしかありませんが、もう一方のA(管理ザル)には、ボタンを押してその電気ショックを回避できる手段が与えられています。
この実験を続けたところ、A(管理ザル)は、何もできないサルBよりも早く、わずか21日で胃潰瘍で死んでしまったというものです。
(Brady,J.Vの管理ザルの実験と、GlassとSingerの実験より引用)
一見すると、電撃を避けられない(B)の方がストレスが大きいように思えますが、実は(A=ストレスを管理できるサル)の方がより大きいストレスを受けていたということです。
言ってみれば、
Aは「物理的ストレス」を回避したが、そのために四六時中ボタンに意識を集中するという「心因的ストレス」が回避した「物理的ストレス」を超えてしまった。
一方Bは「物理的ストレス」を回避できずその全てを受けたが、回避しようと緊張し続けるという「心因的ストレス」は全く受けなかった。
ということになるかと思います。
これを人間にあてはめてみると
Aさん:
「あるストレスを避けたい」という強い気持ちが常に働き、緊張が非常に強い。
Bさん:
「あるストレス」を容認し、甘んじて受け続けている。
こういう状況に例えられるかと思います。
実際には「間をとる」ことも可能なので、これはあくまで極端な例えです。
また「ストレスの強度」やAさんの「思いの強さ」、Bさんの「諦めの度合い」などにもよると思うので単純には語れませんが、精神的な緊張が肉体に大きい負担を及ぼすということは十分にご理解いただけるかと思います。
まとめ
前述した通り、「ストレスの総量」が日々ご自身の適応力の範疇に収まっていることが健康に日々を過ごすのにとても重要です。
物理的ストレスも精神的ストレスも程よく抑えて、全体として「ここちよく」過ごせるように「おとしどころを見つけて」生活していただくことが大切ではないかと思います。
みなさま、どうぞ健やかな日々をお過ごしください。
長津田むつう整体院 木村順一
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