「今こそ知りたい DIYの基本の考え方講座!暮らしを豊かにする『Do It Yourself』の視点について」イベントレポート
はじめに
アップするタイミングとしては逆になりましたが、2021年6月6日に下北沢・BONUS TRACKで開催されたイベント「No Big Deal!!」のトークショーの第1部がこちらです。
下記の第2部にも書きましたが、将来的に店舗兼住宅の空き家を元に喫茶店を開きたい、となると、リノベーションはDIYでやることになる可能性があります。
そのため今回、DIYの考え方を基礎から学びたいと思い、参加した次第でした。
イベント詳細は以下の通り。
※本イベントはBONUS TRACK HOUSEでの会場観覧と、オンライン観覧のどちらかをお選びいただき、ご参加いただく形式になっております。
※オンライン観覧チケットをご購入いただいた皆様には、メールにて配信用URLをお知らせ致します。
※現在の感染拡大状況を踏まえ、お客様同士が一定の間隔をとることのできる人数への制限を行っております。
現地観覧をご希望の方はお早めにチケットをご購入ください。
※現地観覧でのご参加の際には、事前にこちらのイベントガイドラインをお読みください。
◉今回のトークテーマ:『今こそ知りたい DIYの基本の考え方講座!暮らしを豊かにする「Do It Yourself」の視点について』
「DIY(= Do It Yourself)」という言葉をさまざまなところで聞くようになってきました。しかし、日常の暮らしで実践しようとすると、難しく感じてしまい手が出せない.....。そんな風に思う方も多いのではないでしょうか。DIYを暮らしに取り入れる第一歩目が踏み出せるように、DIYの考え方や楽しさをDIYのプロフェッショナルである登壇者たちが徹底解説していきます!
・自身の暮らしに向き合うための手段としての「DIY」とは
・持続的な「DIY」から得られる学びって?
・DIYは街も作れる?
◉こんな人にオススメ
・DIYで自分の住まいを作ることに興味関心がある方
・DIYの過程を取り入れている事業に興味関心がある方
・DIYの要素を取り入れた暮らしづくりのプロジェクト/事業を立ち上げたい方
◉概要
日時 2021年6月6日(日) 13:00〜14:30
場所 BONUS TRACK HOUSE1F
東京都世田谷区代田二丁目36番12号
https://goo.gl/maps/YbWWZnZFfWqsHVpL6
◉出演者プロフィール
河野直 つみき設計施工社 代表
京都大学大学院建築学修了後、26 歳の時にどこにも就職することなく、「ともに つくる」を合い言葉に「つみき設計施工社」を起業。10 年で 400 回以上の DIY ワークショップを主催。著書に「ともにつくる DIY ワークショップ」等。2021年、東京大学にて「つくること」をテーマにした建築レクチャーシリーズを展開。
西山 芽衣 株式会社マイキー ディレクター
1989年、群馬県生まれ。千葉大学建築学科卒業後、企画プロデュースを行う(株)北山創造研究所に入社。まちづくりなどに携わる中で、西千葉という街で「HELLO GARDEN」「西千葉工作室」を企画・立ち上げを行う。プロジェクトを企画するだけでなく、運営にも関わりたいと思い、2014年同社を退社。西千葉に密着で企画・研究を行う(株)マイキーに入社。「HELLO GARDEN」「西千葉工作室」の運営を行う傍ら、各地のまちづくりプロジェクトのアドバイザーとしても活動。現在は団地に暮らしながら、団地のPRや屋外空間の改修計画、コミュニティづくりなどにも携わる。
DIY初心者&聞き手:塚崎りさ子(omusubi不動産)
BONUS TRACK MEMBER’S サブマネージャー
スタートアップのブランディングやイベント運営の経験を経てomusubi不動産に入社。コワーキングの運営からまちづくりまで、そこにしかない場・時間のグルーヴを作る企画・運営に奮闘中。
◉「NO BIG DEAL DIYのある暮らし」とは…
DIYに興味はあるけど、なかなか始めるきっかけが無い。
なんだか難しそう。
いえいえそんなことはありません。
時間がかかっても、間違えても、
上手じゃなくてもOK!完璧なんて必要ありません。
プロセスを楽しんじゃいましょう。
手間がかかるかもしれないけど、
ほんのちょっとだけでも身の回りのものを自分でつくることができれば、
生きるチカラになり、
きっと暮らしを豊かにしてくれるはず!
合言葉は、No big deal !!(大したことないさ)
それでは以下、イベントレポートです。こちらも現地でiPadでべた打ちしたものを整えただけなので、問題が見つかったら適宜修正いたします。
イベントレポート
塚崎(以下、つ):
まずはイベント概要から説明します。
私の所属するomusubi不動産はDIYを、まちづくりの手段としてやっています。
DIYを広めていきたい、と考えています。
一方、日曜大工で自分の家をDIYで、という人はあまりいない。
難しそうなイメージはありますが、身の回りのことを自分で作ったら生活は楽になるのでは、と考えています。
このイベントではワークショップなどもしていますが、そのうちの1コンテンツとしてこのトークイベントを、第1部として開催しています。
BONUS TRACKは、小田急線の線路が地下に潜ってボーナス的にできた場所で、去年4月から。個性的なお店が集まる商業施設になっています。
omusubi不動産は松戸が本社で去年4月に下北沢にもアンテナを立てようと、こちらに1テナントとして入居しています。
今回はゲストトークをし、その後、参加者のお悩み相談に移ります。
河野(以下、こ):
私は参加型リノベーション、使う人、地域の人と一緒に、職人さんとワークショップをしています。10年間で400回以上。「ともにつくる」がやりたくて、それを合言葉に、その言葉に引っ張られるように活動しています。
つ:
DIYのプロとして、私はDIY初心者として質問させていただきます。
西山(以下、に):
普段、西千葉、千葉大学のあるエリアで、西千葉工作室という活動をしています。地域のものづくり支援、シェア工房を運用しています。
また、HELLO GARDENと言って、地域の中で欲しい暮らし、街の中に自分たちで作り出す環境を作ることもやっています。
つ:
私は、自分たちで作りたい、という気持ちでomusubi不動産に入社したものの、みんなが自給自足、自活、街を作る、集まって街を育てよう、としている中、私はDIYをやったことがない。経験がない。けれどやってみたい。はじめの一歩、何をしよう、という感じで、暮らしづくりをちゃんと自分の手でやっていきたいと思っています。それをやっていくことで何が学べるか、ということをやっていきたいと思います。
そうした街ではどんなことが起きるのか。今回のお二人、DIY力がついている中、とても求心力がある人に見えています。お二人の周りには、素敵な人が集まる。それはなぜか、も聞いてみたいと思います。
自分の理想の暮らしをしたい、その手段としてのDIY、とのことですが、まずは何からから始めるべきでしょう。
こ:
参加者の皆さんで、家具を組み立てた人、家の塗装をした人はいらっしゃいますか?
やったことがある人が分かると思いますが、何か作ってみると良いと思います。自分の手で何かを作る経験って、もやもやしたものを切り開いた感がありませんか?やってみたら意外とできます。ハードルは低いです。
普通に暮らすと、いっぱい調べてお金を出さないと手に入らない、と思いがちだけれど、結構できるものです。それは、1回作ると分かる。世界が広がった感じになる。どこから踏み出せば良いか、という話ができれば。作る仕事ってすごいな、という、その魅力を語れれば、と思います。
自分は11年前、大工さんと起業しました。つみき設計施工社。
リノベーションの仕事があったわけではなく、現場で余った木材から何かを作ってみる、から始まりました。
まずは、子供用の椅子を作ってみた。自分たちなりに絵を描いて、ビスで打ってみて、からやってみました。全然綺麗にできなかったのですが、「あ、できるんじゃん」と思い、一気に視野が広がりました。0円の廃材で売れるものが作れれば日銭が入る、という発想でした。
ともにつくる家づくりをしよう、とこの会社が始まったのですが、当時はDIYという言葉もなく、みんな全く理解できなかった。目の前に廃材があり、教えてくれる人がいたので、大きくない、子供の椅子を作ってみよう、と作ってみた。
その作り方はGreenzに記事があるので、調べてみてください。
に:
自分の初めてのDIY、覚えていないなあ。
私は田舎で育って、欲しいものが簡単に手に入れられる、買える環境ではなく、今のように何でもネットで買える時代ではなく、自分の勉強机も父と作りました。
おもちゃ、ゲームも自分で作りました。無いから、自分で作るしかない。子供の頃から。服も、手芸屋、しまむらで、作ったものに手を入れる幼少期でした。どうやって作れるか、いつも考えながら生きてきたかも。
つ:
西千葉工作室で初めてものを作る方々は。
に:
技術もまちまち。半分くらいは、「こういうものを作りたいが、どうやったら作れるか」と思いだけを持ってくる。DIYの最初の一歩のスタートはそこ。家の中、こんなふうになれば、と妄想をするのがスタートなんです。
自分が作る特権で、自分が100%気にいる。なかなかジャストサイズのものは見つからないものですが、ちょうど良いサイズ、間取りはこう、と、ドンピシャのものは売っていないけれど、妥協点が見つかる。妄想するところからがスタートで、私はそこが一番楽しいと思います。
つ:
身近な時間でもすぐ作れるものって、何か思いつくものはありますか。
こ:
いい質問ですね。
コロナで家で過ごすことが増えて、工具メーカーが元気なんです。
ヨーロッパは夕方5、6時に仕事が終わるから、時間があって自分で作ろう、と考えるんです。短い時間で、コストパフォーマンスが良い。塗装はコスパが良い。養生さえしっかりやれば、環境が変わります。
に:
塗装もガラッと変えられるし、私、DIY初心者の方は、賃貸の方も含めて、オススメはテーブルです。全部作らないと、と気負うかもしれないけれど、テーブルの足は買うこともできます。カラーボックスの上に板を乗せたらテーブルになる。色を塗るか、とか板目を活かすか、とか考えるくらい。板1枚買って、足を買って、意外と家の中で使う。作った感があります。
つ:
私の家は真っ白い壁で、賃貸で何もできない。デッドスペース。後ろがまっさらなんです。壁とか賃貸のDIYお悩みってありますね。
に:
がらっと印象を変えるならば、大きなものに手をつける。家の中で面積が広いもの、本が好きなら大きな本棚や大きな食器棚。それぞれだと思いますが、大きいし、自分に目につくところからやると、やってやった感が得られます。
カーテンは直線縫いなので、洋裁技術も要らない。ただの布をクリップで挟んでカーテンにできる金具も売っています。縫うのも、シルクスクリーン、風呂敷にスタンプを押すことでみんなで模様を作れる。オリジナルのファブリックを作るところから、意外とハードルが低くできます。
こ:
テーブルの向こう側、木に囲まれている雰囲気になります。テーブル側にビスを打ち付ければ、建物に影響ない。
つ:
ちょっとやってみます。
に:
フックで植物を吊るしたり。
こ:
やってみてください。No Big Dealです。
持続的なDIYを考えたくて、習慣がつくとスキルも身につきそう。
好きなものに囲まれて暮らすのは幸せ。でも、自分の好きなものって何でしょう。
美味しい料理屋に食べ物を食べにいくことは好きですか?毎日探しています。住まいも、自分が本当に好きなものを生活の中で探していければ。真っ白な壁紙、蛍光灯、ビニルの床がデフォルト。でも、家ってもっと空間があります。住む環境、自分が何が好きなのか、探しながら生活してみてもらいたいです。その蓄積で、次は絶対これを作りたい、という気持ちに、少しずつでもなります。
に:
DIYができるようになって良いこととして、自分の好きなものに囲まれて暮らせます。
家を買ったり借りたりする際、自分でやる意識がないと、合わないものを探さないといけないですが、自分が変えていけば良い、となると選択肢が増えますし、取り合いにもならない。選択肢が広がるのが良いな、と思います。
作ってみられる、ということ。今、世の中、環境のことを考えて暮らす中、自分で長くモノと付き合いながら、と考えると、部屋だけではなく、道具も不完全なものと付き合っていく。ちょっと手を入れて使えるものならば、安く使える。不完全なものと仲良くなれるのは豊かだな、と思います。
つ:
壁を塗るだけでも、プロってすごいんだな、と思います。繰り返すと経験値が身につく。
今、住んでいる賃貸は壁を塗る、ということはできないのですが、経験値がゼロすぎて、人としてしっかり生きられていないので、自分でやってみたいと思います。何でも変えられる。自分の理想を追うと、何か買う、しか選択肢がなかったけれど、何かハンドメイドで作ってみる、というのはすごく遠い世界で、こんがらがりますが、自分でやる力、どこから、というのを柱として、とりあえずまずはやってみる、だと思うのですが、こういうことができるならばやってみよう、という価値観を知ってみることができれば、と思います。
こ:
omusubi不動産はボロボロの物件を扱っていますが、ワークショップに参加する手もあります。omusubiと、私と一緒に。体一つで行ける。他の人がやっているところに行くのも良いと思います。生きる力。生きている感じがします。
つ:
自分は生きていく力がない感じがする。
こ:
どんどんスキルアップして、大きなお金がなくても、生きていく力がつく。あと、最近、作っていると生きている気持ちになる。自分の手で作ると、今、この瞬間を生きている感じがする。その感覚が、今、いろんな人の選択肢にDIYがある理由なんだと思います。
つ:
お二人は、何か必要になったら作りそう。私もそこを突破したい。
に:
何かを作る、というのは人間の根本にあるのかな、と作っていると思います。
楽しんで欲しいのは、新しいことをやってみる、ということ。失敗も笑って、手を動かしてみて、分からなかったら誰かに聞いてみる。初めてのことをやってみて、小さい気づき、学び、達成感を得て、一定の道のりが楽しいな、と私は思うので、できあがりにとらわれずやってみると、生きている感につながると思います。
つ:
その場に来る人が変わる感覚ってありますか。
に:
私にもできた、という、ひと山超えた感はすごいです。乗り越えた人はどんどん、あれもこれもやろうとアクティブになります。その顔の変わり方はいつも、面白いなと思っています。
こ:
終わった後、「できるものなんですね」と言われる方が多いです。何かが思わせているんでしょうね。今、YouTubeでやり方が分かるのに、「できるものなんですね」。No Big Dealの一歩目がどこにあるか、が大事だと思います。
つ:
DIYができる人が増えてきた街には、どんなことが起きているのでしょうか。
市川市でマップを作られていますが、ビフォーアフターの話を聞ければ。
こ:
千葉県市川市で参加型リノベーションをやっています。自分の住んでいる街でやったら、私たちももっと幸せになれるのでは、と。自分の街にカフェを作る。これをやろうとしています。
エリアが小さければ小さいほどお客さんも喜ぶし、僕らも一緒に幸せになれるのでは、と思い、それで街を意識しました。
基本、DIYを皆さんやるのですが、ワークショップという形でいろんな人に参加してもらいます。ケーキ屋さん、塗装ワークショップ、半年後、ハーブティーを出す場所でもワークショップを開く。大きいものを一緒に作る体験はみんな、図工の授業以来、文化祭以来、やっていないはず。人と人との距離を近づける力があり、この活動を続けることで、人と人との距離が縮まった印象を受けています。
に:
私が街で感じている根っこのコンセプトは、一言で言うとDIY。DIYは、壁を塗る、カフェを作る、ということではなく、生き方そのものな気がして、自分の暮らしにどう主体的になるか、誰かに委ねず、自分が自分の暮らしにDoする。
イベントを作る人になっても良いし、結局は自分でやってみる。どれだけ自分が自分でやっていなくて、外注している部分があるか、を見てみる。
今は他人に託しているけれど、自分がどれをやると楽しいか、これだったら楽しいからやってみる、という人が増えると、自分の暮らしを考えている人が街にいる、ということになる。それが街に見えてきた時、街の雰囲気が変わる。欲しいな、と思うものを自分で形にしたくなる生き方が増えれば、と思います。
こ:
DIYの技術が身につくと、誰かを助けたくなる。何かを始める人の原動力になる。それがきっかけになっているかもしれません。
つ:
私はomusubi不動産に入り、「家づくりとまちづくりが共通している」とぼんやり考えていて、それが今の話とすごくつながって、まちづくりの一部だな、と感じました。
さて、お二人に求心力があると思うのですが、なぜなんでしょう。素敵な人って公私に関係なく、周りにどう見えているかというのがあるかと思いますが。
こ:
自分は「つみきさん」と呼ばれることが多くて、公私混同、ミックスで見られている感じがします。空間を作る人、みたいには思われていますが、それは、一緒に作っているのが大きいと思います。
半日でも1日でも一緒にやると、マブダチみたいになる。年齢も境界も超えて、同志感を感じます。
つ:
今、仕事に関係なくマブダチができるのは難しいですよね。今、近所で仲良くなるのは限られる。それは、地域に根差す河野さんがいるからだと思います。omusubi不動産も、松戸でそういう存在なんだろうな、と思います
に:
DIYができる人には求心力がある。
何かできる人は、分けてあげることができるんです。こういうことをしてあげられるよ、サポートしてあげられるよ、という人のところには人が集まる。友達が何かを作っていて、「良いな」と思ったら、私にも作って、となる。
私、隣の家のおばあちゃんと物々交換するんですが、私の味噌とおばあちゃんの梅干しを交換している。作ったものって見せたくなる。ゼロイチを作れるからこそ、誰かの力になれるんだと思います。
つ:
DIYで生きる力、マブダチを作れれば、というお話ですね。
さてここで、参加者の方からの質問に入ります。お二人のまちづくりに質問が出ています。
Q&A
こ:
「活動拠点を増やしたいか」という質問ですが、つみき設計施工社は活動拠点を増やしたい、活動を大きくしたい、とは思っていなくて、これまでも参加型リノベーションをやってきたので、やりたい人には使ってもらえる状況でいたい。
どうインパクトを作るか、ですが、今やっていること、「ともにつくる」に人生を捧げていて、これからもそうしているのですが、同じくらいやりたいのが、「教育をしたい」ということなんです。
「ともにつくる」がインスピレーションになっていますが、次の12年間で教育をやりたいと思っていて、学校を作りたい。建築のデザインを通じて、人が自由になる学校を作りたい。学校は人を自由にさせるのが本質だと思うのですが、そういうものを作ってみたいです。
場所はまだ決まっていません。サマースクールとかやっていますが、来年辺りから本格的に、高校生、大学生辺りを対象にできれば。ふわっとしていますが、野望です。
に:
とても共感します。私も教育に興味があります。
ずっとDIYの生き方をしているので、考え方、それを持っているかが大事だと思います。自分が考えて、自分が何かを生み出せる。自由に生きていく。道を切り開いて、選択肢を切り開く。それを多くの人が持てると良いな、と思います。
私たちは、小学生が課題を解決するために、いろんなアイデア、問題を見つけるところから始めて、それにはこういう解決策があるのでは、と形にしてみて、練習する、という子供向け教室を2年前くらいからやっています。そういうDIY精神を持つ人を増やす。
それが西千葉の個性、ということではなく、いろんな街に、当たり前のインフラみたいにあれば、と思っています。他の街にああいう場所を増やす、ということをやっていきたいと思います。それが公共施設だと良いな、という野望があって、そういうことができると良いな、と思っています。
インプットできるのと同じくらい、アウトプットできるのが生活の大前提で、それが当たり前のことになると良いな、と思っています。
つ:
図書館が駅の近くに当たり前にある、というのが増えている感があって、西千葉工作室みたいなものがたくさんあれば良いな、と思いました。
街が少しずつ変わってきた印象ってありますか。
に:
一人一人が生活を取り戻しているか、が重要だと思っています。仕事の一部でも、何かを作ること。事業者、お店のアイテムを作る人も。ものを作ることで、どんどん自分の暮らしのいろんな側面が近づいてきているような、そういう人がいること。街があるから見えてきたのかは分からないですが、誰かに見えて、プラットフォームがあることで生まれている感じがします。
西千葉工作室は30人くらいスタッフがいて、学生や、サラリーマンで週末だけ来る人、リタイアした人など、自分のスキルを活かして誰かの手助けをする場面が、プラットフォームがあることで生まれていて、ものづくりを通じて街の中にできている、という感じです。西千葉工作室、という、その場所があることで暮らしが楽しめる人は増えていて、そういう人たちを支えられる仕事は楽しいと思っています。
こ:
メイさんの話に大共感ですが、目の前の人ができることが増えたり、心から嬉しいと思ったりするのは、ただそれだけ。街が変わってきたな、という実感は、私は分かりませんし、おこがましすぎて、街を変えたいなんて絶対言わないし、違和感があります。変わる人たちを見ることが好きで、それで何か変わるかもしれない、というのはありますけれど。
つ:
対人に対してのコミュニケーションについては。
に:
結局、街って人の集合体。その街にいる人がみんなハッピーになれば、とやっています。大きな街だと変わっていくのか、とかいろんなチャレンジができる。嬉しいなと思う空間で暮らせたり、小さな暮らしの積み重ねだったりで、みんながハッピーならばそれで良いのでは、と思います。
つ:
絶対忘れてはいけない視点ですが、言葉が一人歩きして、現場というか、実際に起きていること、人とのコミュニケーションというのを忘れないようにしないといけませんね。
こ:
街を活性化するためにこれを作りました、ということは否定することではないですが、その街に生きる人を元気にすることが大事だと思います。
つ:
次の質問で、「何から始めるのがオススメ?揃えたい道具は」。
こ:
ノコギリ、リアルドライバー、差金、メジャーですね。
Greenzの記事で、3種の神器として紹介しています。測って切って取つけられれば。大きなものはホームセンターで買えます。
に:
次のステップで買い足すなら、電動サンダー。出来上がった時のツルツル感は、完成度を上げます。それは一つできる大きなことだな、と思っていて、ペンキを塗るにも、塗りやすくなる。2ステップ目は電動サンダーをオススメします。
つ:
次の質問。参考になる本は。
こ:
具体的なノウハウはYouTubeですね。大工の正やん、という70歳の大工さんのチャンネルが、登録者数30万人になっています。
あとは、Amazonで「ともにつくる」という本を探してみてください。
に:
私はPinterestですね。
ブラウザ上に、こんなものを作りたい、というアイデアをいっぱい貯めるのが良いと思います。最初にDIYのハードルが高いのは、どういうものを作りたいか、というデザインに難しさがあるから。真似るところから始める、というのをデザインからぜひ。
こ:
Pinterest、オススメです。
つ:
「DIYに限界はあるか」という質問が。
こ:
限界はないと思います。やり続ければ良いから、限界はない。やると分かるのは、「これ以上は自分でできない」と分かること。それも良いことで、あの大工さんに頼ろう、という関係性が生まれます。
に:
このイベントで最初、塚崎さんが忙しい、と言っていましたが、やはり時間には限りがあり、得意不得意もあるので、自分がやるところ、自分で見切りの線を作るのも、楽しみ続けるポイントだと思います。
先に自分で限界を決めずに限界を超えて欲しい。そうじゃないと、思ったところが見えるし、自分がすごいところまでやってみると、それを仕事にしている人のすごさが分かる。どのくらいの時間がかかり、そのスキルを身につけるのが大変か、敬意を持ってお金を払えるようになりますので、一度、限界突破してもらえれば、と思います。
つ:
「一軒家の空き家、どこまで事前に綺麗にするべきか。空き家をシェアハウスにする場合の管理」という質問が。
今度、omusubi不動産が焼き鳥屋の案件に携わっていて、この辺を残したいよねとか話すことがあるのですが、その辺の判断軸は、どの辺りにあるんでしょう。
こ:
最低ラインは安全に使える、ということ。当たって怪我をしない、という最低限確保がボトムラインで、その後は使う人次第だと思います。
アーティストならば、余白がある方が良い。以前、ボロビルツアーをやった時、よりボロボロの方が反応が良かった。誰が入るかによって、ボトムラインがクリアした後は変わってくるのでは、と思います。
に:
誰がターゲットかに加え、どう使いたいか、もあると思います。
コストを減らしたいのか、何かを作りたいのか。手を入れすぎると、DIYしたい人にとっては、「そこまでしてくれなくても」と思うでしょうし、シェアハウス、シェアオフィス、住まうのか、違う機能なのか。住むとなると、水回りがボロボロだと住むのに躊躇する人が出て来て、内装、お風呂とかやって欲しいと思うかもしれません。
私は今、団地に住んでいて、賃貸なのですが、DIY可能賃貸で、原状回復が要らないんです。水回りは全部綺麗にしてくれていました。
DIY初心者の人にも、カスタムして住む、というのを体感して欲しいと思います。DIY初心者対象で、ペンキをすぐ塗れる下地もあります。RC、木造ではないと、打ちつけやすいように木の下地があるケースもあります。DIYの土台作りができている。その家を、DIYをする居住者のモデルケースにして欲しい、と話があったのですが、結局、そこに私が住むことになりました。
家具は何もないのですが、水回りはちゃんとしていました。
今はコロナ禍でできていないのですが、私は家に人を招くのが好きなんです。みんなでご飯を食べたり、家でも金継ぎワークショップを住み開きでしたり、収納が少ない家なので下は収納にしたり。
つ:
私の家と比べて、こうできたら良いのに、と思います。
に:
机のサイズについても、コロナ禍で家で仕事するようになり、テーブルの板を大きく変えました。DIYの方が、作る側も安いです。
私はずっと賃貸で住んでいるので、自分でフルリノベの選択肢はなくて、家具を買うくらいのお金で済んでいます。
おわりに
自分は子供の頃から、自他ともに認める不器用。
だからDIYには正直、苦手意識があります。
でも、まずはやってみる。まずは最初の一歩を始めることなのかな、とこのトークショーを聞いていて思いました。
年齢を重ねるうちに、「時間が足りない」と思うことが増え、時間が掛かる手間を「お金で解決しよう」とする傾向が増しているように感じています。
それが、無駄を省いているようで、新たな無駄を生み出しているようにも感じるようになってきました。
もう少し人生にゆとりを持ち、時間を贅沢に使って、自分の生活を見つめ直すことが必要なのかも、と思いました。
このイベントにお邪魔したそもそもの起点は喫茶店計画にあったのですが、「それをやるには、人生を見つめ直す必要があるんだぞ」と言われているような気持ちになりました。
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